10周年を迎えたtoolboxを支えてくれている職人さんたちを深堀りする職人コラム第3段。vol.1 vo.2 では、7名の職人さんにインタビューを実施して、その「愛用の道具」をご紹介。vol.3 「アジト編」では、アジトと呼びたくなるような仕事場をご紹介しました。今回は、そんな職人さんの仕事着とプライベート事情について、気になるあれこれ質問してみました。

生態01:職人コーデ

職人さん=ダボダボズボンのニッカポッカなイメージが強かったですが、あれは主に高所で作業する鳶職の方の危険予測に利点のある作業着だそう。じゃあ、toolboxの職人さんたちはどうなの?ということで、聞いてみました。

ワッペンでアクセント、お気に入りのブランド一筋のツナギ派

映画化もされた「プリズンブレイク」の囚人たちが着ていたのもREDKAP製だそう。

vol.3 アジト編」では、ミラーボール回る、センスのいい仕事場ではたらく様子を見せてくれた家具職人の石岡鉄平(いしおかてっぺい)さん。夏以外は、つなぎをご愛用。私服の上から着れてしまう気楽さが魅力なのだとか。

お気に入りは、「REDKAP(レッドキャップ)」というアメリカでは定番のワーカーズブランド。汚れ過ぎたら買い替えてと、かれこれ20年くらい浮気せずこのブランド一筋。日本製や他のものも試したものの、シルエットが一番キレイなのがお気に入りの理由なのだとか。

新調するたびに、その時の気分でワッペンを選んで胸元に付け直すのが石岡さん流のこだわりです。

選ばれた者だけが着れる、オリジナルな作業着派

社名だけじゃない!伝えたい熱いメッセージも載せた背中を見せてくれたのは、左官職人で工務店T-PLASTERの代表、水口泰基(みなくちたいき)さん。「vol.3 アジト編」では、オリジナルな世界観溢れる仕事場を披露してくれましたが、その思いは、仕事着にも。渾身のオリジナル作業着です。

ちなみにこの作業着は、入社してすぐには貰えず、水口さんが「よしっ」と思った社員が貰えるらしいです。

作業のときだけパッと取り付け「エプロン派」

庭しごとをするBROCANTE 三次真綾(みつぎまあや)さんの仕事着は、何か作業用の服に着替えるということでなく、着ている服の上からエプロンを付けるスタイル。力のない三次さんは身体にくっつけながらでないと重いものを運べないので、汚れ防止にこのエプロンが必須なのだとか。

ズボンは、ポケットが大きめでツールなどが入れやすい「ENDS AND MEANS」別注のオリジナルワークパンツ

植物や「vol.2 愛用の道具編」 で紹介してくれた小ぶりなクワデや長靴を運ぶ際にはエプロンを広げて袋替わりにして運んだりと、所作が軽やかなのが印象的でした。

私服がそのまま作業着に派

その年その年、「テーマ」を決めて、そのテーマに沿った洋服を古着屋さんで探すという、塗装職人の工藤文紀(くどうふみのり)さん。「vol.1 愛用の道具編」で紹介した、パテヘラを入れるドクターズバック然り、身の回りのアイテムにはそれぞれ吟味して選ばれた理由があって面白い。

ちなみに今年は、タイカラーのイエローがテーマなんだとか。

私服が作業着になる派のみなさまのオフショット。2019年のショールーム工事中より。(左から瀬尾さん、渡邉さん / 見田さん、瀬尾さん)

その他にも、「昔はこだわってレースアップのブーツを履いたりもしていたけど、いまは、現場で脱いだり履いたりしやすいKeenが一番で、もう戻れない!」なんて、年齢とともにとんがりっぷりがゆるんだことをこっそり告白してくれたり、猛暑にエアコンも入らない過酷な現場で作業をするために、着心地や機能性重視と語る職人さんがいたり。

それぞれの重視するポイントがバラバラで、面白い職人コーデでした。

生態02:のぞき見!OFF事情

お仕事の時は、朝早くから動きだすイメージの職人さんたち。お休みの日、お仕事以外の時間は何をしてるのでしょう?

根っからの植物好き。暮らしの中で植物との楽しいつきあい方を模索

取材時、お手製の木蓮のお茶を出してくれました。

造園業という仕事柄、植物と触れ合う機会が多い三次真綾さん。

家から近くほぼ庭間隔という多摩川沿いで朝ごはんを食べたりと、プライベートでも自然の中で過ごすことが何より大好き。豆料理にはまっていたりと、お仕事で毎日忙しいなはずなのに、手間のかかるようなことをしているのが逆にストレス発散なのだとか。

木蓮の花の雄しべだけとって、布の上で2日くらい乾燥させたものにお湯を注ぐだけ。

写真は、取材時に出していただいた木蓮の花を乾燥させたお茶。木蓮は、すぐに花が散り汚くなってしまうので、仕事で提案する機会は少ないそうなのですが、ご自宅に咲いたものを加工して楽しむ方法を模索しているそう。

日常的に、こうした植物の楽しみ方を実践されていると、お客様への提案にも説得力が増しそうですね。木蓮の花は、本当にいい香りでした。ごちそうさまでした!

