調布駅東口。駅前の賑わいから一歩離れた静かな住宅地。
祖父母が40年近く洋食屋を営んできた、思い入れのある地にカフェ併用住居を建設。「日常の暮らしを少しだけ豊かにするその手伝いをする場所」というコンセプトではじめた1階のカフェをご紹介します。
かわいらしい3階建ての木造住宅。
1Fの店舗入口は、斜めに貼られたウエスタンレッドシダーの壁材にロゴだけが目印。何のお店だろうと思わず足を止めたくなりますね。
実はここは、オーナーのご家族が“キッチン泉”や“泉荘”など、”泉”という名前を引き継ぎ、代々店を経営してきた場所。
グラフィックデザイナーさんの提案で、カフェの店名は「いづみ」に。店のロゴサインは、”泉の湧き出るような場所”という意が込められているそうです。
丸太のベンチは、ちょっとしたウェイティングスペースになっています。
お店に入ると、大きなテラゾーのカウンターがお出迎え。このカウンターには、木のロゴマークが。
シナを多用したシンプルで居心地のよさそうな店内。家具はすべてハンス・J・ウェグナーのもの。
お客様に合わせて、オーナーが一杯、一杯丁寧にドリップした珈琲をいれてくれます。
厨房は、オープンでいたいというオーナーの要望から、カウンターの高さを940mmと低めに設定。
収納やゴミ箱、冷蔵庫を見えても良いしつらえとしたそう。片付けの行き届く、所作を大切にする精神が現れています。
使い込むほど味が出る真鍮の照明器具に合わせて、カウンター後ろのキッチン扉には、真鍮で統一された金物たちが。
シンク正面の長いものは、『ハンガーバー 6Φ 真鍮』を使っていただきました。
お店の奥は、一段下がったラウンジスペースになっています。
構造体である柱、梁、斜材が連続し、森の中にいるようですね。
突然ですが、ここでクイズ!
上の写真の中に、toolboxの真鍮製の商品がもう一つ使われています。カウンターの中以外。さぁ、どこでしょう?
答えは、入口のガラス戸を入ってすぐ横。
ここに『真鍮スイングバー』が付いていました。見つけられましたか?(笑)
上に向いた棒が、カチカチと180度自由に動き、モノ掛けになるこちらのバー。こちらのカフェでは、雨の日の傘入れ袋掛けとして使っていただいてるのだとか。使ってない時も凛々しい立ち姿です。
夜の様子。
平日は朝7時からオープン。お散歩途中、出勤前の一杯に。家の近くにこんな場所があったらしあわせですね。
お近くにいかれた方はぜひ。
2-3階の住居部分の記事はこちらです。
「いづみ」
東京都調布市布田2丁目32−32
定休日:水曜日
open:平日朝7時、土日祝10時〜
※2020年6月時点で時短営業中。16:30ラストオーダー、17時までの営業。
※HPはありません
(来生)
TENHACHI ARCHITECT & INTERIORDESIGN / てんはち
建築設計、リノベーション、インテリア・家具デザインを行う一級建築士事務所です。
.8 / TENHACHIとは「0.8」。20%の「余白」がある状態です。
私たちの描く完成予想図は、工事が完了した時ではありません。時間の流れと共に、人が使うことで、いい風合いになっていく。大切に使われ続けることで、長い年月をかけ100に向かうような建物や空間を創ることが、私たちの想い。そんな「未来」を思い描くような未完成なデザイン活動でありたいと思っています。