世界にひとつだけの鎚目(つちめ)模様
こちらのシェード、斑点のような模様が入っているのが分かりますか?
この模様は「鎚目(つちめ)」と言います。そして、この鎚目を生み出している人を鍛金(たんきん)作家と呼びます。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。
「鍛金」というのは、読んで字の如く、金属を鍛える=叩く金工法の一つ。模様をつくるだけでなく、金属の平板から立体物もつくることができるのだとか。写真のように、ひとつひとつ金属の板を金鎚で叩いて、叩いて、ひたすら叩いて、模様をつくり出しているんです。
シェードの表面に広がる無数の鎚目はとても有機的で、同じ模様となるものはひとつもありません。
製作の様子はコラムで紹介しています。
単灯でも、複数灯でも
E17タイプのお皿型は直径20cmと小ぶりなので、複数灯を空間に取り入れるのもおすすめ。もちろん、ワンポイントで吊るしても。ちなみにこちらのシェードをつくっている作家さんの工房では、カウンターの上に3灯を並べて吊るしています。
E26タイプのお皿型は直径約35cmと大ぶり。ダイニングテーブルの上に1灯使いでも十分な明るさを確保できるほどの大きさです。大胆な大きさではあるものの、艶美なシェードの姿にうっとりします。
コード長は、約90cm。日本の一般的な住宅の天井高(2.5m)を考慮して、ダイニングテーブルの上に吊るすとちょうど良い高さにシェードがくる長さになっています。コードが長すぎる場合は、くるくるっと巻いて結束バンドで留めたり、中の電線が切れない程度にゆるく結わいて調節してください。
仕上げは4種類
「真鍮素地」は金鎚で形をつくり上げた後、クエン酸で酸化膜を取り、重曹で磨き上げて仕上げます。素地の仕上げはここまで。ピカピカと煌めき、真新しさを感じますが、古物との相性が抜群なのは真鍮だからこそ。
「黒染め」は、その後さらに薬品を使って、黒く染め上げます。正確には銅を硫化させ、黒く発色させているだけなので、色落ちなどの心配は無用です。
「緑青」は、お寺の屋根や鐘などの表面についている緑がかった錆びの色。それらは長い時間をかけて自然に生じたものですが、こちらのシェードはバーナーで炙った後、緑青色に仕上げる薬品につけ、水を霧吹きし、天日で水分をゆっくりと蒸発させて、鮮やかな青に発色させています。
「アルミ」は素地をそのまま叩いて仕上げますが、輝きを失わないように火の温度に注意が必要です。クールなシルバー色ですが、鎚目模様によって上品な高級感を感じられます。工業系とは違ったアルミの魅力をお楽しみください。あえて真鍮ソケットを合わせ、軽すぎない印象にしています。
模様は2種類あり、サイズと仕上げに合うよう叩き方を変えています。写真をじっくりと眺めてお選びください。
使うほどに空間に馴染む、趣あるシェード
シェードに使っている素材はアルミと真鍮と銅。それぞれ1円、5円、10円硬貨として使われており、私たち日本人には馴染みのある金属ですよね。
「真鍮素地」は空気中の酸素と結合しやすい素材。使っていくうちに少しずつ枯れた色合いになり、独特の深い味わいが滲み広がります。そんな経年変化の趣を楽しんでいただきたいから、敢えてすべて無塗装にしています。
「黒染め」と「緑青」は仕上げが施されているので経年変化は緩やかですが、だんだん深みのある味わいになっていきます。「アルミ」は色はあまり変わりませんが輝きが落ち着いてきます。
持ち主と出会ってから、育っていく照明。ちょっと愛着がわきませんか?共に時間を重ね、慈しんでいただければ幸いです。
開発パートナー: WATO 小笠原加純
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製作の様子は動画でもご覧いただけます。