ぬくもりと暮らす
日本を代表する木とも言われるヒノキ。ヒノキと言えば、まな板やせいろなどの調理器具や、旅館の檜風呂とかお寺とか。高級感のある美しい木目が特徴的。水に強くて、耐久性に優れているため、古くから日本の建築から生活まで広く馴染んでいます。
馴染みのある樹種ではあるものの、家具を買うときにヒノキが選択肢に入ることはなかったように思います。スギやヒノキといった国産の樹種に対して、どこか和風だったり、現代の住空間には合わないイメージがあったのかもしれません。
改めてヒノキに触れてみると、そのやわらかさにうっとりしました。触れても冷たくない、しっとりとした肌触り。木に求めるぬくもりとは、この質感を言うのだと思いました。
このやさしさに溢れた手触りをまといながら、数百年と建物を支えるほど耐久性があるというのだから驚きです。
現代の暮らしの中でヒノキともう少し気軽に付き合えないかと、テーブルをつくりました。テーブルに使われる木はオークやウォルナット、チークなど硬い樹種が定番ですが、日常的に手で触れるものだからこそ、このホッとするやわらかさが合うと思うのです。
やわらかな真っ直ぐさ
「ヒノキ卓」で使っているのは、森林浴発祥の地とも言われる長野県上松町で育った木曽ヒノキ。
樹齢80年以上のヒノキから、あえて小さな節が入っている材を選んで使っています。多すぎも少なすぎもしない、ちょうどいいバランスを見つけました。
林業の世界では、ヒノキは「無節」という節が全くない綺麗な柾目がランクが高いとされているそうですが、日常的に使うテーブルには、上品な木目よりも節がほどよくあったほうが、緊張感がなくて付き合いやすいと思うんです。
触った時のやわらかな質感が見た目からも伝わってきます。
テーブル脚は50mmの角材を組んだ、構造的な形。木口からもおだやかな木目がのぞきます。やわらかいヒノキに、角材の直線的なラインが合わさることで、ほっこりしすぎないバランスに。
天板は20mmと薄めにし、天板と脚の間にスリットを入れて軽やかな印象にまとめました。
シンプルな形状なので、組み立ては簡単。工具は必要なく、金具はネジだけ。軽いので模様替えや引っ越しの負担にもなりません。
意外な包容力
テーブル脚と天板は別々にも販売しています。ヒノキを別の素材と合わせるとこれまた面白いんです。あたたかなヒノキの質感が個性がある素材もすんなり受け入れてくれて、和風なイメージはどこへやら。
無機質な『モルタル天板』と、実は相性バッチリ。モルタルでクールな印象を持たせながらも、ヒノキの脚がのぞくことで、バランスがとれるんです。天板もヒノキだとほっこりしすぎてしまうときには、おすすめの組み合わせです。
樹種違いで組み合わせるという手も。ウォルナットやオークなどの海外産の硬い樹種の重厚感を、やわらかな質感のヒノキの脚が程よく抑え、軽やかに見せてくれます。
そのときどきの暮らしにあわせて
既成サイズのほか、高さ、幅、奥行きが1cm単位でサイズオーダー可能です。
自分の身体や椅子などの家具にサイズを合わせるのはもちろんですが、脚が真っ直ぐな角材なので、空間にサイズを合わせると造作したような納まりになります。
キッチンの高さと奥行きに合わせて作業台としたり、壁と本棚の間の幅に合わせてカウンターとしてもよさそう。
使う場所や人数が変わって天板が小さくなったら、一回り大きいものに変えてみてください。木目に飽きたら色を塗って、好きなインテリアが変わったら天板の素材を変えて。脚をノコギリで切れば、子ども用デスクやローテーブルにもなります。
引っ越しをしたり、使う人が変わっても、そのときどきに応じて姿を変えていける。少しずつ手を加えながら、気負わずに長く付き合っていただければ嬉しいです。
組み立ての手順はこちらの記事で説明しています。
開発パートナー:SPEAC 宮部浩幸