見せるキッチン、隠す収納
システムキッチンよりもオリジナルでつくられたキッチンに惹かれてしまいます。壁のタイルや棚を工夫して、調理器具を見せてしまうキッチンに憧れてしまうのです。
かつては台所は隠すものでしたが、今はオープンにして空間の見せ場にする人も増えてきたのではないでしょうか。
ただ問題は収納です。調理器具や皿を素敵にディスプレイできればよいのですが、戦場のような毎日ではキープするのもなかなか……。
きちんと隠せるキッチン用の収納が欲しいわけですが、探すとこれが見つからない。特に既製品の吊り戸棚は味気ないツヤっとした物ばかりしか出てきません。
無関心にキッチン本体に合わせるだけの脇役だった吊り戸棚ですが、主役級の存在感がある名脇役がいないものかと探してしまうわけです。
ざっくりとした素材 ラーチ
今回の吊り戸棚は、ちゃんと扉がついて中を隠せつつも、見せるキッチンとしてかわいい収納です。目線に近い場所に設置する吊り戸棚は目立つ存在。だから無垢材の床など木の質感にこだわった空間にも合うような素材選びがされています。
外側の箱はラーチ合板といわれる板を使っています。構造用合板とも言われるもので節が多くワイルドな木目で強度があるのが特徴です。元々が見せるために作られた素材ではないので非常にラフな表情なのですが、そのざっくりした感じがかえって良いのです。
このラーチの部分は、無塗装品とクリアオイル塗装仕上げを用意しました。油汚れも考えられる場所なので、基本的にはクリアオイル塗装仕上げを選んでもらいたいのですが、空間の色のバランスにあわせて無塗装品に着色してもらうことも出来ます。
食器などを収納する戸棚なので、外側はざっくりしているのですが内部はホワイトのポリ合板という素材をつかっています。水をはじく素材なので汚れが拭き取りやすい素材です。個人的にはラーチの木目に縁取られた白のコントラストが気に入っていて、ラフな空間にもシンプルな空間にもどちらにも合わせやすそうです。
懐かしさのある 戸
吊り戸棚の多くは開き扉ですが、こちらは引き戸です。指をかけるための丸い穴を薄い板に空けただけのシンプルなつくりで、すーっと横に引いて開け閉めする感覚がどこか懐かしさを感じさせます。
この引き戸の素材にもポリ合板を使いました。このポリという素材、色数が豊富にあるのが特徴です。なので、今回は6色のバリエーションを用意しました。どの色もラーチに合うくすんだ色を選んでいます。
幅が選べる2サイズ
サイズのバリエーションは幅が750mmと900mmの2種類。広いキッチンの場合、2台を横に並べて使うのもいいかもしれません。1台使いでも、レンジフードにくっつけずにポツンと設置するのもかわいいと思います
高さと奥行きは2サイズとも共通です。システムキッチンの吊り戸棚とくらべると、高さは400mmと少し小さめにしてあります。背の高い吊り戸棚は圧迫感があり天井付近が重たく感じるので、あえての小さめです。天井とのあいだに隙間をあけて設置することで空間が広く感じられます。
もちろん戸棚の上に物を載せられるので、グリーンを並べたりすると、より一層かわいいかと。