時間をかけて変化を楽しむ
この壁の数年後を見てみたい。撮影に行ったときの第一印象です。
真っ白で飾り立てることなく、手づくりの味わいがあってどこかあったかくなる。できたての新しい壁なのに、既にかすれた感じが出ていて……このままでも、もちろん好きなんですが、むしろ、早く使い古した感じになってほしいと思いました。
好きな時計を釘で止めたり、フックを取付けて買ったばかりのコートをぶら下げておいたりして、模様替えをするときには釘の位置を変えるかもしれません。当然、釘の跡は残りますし、そのうち塗装が剥げてきて、何かをぶつけて傷がつくこともあって。
そんな生活のなんでもない行動が、壁がゆっくりと変化していくことで、ちょっとずつ壁に刻み込まれていくような気がするんです。そうやってできた壁は、きっと部屋にもなじみ、自分にも馴染んでいくんだと思います。
自然に経年変化していくのもいいですが、わざと傷をつけたり、色を塗り替えてみるのも良いかもしれません。作られた古材風ではなく、自分なりの壁をつくっていく感じです。
この壁は時間が経つほどに愛着が出てくる壁です。感傷深い方は、何年か経った時、コーヒーでも飲みながら、壁をぼーっと眺めてみましょう。思い出に浸れるかもしれません。
家具だけじゃなく壁も合わせる
革や木目にこだわった家具を使っている人は多いと思います。でもその家具たちが置かれた空間の内装が気になるわけです。せっかくの素材感やデザインなのに、壁があじけないっていうのは……
デスクとソファの後ろに白い羽目板ができた時、空気が変わりました。
家具と壁に一体感が出て、なんだか前からそうであったかのようにピタッとマッチしたのです。壁の印象って大きいんです。
開発パートナー:ANGULO 石岡鉄平
(開発担当:荒川)