ガレージセールの運営は2023年から新卒スタッフが担当しています。
入社したばかりの私たちは、ECショップで物を売るという感覚がまだイメージしきれていない状態です。
ガレージセールを通して、自分たちで値付けをして、対面でお客様に販売をして、売上を立てるという一連の流れを経験できることは貴重な成長の機会だと思っています。

今年は、1年目の私と2年目のスタッフ計3人が運営メンバーに。
私も入社前にガレージセールのイベントの記事を読んだり、当日お手伝いしたりする中で、イベントの企画ができるなんて楽しそう!とわくわくしていたのですが…。実際に運営に携わってみると、準備段階でやる項目の多さや気を配らなければいけない範囲の広さに驚き、目が回る日々。

運営メンバーで試行錯誤しながらやり遂げたガレージセール、その開催までの様子をお届けします!

どんなイベントにしたい?昨年度の反省からスタート

6月下旬。ガレージセールの企画が動き出しました。まずは前回の振り返りから。
「近所のお客さんもふらっと寄ってくれたよね」
「もっと地域の人に楽しんでもらえるようなイベントにしたかったね」など記憶を呼び起こします。
共通していた想いは、toolbox単体ではなく、目白を巻き込んで地域の人にも楽しんでもらえるようなイベントにしたいということ。

そもそもガレージセールとは、倉庫やスタジオにストックされている試作品や、正規では販売できないものたちを特別価格で提供しようというイベントになります。
普段はWEBで商品を販売している私たちにとって、ガレージセールはお客さんに会える貴重な機会。
ただお買い得な商品が売られているイベントではなく、toolboxを知っている人も知らない人もその場の雰囲気を楽しんでもらえるようにしたい考えました。

toolbox東京ショールームがある目白。

買わなくても楽しめるイベントにするためには?

ガレージセールのメインはものの販売。とはいえ、商品を買う以外の楽しみもあるようなイベントにしたい。
そう考えた私たちは、りんご箱をつくるワークショップとカタログで使っているイラストを印刷できるシルクスクリーン体験を企画しました。

toolboxらしい内容が良いよねと考えたのが、フローリング材を使ったりんご箱づくり。
倉庫に大量に眠っていた、開発中に生まれた試作品のフローリングを何かに有効活用できないかと考えて立ち上がった企画です。何度も試作を繰り返して、インパクトドライバーをあまり使ったことがない初心者でもビスを打ちやすくしたり、本棚や調味料入れとして使いやすいサイズを検討。さらには、綺麗な仕上がりになるように、底面で組み合わせるフローリングの実(さね)をカットするまでのこだわりようです。

そしてイベントを盛り上げるもう一つの要素は飲食!
ショールームのある目白の人たちを巻き込んでイベントを盛り上げていきたい。そんな思いがあった私たちは、ご近所さんのカフェCaDさんに出店を依頼することに。

イベント当日に通常営業もされている中で、同じ目白エリアでわざわざ出店してもらえるのだろうか、とドキドキしながら依頼しに行きました。CaDのオーナーさんは、目白のお店を集めたイベントを主催されていたこともある方。イベントの主旨と目白地域の人たちと一緒に盛り上げていきたいという思いを伝えると、その思いに共感していただけたのか「やりましょう!」と快く承諾いただけました。

コーヒーや絶品ホットドッグを楽しめるスタッフも大好きなカフェです。

出店していただけることにはなったものの、toolboxで飲食物を販売するのは初めて。どこで?どうやって?そもそも提供には許可が必要なのでは?実際にやるとなると疑問が噴出。

前例もなく、社内に詳しい人もいない中で、ネットで調べた情報を元になんとか実現できそうな方法を探っていきました。どうやら飲食物の提供には営業許可が必要らしい…となり、保健所に赴き申請。イベントの目的や思いを自分たちの言葉で伝えて、営業許可を取得できた時には、これでCaDさんをお呼びできると一安心でした。

実現に向けて、自分たちの言葉で思いを伝えて交渉し、壁を乗り越えていくプロセスを通じて、主体となってプロジェクトを動かしているという実感を得られました。

当日までの準備はやることがたくさん!

