家族が同じリビングにいながら、点在した居場所で思い思いの時間を過ごせる。
そんな「ソロリビング」をテーマに掲げ、パッケージリノベーション「ASSY」で家づくりをしたリクルートの住宅情報サイト「SUUMO」編集長の池本洋一(いけもとよういち)さん。
前編コラム「今どき家族は個々に団らんする。「ソロリビング」のある住まい」で、44.7㎡の中古マンションの一室に、いろいろな表情のコーナーがある家の様子をご紹介しました。
「ASSY」は、フルスケルトンの状態から間取りは自由設計でき、価格は面積ごとの定額制。内装材はあらかじめおすすめの組み合わせが用意されているので、間取りを決めることに集中出来て、3回の打ち合わせでスムーズに全てを決められるという特徴があります。
フルスケルトンの状態から、本当に3回で間取りや仕様は決まるのか?今回は、物件購入から3回の打ち合わせでどう内容を決定していったのかのプロセスを詳しくご紹介します。
リノベ向きな未改装の物件と出会うには?
自分で思い通りにリノベしたいから、リノベ向きな未改装の物件を安く手に入れたい。けれど、全然物件が見つからない!!
toolboxのショールームを訪れるお客様、スタッフ間や友人同士で話していても、中古マンションリノベーションをしたいみんなが声を揃えて言うのは、「未改装物件がなかなかない」ということ。
「未改装物件」とは、それまでの入居者が住んでいた状態のまま、リフォームされずに販売される物件のこと。そうした物件は不動産事業者にも人気が高く、彼らが購入してリフォームを施し、その分の価格を上乗せして「再販物件」として売り出すケースも多いんです。
池本さんが「SUUMO」で今回の物件を見つけた時、募集情報には「リノベーション済み」とあるのに、サイトに掲載されているのは図面のみで、室内の写真が一枚も載っていない状況でした。これが何を意味するのか、みなさん分かりますか?
これはつまり現在工事中で、先行して購入希望者を募集しているということ。
それに気づいた池本さんは急いで物件に問い合わせ。現場は、解体が始まったばかりの状態でした。交渉の結果、解体までで工事を止めて、元々計画されていた工事分の金額を差し引いて物件を購入出来ることになりました。
今回の池本さんのケースはかなりラッキーで、物件によってタイミングや売主の事情があり、うまくいくケースばかりではありません。ですが、売主側と買主側の思いがうまく一致すると、こんな物件の引き継ぎ方もあるんです。
3回の打ち合わせで、間取りはどう決まっていったのか
フルスケルトンの状態から自由に間取りを決めることができる「ASSY」。
物件によっては、既存から大きく間取り変更をしないケースもありますが、今回は解体後のフルスケルトンの状態から水回りの位置変更含め、大きく間取りが変わっています。その変化のプロセスを詳しくみていきましょう。
要望がどうプランに反映されるのか、ドキドキの1回目に出てきたプランは?
