自分好みのインテリアづくりの基礎となるフローリング選びのポイントを紹介する「フローリングガイド」。前回のVol.1では、フローリングのインテリア性や、板幅や貼り方による違いなど、「見た目」から考えるフローリング選びについて解説しました。
Vol.2は「フローリングの種類」と「樹種」について。「無垢フローリング」と「複合フローリング」の違い、木の経年変化などについて解説します。
フローリングの商品開発を担当し、施工部隊のリーダーも務めるtoolboxメンバー。
「無垢フローリング」と「複合フローリング」
フローリングには、大きく分けて「無垢フローリング」と「複合フローリング」の2種類があります。それぞれどんな違いがあるのかを説明します。
無垢フローリング
無垢フローリングとは、継ぎ足しのない、原木からそのまま切り出された一枚板を用いるフローリングのこと。「単層フローリング」と呼ばれることもあります。加工がほぼされていないので、天然の木そのままの風合いを感じることができる自然素材です。
複合フローリング
複合フローリングとは、合板や木材繊維を固めてつくった基材の表面に、薄くスライスされた板が貼られたもので、「複層フローリング」と呼ばれることもあります。表面に貼られた板の厚みによっては、無垢に近い質感と表情を得られるものもあります。
無垢・複合フローリングのメリットデメリット
無垢フローリングのメリットデメリット
憧れの無垢フローリングですが、天然木ゆえのメリットとデメリットが存在します。どちらもしっかり理解することで、納得してフローリング選びができるようになります。
一番のメリットは天然木にしかだせない「心地良さ」です。木は切られてからも“呼吸”をしており、湿度が高いときは湿気を吸収し、乾燥しているときは水分を放散します。
まるで生きているかのようなこの現象は、生活を快適にしてくれます。
無垢材は時を重ねるごとに経年変化し、木目や艶が際立ち、より味わい深い表情になっていきます。
住む人に馴染み、過ごした年月分だけのストーリーが蓄積されるのは無垢フローリングならでは。時間をかけて楽しむことができるのです。
拭いても取れない汚れや、傷がついてしまった場合、サンドペーパーでやすり、そのフローリングにもともと塗られていた塗料を塗り直すことで補修することができます。
これは、やすっても下地の合板が出てきたりしない、全て同じ材でつくられている無垢だからこそできることです。
※仕上げの塗料によっては無垢材でも補修が困難なことがあります。詳しくはVol.3のメンテナンス編をご覧ください。
生きているからこそ、材の変化が起きやすく、木の伸縮によって隙間ができてしまったり、反りが起こる可能性もあります。また、フローリング1枚分を木からそのまま切り出さなくてはならないため、材料調達が難しく、複合フローリングに比べると金額が高くなる傾向にあります。
無垢フローリング選びに迷ったら ソリッドオークフローリング
フローリング材として人気の高いオークを使った無垢フローリング。適度に入る節と木目のバランスがちょうど良い。板幅55・90・120mmの3種と、無塗装品・クリア塗装品・ブラウン着色品の9種類が揃っているので、好みのものを選ぶことができます。
無垢材同士を継いでいるフローリングを「ユニフローリング」と呼びます。木目の継ぎはでますがそれが逆に表情を生み、無垢と同じような質感を楽しむこともできます。
複合フローリングのメリットデメリット
無垢と比べると人気が劣るように感じる複合フローリングですが、実はプロは複合フローリングの方をよく使います。
複合フローリングのメリットデメリットを知ることで、より自分の家にぴったりのフローリングを見つけることができるかも。
複合フローリング自体が、無垢材のデメリットを改善するようにして改良されてできたものなので、反りや伸縮のリスク、材のばらつきが少ないのが特徴。そのため、無垢と比べると工事が容易です。
複合フローリングは無垢と比べると価格が抑えられる傾向にあります。床材はコストカットから泣く泣く減額の対象になることも多い部位なので、「樹種は変えたくない!」なんてときには、無垢ではなく、複合フローリングを選ぶのもひとつの手です。
