10周年を迎えたtoolboxを支えてくれている職人さんたちを深堀りする職人コラム第3段。vol.1 vol.2 では、7名の職人さんにインタビューを実施。その愛用の道具をご紹介しましたが、今回は、普段あまり訪れることのない職人さんの仕事場事情について。

現場に赴くことが多い職人さん。そんな多忙な職人さんたちの仕事場ですが、実は、意外と僕らも知らなかったりするんです。じゃあ、どんな仕事場なの?ということで、実際に職人さんの仕事場を見せてもらいました。

壁も天井もフル活用!ミラーボール回る木工房

東京・渋谷にほど近い池尻大橋の建物の地下に、『木製カーテンレール』や『ラーチのサイドキャビネット』などの木製品を製造してくれている家具職人の石岡鉄平(いしおかてっぺい)さんの工房はあります。

ディスプレイのように壁一面に整理された工具たち。(撮影:Masanori Kaneshita)

vol.1 愛用の道具編」でもカラフルな作業スペースと黄色のDEWALTのテーブルソーをご紹介しましが、室内は全体で約60㎡。

決して広々とはいえない空間をいかに効率的に使えるかを熟考して作り上げた空間は、機能性はもちろんのこと、センスよく収納された道具や材料が店舗のディスプレイのよう。

実は外にも資材置き場兼作業のできるスペースが!(撮影:Masanori Kaneshita)

天井スペースも無駄にはしません!端材を収納。

えっ?天井からミラーボール!?

建具などのカラフルな色合いのあそび心あふれる空間に、ところどころ点在するなぞなオブジェたち。

店舗の内装相談も多いという石岡さんのセンスが垣間見れる仕事場でした。

下町の商店街・戸越銀座に根ざした3拠点で3つの顔を使い分け?

製作風景を撮った「手作業がつくる 滑らかな手触り」撮影時の様子(2019年)

東急池上線「戸越銀座」の駅を下りると、下町情緒あふれる戸越銀座商店街が続きます。街歩きを楽しんだその先に、マルチな家具職人の瀬尾洋介さんの工房はあります。

ここからtoolboxのサイズオーダー品『木の手摺』や『造り付け本棚』『カウンターデスク』は生み出されているのです。『木の手摺』の製作風景を撮った動画「手作業がつくる 滑らかな手触り」の撮影舞台もこちら。

最近ではこの工房が少し手狭になってきたので、新しい場所をもう一つ借りたとのこと。そちらにもお邪魔してみました。

シャッターフルオープンだと丸見えな室内。

案内してくれたのが、徒歩5分程の場所にある「社長室兼倉庫」。
約40坪のかなり広いスペースです。

まず目に飛び込んでくるのは、「vol.2 愛用の道具編」でも紹介してくれた、真っ赤な「Milwaukee(ミルウォーキー)」の工具の数々。

ミルウォーキーの工具たちが好きすぎて、海外から輸入して、販売も手がけているそうです。マニアの間では、聖地として有名になりつつあるのだとか…

アメリカから届いたばかりの新しいアイテムを荷解きしながらルンルンとセッティング中。

こちらは、即売会の様子。壁のように積まれたミルウォーキーの赤々赤。瀬尾さんと繋がる職人さんたちが大集合!

瀬尾さんの会社名は「株式会社瀬尾商店」といいます。

え?モノをつくってるから商店?お店なの?と思いますよね。

なんと、家具職人の瀬尾さんは、2013年に戸越銀座に「瀬尾商店」という名の雑貨屋を構える商売人の顔も持っているのです。

お総菜屋、食べ物屋が建ち並ぶ戸越銀座商店街の中に、「瀬尾商店」発見!

代表は瀬尾さんですが、実際の店頭は瀬尾さんの妹夫婦がメインで切り盛り。大人から子供までワクワクするような雑貨を中心としたアイテムが店内にずらり!お店の一部にはお兄さん(瀬尾さん)のDIY向きのコーナーも。

戸越銀座へお越しの際はぜひお立ち寄りあれ!

丘の上の男前なロマンが詰まったガレージ工房

横浜の「元町中華街」駅からバスにゆられること約20分。周囲には米軍ハウスもぽつぽつと残るような丘の上に、左官職人 水口泰基(みなくちたいき)さん率いる工務店 T-PLASTER の拠点はあります。

倉庫を改装し、サインペインティングを施した大きな建物。屋根には、どこかで見たことのあるようなTの字のマーク。全体的にアメリカっぽい雰囲気がにじみ出ていて、とにかくカッコイイ!

「vol.2 愛用の道具編」では、ハンズフリーのスピーカーを紹介してくれました。

1階の工房スペース 出番を待つ古材や古建具がぎっしり。

最上階の倉庫部分 好きな人にはわくわくが止らないお宝たち。

屋上はスタッフだけの休憩スペース。この見渡す限りの眺望よ!!