最初に池本さんが伝えたオーダーは「職住融合の部屋。仕事場としても使え、居住空間としても使えるような間取り」。
設計と施工を担当したのは、「ASSY」の東京エリアのパートナーである住環境ジャパン。現地での打ち合わせの後、池本さんの要望に対して出てきた、1回目の間取り提案がこちらです。
水回りと収納以外の空間をまとめて広くとるというワンルームプラン。家具のレイアウトを工夫すればいかようにも使える、自由度の高いプランです。上記の間取りでユーティリティになっているスペースは、かつて浴室があった場所。解体後を確認すると天井が高すぎて、この位置に新しいユニットバスを設置することはできないという制約もわかってきました。
池本さんはこれに対し以下の2点の修正リクエストをだしました。
「寝室は、2人分のベッドをしっかり置いて、LDKとはきちんと区切りたい」
「ダイニングを除いた3ヶ所で同時に別々のオンライン会議ができるような、音を出してもいい環境をつくりたい」
リモートワークが多くの企業で導入されて以降、家族でオンライン会議のタイミングが重なって、個室の確保に困るという話をよく聞くようになりました。個室のない間取りだと、音の問題が出てきますよね。
この1回目の打ち合わせと提案が終わった時点で、池本さんはtoolboxショールームを来訪。「以前からいいなと思っていた」という『木製室内窓』など、オプションで採用したいものや、標準仕様の内容を確認していきました。
勝負を決める2回目の打ち合わせへ
「やはり、3回でプランを決めるとなると、2回目でほぼほぼ完成形が出来てきて、最後に微調整を行って、3回で終わりたいとお互い思っていたと思うんです。1回目から2回目の間は、事前ヒアリングようなメールのやりとりも行いました」
「ASSY」では、対面での打ち合わせは3回ですが、打ち合わせの間にはこうしてメールで確認させていただくこともあります。
室内窓をつけるならバルコニー側につけたいのか、リビング側にもつけたいのかなど、設計側からプランを検討する上で気になる点の確認があり、約1.5ヶ月後、2回目のプランが出てきました。
ちなみに、「ASSY」は、各打ち合わせの間は最短2週間程で進めていくのですが、出張も多く多忙な池本さんはなかなか予定があかず、期間が通常より長めになってしまったそう。
2回目の提案では、寝室が部屋として独立。ユーティリティにあった洗濯機は、玄関収納を縮小してスペースを確保した洗面室に配置しました。ユーティリティはカウンターデスクを備えており、収納としても書斎としても使えるスペースに。ほぼほぼ完成形に近づいてきました。
そして池本さんの要望だった「仕事ができるスペースをダイニング以外で3ヶ所」という要望が、図面にきちんと落とし込まれています。
この間取りを見ながら池本さんが思いついたのが、「今どき家族は個々に団らんする。「ソロリビング」のある住まい」で詳しく紹介した「ソロリビング」というキーワード。
「寝室をしっかり取った分、リビングスペースは圧迫されるけれど、個人個人が好きなところで仕事が出来る。ソロワークスペースがいっぱいある。ワークスペース兼くつろぎスペースということだな、と思い至ったんです」
また、この時のプランではリビングの壁沿いにキッチン、冷蔵庫が並んでいました。キッチンは幅2100で計画されていましたが、その近くに置く冷蔵庫や電子レンジのことを考えると、もうちょっと目立たない場所にすっきりと収まらないか……と、池本さんはキッチンについても修正リクエストを出しました。
そうして、2回目の打ち合わせから1ヶ月後に出てきた3回目の間取り提案がこちら。キッチンの向きを90度回転させ、寝室側のカウンターデスク、ウォークインクローゼットの位置を少し修正し、冷蔵庫と電子レンジは廊下続きのくぼみにすっきり収納できるようになりました。
キッチン幅が狭くなった分は、壁面にバーや棚を取り付けて収納できるようにしました。ASSYを印象付けるイメージの一つでもある、赤いガルバリウム鋼板のキッチン壁にツール達が映えています。
こうして、無事3回でプランがフィックスしたのです。
1cm単位で幅と奥行きをオーダーできる『オーダーキッチン天板』や造作のカウンターデスクは、既製品と違ってプランに合わせてぴったり幅のものを頼めるのでプランの自由度を支えてくれているなと改めて感じます。
3回という打ち合わせ回数はどうだったのか、池本さんに聞いてみました。
「なんとか3回で間取りと設備はfix出来ました。個人的には、ソロリビングと呼んだ小さなスペースにどんな家具を置こうか、それに合わせて照明や回りの壁に棚を足したり色をつけようか?など、インテリアを深堀する工程が3回の打ち合わせの後にあってもいいのかなと思いました。
ASSYを選ぶ人って、家具とか照明にこだわる人が多いと思うから、そういうインテリア提案もオプションでメニューにあったらいいのかも」