複合フローリングの中には、天然木をスライスした板を貼ったもの以外に、木目がプリントされた樹脂シートを貼ったものもあります。これらシート貼りの複合フローリングは、防音性や耐久性など機能的に優れている面もありますが、天然の木を使ったものに比べると、質感が無機質になりがちです。
樹脂シートや表面に貼られているものが1mm以下の天然木の場合、深い傷が入ったときに下地が見えてしまい、補修が難しくなります。ただし、2mm以上あれば、無垢同様補修することは可能です。
手頃な複合フローリングをお探しなら ラスオークフローリング
質感は良く、価格は手頃に。今の時代に求められる要素を追究した、コストパフォーマンスの高いオークの複合フローリングです。
無塗装品とクリア塗装品を用意し、幅は広めな180mmなので広い部屋や大胆な空間づくりにもおすすめです。
複合フローリングでも表面に貼られた薄板の厚さが2mm以上あれば、貼り上がりからは無垢材と見分けがつかないまでに仕上がります。
下の写真も複合フローリングで、表面に2mmのオーク材が貼られています。見た目も質も機能も価格も手頃な複合フローリングは良いとこ取りされていて、toolbox的にはおすすめしています。
樹種によって個性いろいろ
ここからは、フローリングによく使われる人気の高い樹種について紹介していきます。
色味や触り心地、硬さ柔らかさは樹種によって大きく異なるため、それぞれの樹種の特徴を掴み、自分の暮らしにぴったりハマる樹種を見つけてください。
硬さを実際に調査!金槌を落としてみました
フローリングに金槌を落として、どの程度傷がつくのか実験してみました。
「金槌を落とす」なんてシチュエーションはなかなか起こらないと思いますが、生活のなかでありがちな「子供がおもちゃを落とす」「家具を引きずる」といったシーンの参考にしてみてください。
結果は…
1mくらいの高さから金槌を落としてみましたが、カリンは見た目には全く凹みは見られず、触ったらなんとなく凹んでるかな?くらい。オークは薄っすら見える程度には凹み、スギは1mmほど凹みました。
木材の硬さは、木の成長のスピードによります。堅い樹種はゆっくり成長するために密度が高くなり、その結果硬くなります。一方で、成長が遅いため生産量が低く、価格を高くする要因にもなっています。
ちなみに、硬い木には希少性が高くなり過ぎて、伐採制限がかかるものもあります。
時間が経つとフローリングはどう変わる?
天然木を使ったフローリングは、天然の素材ゆえに年月が経つことで色味や質感が変化していきます。変化の仕方や度合いは樹種によってさまざまですが、基本的にはどの樹種も飴色に近づいていきます。
フローリングは長い付き合いになるものなので、経年変化の仕方についてもあらかじめイメージして選ぶと、日々の変化を楽しむことができ、味わい深くなるフローリングに愛着が増していきます。
色味が濃くなっていく樹種
色味が明るくなっていく樹種
上で紹介した樹種の経年変化は、あくまで代表的な一例であり、天然木は一枚一枚表情が異なるため、全てが上で紹介したような色に変化するわけではありません。また、日の光を受けることで顕著に現れるようになるため、日当たりの環境によっては色の変化度合いは異なります。
フローリングは通常、塗装を施した状態で使われますが、塗装して使う場合は色の変化は弱まります。
経年変化を実際に調査!太陽光が当たる場所に置いてみた
実際に8種類の無塗装状態の樹種を、太陽光が当たる窓辺に置いて色味の変化を観察してみました。
1ヶ月という期間ですが、日当たりが良い場所に置いてあったためか、大きく色が変化した樹種が多く、全体的に飴色に近づいているのがわかります。実際にフローリングとして使った場合は、歩行時の摩擦や傷、人の手足からの油などで、より変化する可能性もあります。
長い年月をともに過ごすことになるフローリング。無垢フローリングと複合フローリングの違い、樹種による違いを説明しましたが、どんなふうに変化し、どんなふうに付き合っていきたいのかも考えた上で選ぶといいです。
次回、Vol.3では「フローリングに用いる塗料とメンテナンス方法」についてご紹介します。