建物は、1階が工房スペース、2階は「レインボー倉庫」というシェアスペース、最上階の3階はお宝がぎっしり眠る倉庫スペース。そして、隣接する元米軍ハウスの建物はショールームに。製作した家具や取り扱う素材を見て触って試すことができます。

建物の中には、味のある木材をはじめ、古い椅子、テーブル、照明、なぞなオブジェなど、様々なものが置かれています。これらは、水口さんが古今東西買い集めた物だそうで、空間をデザインしていく中で必要なアイテムとして活躍しているそうです。

無垢材と植物性樹脂(エコポキシー)を組み合わせて作るオンリーワンな「レジンテーブル」。

2階クリエイターのシェアオフィス。現在は月1でレジンテーブルをつくるためのワークショップを開催中。

ショールームスペース1階。動物さんたちがインパクト大!テーブル天板はモールテックス。

隣り合う建物の1階と地下はショールーム。工事の相談を行ったり、家具のオーダーを受け付けたり、時にはイベントスペースや撮影スタジオとして使われることも。

ショールームスペースの地下。床やテーブル天板は『パレット古材』をアレンジして。

パレット古材』をさらに着色したりしてアレンジした床やテーブル天板など、古材をふんだんに使った内装、オリジナルの什器、水口さんの得意技である左官の技が光るモールテックスのテーブル天板と見どころいっぱい。この世界観が好きな人にとっては、夢のような場所でした。

蔦に覆われた癒しの小屋と庭

横浜市都筑区の住宅街を抜けた先に、造園・外構工事を行い、toolboxの『ウッドフェンス』の施工パートナーでもある「ブロカント」の女性スタッフ三次真綾(みつぎまあや)さんの職場があります。

東京・自由が丘には、アンティーク雑貨や、グリーンに関するアイテムを扱うショップがあるのですが、ここは主にバックオフィス兼倉庫的な位置付け。

フランスから届いたアンティークの建具や、お客様のお庭に植えられる前の植栽たちがスタンバイしています。

vol.2 愛用の道具編」のインタビューでお邪魔したのもこちらの場所。

中に入ると、無造作に置かれたアンティークの自転車や、外壁に伸びる蔦たちはじめ、自然に自生して何年も前からあるかのような、ラフな雰囲気で作られた気持ちよさそうなお庭。ここが職場なの?お洒落過ぎる!と思わずにはいられません。

せっかくなので、気軽に訪れることのできる、ショップの方もご紹介。

緑に覆われた外観。1階が「Brocante」。

2階「Seeding」では、グリーンやお庭を楽しむアイテムを販売中。

東京・自由が丘の店舗は、1階がフランスアンティーク家具・雑貨を販売する「Brocante(ブロカント)」、2階が庭の楽しみが広がる商品の販売をしている「Seeding」として営業中。

三次さんも、シフト制で店頭に立つこともあるそうです。
グリーンに癒されながら、気軽に相談をしに立ち寄ってみてはいかがでしょう。

取材を終えて

いつもは現場で会うことが多いので、あまり見る機会がない職人さん自身の仕事場。今回の取材を通し、実際にお邪魔させていただき、仕事のセンスがいい職人さんのオフィスは、アジトという方がしっくりくるような、各自の個性が溢れる空間になっていたのが印象的でした。

次回は「生態編」。職人さんたちの、仕事着とプライベート事情を深堀します。お楽しみに。

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株式会社アングロ | ANGULO

toolboxの初期から活動を共にしてくれているオーダー家具屋、石岡鉄平さん。
デザイン性の優れた家具製作のみならず、現場での施工や空間デザインも手掛けています。

家具の郵送対応の場合は、全国ご相談可能です。

瀬尾商店

toolboxの初期から活動を共にしてくれている造作家具屋さん。
家具が専門でありながら、リフォーム・リノベーションなど何でもオールマイティにこなしてくれる頼れる存在。
戸越では「瀬尾商店」という名の雑貨も買えるオーダー家具店を営んでいます。

T-PLASTER | 有限会社ティープラスター

「made with soul.」をコンセプトに、“素材へのこだわり”、“ずっと大切に使えるモノづくり”、“世代を超えて過ごせる空間づくり”を通じて、自然を守ることと、モノのあり方を追求したサスティナブルな暮らしを作る工務店。
古材や素材の良さを活かしたリノベーションをはじめ、無垢材家具の製作、美しさと環境への配慮を両立させたレジンプロダクトの製作、オンラインストア販売などを行っています。

BROCANTE | ブロカント

外構造園業を主とし、庭にまつわる商品や植物を販売するショップの運営、およびwebメディア「seeding」で生活の中で植物への親しみをより一層感じていただけるような情報を発信中。
東京・自由が丘のショップでは、年に数回、フランスへ渡り家具や雑貨を買い付け、アンティークに加え、シーズンに合わせたインポート雑貨も取り揃えています。