と、営業目線のアドバイスまで!ありがとうございます。
家が完成した後も、ちょっとずつ手を加えて家を楽しむお手伝いが出来るよう、toolbox内のコンテンツ、カタログやショールームを充実させていきたいと思います。
ちなみに、3回で決まらなかった場合は、プラスの費用をいただいて延長戦ができますのでご安心ください。選び抜いた素材とtoolboxのパーツを使い、「組み合わせ済みの空間」を提供しているからこそ、仕上がりがイメージしやすく、間取りの要望を考えることに集中できるのが「ASSY」の特徴。
打ち合わせ期間は、色々悩んで決めていく楽しい時間ですが、一方で設計側にとっては見えないコストになっています。最初から価格が一定で提供できているのは、この打ち合わせ回数が3回までと決められているからなんです。
ちなみに、設計打ち合わせをする住環境ジャパンの担当さんによると、過去のお客様で延長戦にもつれ込んだ人はほぼいないとのことで、みなさま、無事に3回でちゃんと決まっていくようです。
ASSYに向いているのはこんな人
最後に池本さんに、「ASSY」についての感想を聞いてみました。
「今回の家づくりの話が出るより前に、ASSYのモデルルームを見学したことがありました。ASSYが空間のベースにしている素材や世界観が好みだったので、インテリア部分はどの組み合わせを選んでも大外ししない、ある程度おまかせで身をゆだねても大丈夫という安心感はありました。
将来、貸したり売ったりしても、あとで入居者が好きなものを足したりしやすそうだな、住みつないでいけそうだなと思ったんです。将来的に賃貸にだす可能性もあるので、その際にグループ会社の東京R不動産で募集の手伝いをしてもらえるかもという点も、ASSYを選んだ理由の一つだったりします」
住まい手が変わっても“住みつないでいく”という発想、いいですね。どんな人がパッケージリノベーションに向いているのかについてもお聞きしました。
「toolboxのインダストリアルっぽいパーツが好みな人、素材感が好きな人は、この空間をベースにして暮らしの中で自分の好みの世界観をつくっていくイメージが、浮かびやすいんじゃないでしょうか」
「もう一つは、リノベーションについて、一定の勉強をしたことがある人がパッケージリノベーションに向いていると思います。右も左も分からず物件探しも初めてですという人よりは、再販物件も見たり、設計や工務店も探してみたりしている人。そんな人だと、ある程度の自由は利くこのパッケージリノベーションの合理性みたいなものが理解できるんじゃないでしょうか?
リノベしたいと物件を探し1〜3ヶ月くらい経った人は、この選択肢を視野に入れるとよいと思います。スピード感を持って進めないと、リノベ物件って難しいということがよく分かると思います」
と、住宅を見るプロならではのコメントもいただきました。
良い中古物件を見つけても、改装にいくらかかるのかが分からないと、いくらでローンを組むかが決められない。そもそも設計、工事はどこに頼もうかと迷っているうちに人気の物件は、他の方の買い付けが……と、物件の購入はスピード勝負の世界でもあります。
あらかじめいくつかの銀行でいくらくらいローンが借りられるのか事前審査をしておいたり、依頼先の目星をつけておいたり。物件購入前から出来ることはしておいて、その時に備え瞬発力を養っておくことが大切です。「備えよ、常に」ボーイスカウトに伝わるこの合言葉、家づくりをする方もぜひ覚えておいていただきたい名言だと個人的に思っています。
仕事をしながら時間を捻出しての家づくり。ある程度おまかせする部分もありつつ、今回の池本さんの住まいのように、自分の暮らしに対する要望をきちんとプランに落とし込める「パッケージリノベーション」という選択肢。池本さんの打ち合わせの様子など、参考になった方も多いのではないでしょうか?
池本さんとtoolbox代表の荒川が「パッケージリノベーションを深堀」をテーマに対談したアーカイブがYouTubeのtoolbox channelにあります。
今回ご自身のリノベ経験に加えて、パッケージリノベーションが求められるエリアや、リノベーション前提の中古マンションの販売スタイルの可能性など、幅広い視点で語っていただきましたので、興味がある人はご覧になってください。
YouTubeトークライブ「パッケージリノベーションを深堀り」
ASSYには標準仕様以外にオプションで選べるアイテムもあるため詳細はお問い合わせください。
ASSYでリノベーションした他の家についてもコラムで紹介しています。是非のぞいてみてください。
ASSYの仕様や詳細をご覧になりたい方はASSYの特設ページや、カタログをご覧ください。カタログは無料で請求が可能です。
フルリノベーションではなく、部分的にASSYを取り入れたいというご相談も受けつけております。部分リフォームを検討している方もお問い合わせください。