自分色に染められるって知っていた
「私たちは好みの範囲が広いので、0から自分たちで組み立てるとブレる可能性もありました。」
そう切り出すのは、もうすぐ2歳になるお子さんと暮らす工藤さんご夫婦。
いつか住みたい家に出会えたらいいなと思って始めた物件探しは、気付けば2年の時が経ち、今まで40件ほど内見してきたそうです。
ゆるりと始めた物件探しでも、いざ物件購入が決まるとローンや銀行を検討し審査や手続きに追われる日々。
大きな決断を短期間で行っていかなくてはいけません。
1人暮らしをしていた頃からtoolboxのことを知っていた工藤さんは、当時から「ASSY」という強い味方を知っていたからこそ、そんなスピード勝負の場面になってもドーンと構えていられたといいます。
「ASSYはコンセプトや世界観のベースがあり、その上で自分たちで選ぶ要素もありました。好きな空間がブレないし、自分たちらしさも取り入れられるのがちょうどよかった。」
映画や音楽、絵や本など、趣味や興味の範囲が広いお二人ですが、お互いが今まで収集してきたものたちを受け止めてくれるポテンシャルがあることをASSYから感じとってくれていました。
細部のパーツまであらかじめ仕様が決まっているからこそ、間取りに注力できたことが今回最大のポイント。
図面を入手したその日から、工藤さんは間取りという名のパズルに取りかかります。
仕方がない、に立ち向かう
工藤さんはプロダクトデザインのお仕事に携わっていることから、普段から「なんでこの形になったのか」を突き詰める場面が多いそう。
「都合上仕方のない壁っていうのがどうしても納得できなくて。構造上仕方なくある柱や、PSの壁、そういう壁面にそこに存在する意味をもたせたかったんです。」
都合上仕方のない壁…?と最初に聞いた時はハテナが浮かんでしまった私。
基本的に柱や壁は存在するものとして認識していたし、何の疑問も抱くことなく生きてきて数十年、工藤さんの視点にハッとさせられました。
今まで生活してきた賃貸の暮らしでは、もちろん間取りは既に決まっていたし、都合上仕方なく存在している壁が多いことが気になっていたのだとか。
そんな背景もあり、いつか作るマイホームに関しては間取りを自由に組み立てられることが最優先事項に。自分の暮らしにフィットする空間を作ってみたかったと言います。
「廊下の長さを最小限に」と「キッチンにパントリーを作る」を必須条件として掲げ、間取りを組み立てていきました。
私が初めてこの間取りを見たとき、平面でもわかる無駄のない空間、そして各所にユニークな仕掛けがありそう!とワクワクしたのを覚えています。
工藤さんが仕方のない壁と向き合ったとき、どのような空間が生まれたのでしょうか。
向き合ったことで生まれた個性
このお家の特徴的な部分でもある、曲面のある壁。通称R(アール)壁。
廊下の長さを最小限にしたいと考えたとき、LDKの建具位置をずらすことで物理的に距離は短くできたのですが、「廊下感」が出てしまう狭い通路がネックに。
どうにかして玄関入ったときに見える廊下の閉塞感を無くせないかと考えたとき、壁の角を取ることによってその分床面積が増えるのでは、と思ったそうです。
R壁を採用したことによって廊下っぽさのない、玄関ホールのような人が滞在できるスペースに。
広さが確保できたからこそ、クローゼットからお洋服を選んで鏡の前でコーディネートをしたり、お子さんがおもちゃを広げて遊べる空間になりました。
また、必須条件としてあったパントリーは、計画している場所だとどうしても壁が出てきてしまう。
「玄関と意匠を合わせるためでもありますが、食卓の丸テーブルを置いてみたらキッチンとダイニングの空間が緩やかにつながったのも気に入っています。」
結果意匠としても目を惹くR壁ですが、その回答に至るまでのアプローチ方法は工藤さんならでは。
見た目も機能もあきらめない、そんな気概を感じました。
ダイニングの近くに、実はもうひとつ「仕方がない壁」が潜んでいます。
リビングスペースを広く確保するために壁の位置や建具の位置をパズルのように組み合わせて行った結果、窪みができてしまったという壁面。
組み合わせ上仕方なくできてしまったその窪みですが、工藤さんはベンチを設けることで人が滞在できる居場所になるのでは、と考えました。
ベンチの下も手抜かりなし。
収納スペースとして使えるように棚を設置しました。
奥行きもあるので、収納力も抜群です。
ベンチに座ってお子様の様子を眺めたり、1人で座ってぼーっとしたり。
今では滞在している時間が最も長いスペースになっているそうです。
まだまだあります!「仕方がない壁」シリーズ。
こちらは玄関入って土間続きにあるワークスペース。
元々の間取りでは個室になっていました。
工藤さんは内見時に出窓の両脇にあった柱型を見て、その凹凸が気になり何か意味を持たせられないかとその場で検討。
「柱型の凹凸に合わせて天板を作れば、この空間が机を置くための場所になると思って。在宅での仕事も増えたので、ワークスペースが欲しかったのもあります。」
出窓からの眺めもいいことから、ここをオープンなワークスペースとして家族みんなが作業できる空間にしよう!とアイデアが浮かんだそうです。
玄関からワークスペースまでは土間を広げ土足エリアとし、在宅で仕事をする時は靴に履き替えて作業。
家の中でもオン・オフと切り替えられるし、良い気分転換になっているそうです。
工藤さんが考え抜いた「仕方がない」部分へのアプローチ方法は、インタビュー中驚かされることばかりでした。
間取りと真面目に向き合ってきたこともあって、竣工検査では思わず涙を流した工藤さん。
2次元で想像していた空間に、今自分が立っていることに感動したといいます。
「1から決めていたら、逆に時間の制約で諦めなきゃいけない部分があったかもしれない。仕様が決まっていても、自分色に染められることを知っていたので。」
普段はしっかり睡眠を取りたい派の工藤さんですが、寝る間も惜しんで図面と向き合った結果ショートスリーパーになったといいます。
ここまで間取りに注力できたのは、空間の仕上がりイメージをあらかじめ知っていたということ、そして同じ仕様ながら三者三様な暮らしがあることを、ASSYの事例記事から読み解いてくれていました。
これから徐々にお気に入りの家具や小物を増やして、自分たちの色に染めていくのが楽しみ!と日々妄想を膨らましています。
「この壁面、一つ一つに意味があり。」なんだか一句読みたくなってしまうような工藤さんたちらしいお家づくりを見せていただきました。
ASSYでリノベーションした他の家についてもコラムで紹介しています。是非のぞいてみてください。
ASSYの仕様や詳細をご覧になりたい方はASSYの特設ページや、カタログをご覧ください。カタログは無料で請求が可能です。
フルリノベーションではなく、部分的にASSYを取り入れたいというご相談も受けつけております。部分リフォームを検討している方もお問い合わせください。
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