イベントの内容が決まると、本格的に準備がスタート。
開催までの期日が迫る中、やることは山のようにあります。

準備期間で特に印象に残っているのは、会場動線や購入フローのシミュレーション。
ガレージセールは200名ほどが訪れるイベントです。混乱を生まないように、事前にあらゆることを想定する必要があります。商品購入の流れやそれに伴う人の動線など実際の様子をイメージしながら会場レイアウトを考えていきました。

お客様の動線やスタッフをどこに配置するかを図面で想定。

運営スタッフで頭を抱えながら考えた当日のシミュレーション。
会議で共有しましたが、「本当にこれで成立するの?全てのパターンを網羅できてる?」と先輩から鋭い指摘が。図面を実際に空間に落とし込んだ時の想定とのズレや、購入のパターンのシミュレーションなど、まだまだ考えが足りていなかったことに気がつきました。
「頭の中で考えたから大丈夫」ではなく、本当に実現可能か確認をして、起こりうることをどれだけ想定できるかどうか。事前の緻密な準備が当日の円滑な運営につながることを学びました。

イベント開催も間近となり、いよいよ会場の設営がスタート。
お客様の動線にも配慮しつつ、リアルなお店としてのクオリティを高めようと試行錯誤。商品はカテゴリごとに分けてお客様が見やすいように配慮。
レンジフードやフローリングは、倉庫から引き取ってきたパレットを重ねて高さを出して展示しました。倉庫でしっかり使い込まれたパレットは、会場内で良い味を出してくれていました。

そして、今回は商品の売り方にも一工夫。
どうやって使ったら良いのか想像しづらい商品もあるので、「これに使えるかも」とか「ここが推しポイント」というスタッフのつぶやきをマスキングテープで貼っていきました。
ただ値札が貼ってあるよりも人間味が出て、商品を手に取ってもらえるような仕掛けができたのではないでしょうか。

自分たちでつくる精神

ポップやチラシ、会場の什器などは自分たちで作成しています。
毎年ガレージセールに合わせてビジュアルをデザインし、チラシやポスターにして宣伝します。

看板は余ったフローリング材で手づくり。

コーヒーを販売する作業カウンターはツールボックス工事班が制作。
1日だけのイベントで使うものなので、簡易的なものを想像していたのですが、toolbxoのロゴが付いたキャッチーな仕上がりのものを製作してくれるとは…。

作業ワゴンの右下に、3Dプリンターでつくったtoolboxロゴが。

ガレージセール準備も大詰めの横で、ベテランスタッフが毎日深夜まで何やら作業。
こちらは現場で拾ってきたキッチンを改造して蘇らせています。

こちらのキッチンもガレージセールで販売。

通常業務もあって忙しい中、自分の時間を使って納得のいくまでこだわって良いものにしようとする。先輩方が率先してそんな姿を見せてくれるところもtoolboxの魅力だと感じました。

ついに2024年度ガレージセールの幕開け!

迎えた当日。
会場を盛り上げるために、スタッフが「TOOLS」を壁に取り付けてくれました!これがあるだけで、ぐっとイベント感が増します。

地下もお客さんで賑わっていました。なんと3時間ほどじっくりと会場で悩んでいただいた方もいたとか。楽しんでいただけたようで何よりです!

りんご箱のワークショップは小さなお子さんから大人まで幅広く参加してくれました。企画した当初、りんご箱のワークショップは小さいお子さんだと難しいかな?なんて思っていましたが、どんどん挑戦してくれる姿が頼もしい!

会場の外に設置したベンチスペースにはCaDさんのコーヒーを片手にのんびりと休憩する人たちの姿が。たまたま通りかかった人も、その様子を見て、「何かやっているの?」と立ち寄ってくださり。当初、飲食店を出店したい!と企画した時に思い描いていた風景に、実現できて良かったという気持ちが込み上げました。
買い物が終わっても会場に滞在して時間を過ごしているお客様を見て、イベントとして楽しいガレージセールになったことを実感しました。

ドタバタの中準備を進めてきたイベント開催までの約半年間。
準備期間を通して、時には「やってしまった」と失敗をしながら、物事を成功させるための想像力と自分のキャパシティを広げられました。

どんなイベントにしていくかは自分たち次第。自由度が高い代わりに、目的と内容とを組み立てる企画力や交渉力、実行力が鍛えられるイベント運営です。4月に新しく入ってくるメンバーと共につくりあげる次回のガレージセールは、どんな形になるのでしょうか。気合いを入れて取り組みます!

CaD

ソーセージのTESIO、お酒のIMADEYA、カフェやショップ、ポップアップなどを5坪のまちかどに集約した住宅街の小さな複合施設。

テキスト:長橋