こだわりはただ一つ。
設計という職業柄、キッチンと向き合う機会が多い私。自己使用物件ではオーナーさんと一緒にこだわりまくって一から図面を引いて制作したり、賃貸物件ではコスト重視の既製品をそのまま導入してカウンターだけ造作で付けたりすることもしばしば。予算のあまりない物件でもコストもデザインも両方叶うキッチンがあったらなぁ、とずーっと思っていました。
そんなある日、キッチンを開発する機会に恵まれ、数ヶ月の開発期間を経てついに完成したこのキッチン。こだわったのは「価格」です。
コストを押さえられた理由とは
キッチンを構成する素材が1種類であること。以上。
使用されている素材は1mm厚のステンレス(SUS304)の板のみです。これを曲げたり溶接したりして、このキッチンは形作られています。
材料が1種類であることで仕入れの複雑化や在庫の無駄を防ぎコストが抑えられているのです。また、シンクに注目すると3面はステンレスの曲げですが、その両側の2面(正面向かって左右の面)は溶接になっています。ここは角がカーブではなく90度になるのでゴミが若干たまりやすくなっています。これはコスト重視だからこその選択なのですが、こまめに掃除すれば問題なしだと思います。
潔いデザインは賃貸物件向き。
収納のない超ミニマルなこのキッチンは、どちらかというと賃貸物件に向いています。
キッチンとしての機能とデザインは十分満たされているので、賃借人に自分の使い勝手のいいようにアレンジしてもらう。そんな使い方がいいと思います。
宙に浮いているように見える壁付けタイプの設置は、付属のブラケットを壁に固定し、その上にキッチン本体をかぶせ、下から本体とブラケットをボルトで固定すれば完成。
キッチンの高さが自由に設定できるので、通常850〜900mm程度に固定されているキッチンをお好みの高さに調整できます。
キッチン本体が宙に浮いているのは不安……という方に朗報です。脚付きタイプもご用意しました。もちろん脚の素材もステンレス。密やかに生えた丸パイプの脚はあくまでも補強のため。
壁付けにできない場合にはこちらもご検討ください。
バイブレーション仕上げにはこだわって
通常キッチンの天板やシンクはステンレス素地のままではなく、表面にあえて傷が付けられます。そうすることで表面が強化され、傷や汚れが目立ちにくくなるのです。
このキッチンは、まずヘアライン仕上げのステンレス板で天板やシンクを作ります。ヘアラインとは表面に髪の毛のような細い傷をつける加工のことで、このままでも十分仕上げになります。ただ、ステンレスの光沢は若干押さえられますが、傷や汚れが目立ちやすいのが難点。
そこでさらに天板と側面にはバイブレーション加工を施しています。螺旋状の傷を付けるこの仕上げは、手間が掛かる分少し高級な仕上げ方法です。ほどよいマットな質感でやわらかい光を反射し、傷や汚れも目立ちにくいのが特徴です。
コスト重視ではありますが、長く愛用してもらえるようなキッチンを目指しました。
日常生活に溶け込むような白いキッチンをお求めの場合は『ホワイトミニマルキッチン』を、あたたかみのある木製のキッチンをお求めの場合は『木製ミニマルキッチン』を合わせてご検討ください。
(担当:チョウソカベ)