筋肉は裏切らない!子供が起きる前の早朝ルーティーン

大工の仕事は、重い材料を運び、持ち上げ、組み立てと、とにかく体力勝負!と語る渡邉光(わたなべひかる)さん。「vol.1 愛用の道具編」の取材時も、重い木材を一人で持ち上げ玄翁(げんのう)をふるっていました。

そんな彼がはまっているのは、2日に一度、朝の5時から家の近所のジムで一汗流すこと。ベンチプレスを中心に約1時間、筋トレに励んでいるそうです。

さくっと一汗かいたら、6時すぎには帰宅。子供に朝ご飯を食べさせてから現場に向かうというイクメンの一面も。爽やかがすぎる!

電気屋さんのもう一つの顔はミュージシャン

右が見田さん。電気屋さんだけどエレキギターは弾けないそう。

vol.2 愛用の道具編」でも露出配管をかっこよく決めるツールを紹介してくれた電気屋 見田諭(みたさとる)さんのもう一つの顔、それはなんとミュージシャン!

見田さんは、「The BOCOS(ボコス)」というギターデュオとして活動しています。

2019年 群馬県嬬恋で行われたTiny Garden Fesの焚き火ライブの様子。

各地のライブに出演したり、ときには有名ミュージシャンのレコーディング演奏に参加することも。

toolboxが目白のいまの場所に移転した2019年の夏、工事も佳境な金曜夕方。某スタッフが、「おつかれさまでーす」とショールームで照明コーナーの取り付けをしてくれていた見田さんにご挨拶してフェスに出掛けたら、翌日夜のまったり焚き火ライブに演者として見田さんが演奏していたなんて偶然も!

宮城の塩窯市で開催されたガマロックフェス出演時のもの。上段の左から3列目に発見!

オフ事情といいつつ、見田さんにとっては、音楽の延長に電気の世界があり、電気の延長に音楽の世界がある。どちらの仕事が表、裏と分ける必要もなく、2つの世界を楽しんでいるのです。

The BOCOSの音楽はこちらでチェック
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DJもこなす本格派、趣味のレコードは自慢の収納ですっきり納めて

ビシっとキレイに納まったご自宅のDJブースまわり。

レコードが大の趣味だという家具職人の石岡鉄平さん。昔売ってしまったレコードも、今になって「やっぱり欲しい!」と、また買い戻しているというから、筋金入りのレコード愛好家です。好きなジャンルはDISCO SOULやHIP HOP、R&B系だそう。

vol.3 アジト編」で、石岡さんの工房に吊られていた「ミラーボール」はそういうことか!と納得。

ターンテーブル横の自作の収納ケースは、閉じれば持ち運べるBOXタイプ。

レコードを収納する棚やケースも石岡さんがつくったそう。こんなものが欲しいなぁ、と思ったらさっとセンスよくつくれてしまうその機動力、うらやましすぎます!

五感をフル動員!相棒のHARLEYに乗ってリフレッシュ

1956年製と1970年製の愛車と。親方、絵になりすぎてます!

知る人ぞ知る、バイク好きな左官職人 水口泰基さん。大事にしているのは、バイク雑誌にも度々取り上げられているというご自慢の古いHARLEYたち。

古いバイクなのでコンディションも日によって良し悪しがあります。バイクの調子、その日の天気や道の混み具合などの走る環境、自分のコンディション、その3拍子全てが完璧に揃った状態でHARLEYに乗って走っている時が最高に気持ちいいのだそう。

映画MADMAXの世界みたい!と大興奮な造形美。

五感をフルに使うから、短い間でも乗っていればリフレッシュ。左官の仕事を請け負ったお客様のご自宅へこのバイクで行くこともあるというから、すごい!!

1970年頃から10年ほど使われていたハーレーの「No.1」マーク。

「vol.3 アジト編」で、仕事場の屋根に書いてあった「T」字のマーク、あれはこのハーレーのマークが元ネタだったのとか!

取材を終えて

7人の職人さん、それぞれのこだわりが垣間みれた「生態編」。普段聞けない、意外な裏側やこだわりを聞いて、職人さんへのリスペクトは高まるばかり!

次回は、いよいよ職人コラム最終回。

取材チームからまさかの職人弟子入り志願者が!?「職人は一日にして成らず」をお届けします。

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株式会社アングロ | ANGULO

toolboxの初期から活動を共にしてくれているオーダー家具屋、石岡鉄平さん。
デザイン性の優れた家具製作のみならず、現場での施工や空間デザインも手掛けています。

家具の郵送対応の場合は、全国ご相談可能です。

T-PLASTER | 有限会社ティープラスター

「made with soul.」をコンセプトに、“素材へのこだわり”、“ずっと大切に使えるモノづくり”、“世代を超えて過ごせる空間づくり”を通じて、自然を守ることと、モノのあり方を追求したサスティナブルな暮らしを作る工務店。
古材や素材の良さを活かしたリノベーションをはじめ、無垢材家具の製作、美しさと環境への配慮を両立させたレジンプロダクトの製作、オンラインストア販売などを行っています。

BROCANTE | ブロカント

外構造園業を主とし、庭にまつわる商品や植物を販売するショップの運営、およびwebメディア「seeding」で生活の中で植物への親しみをより一層感じていただけるような情報を発信中。
東京・自由が丘のショップでは、年に数回、フランスへ渡り家具や雑貨を買い付け、アンティークに加え、シーズンに合わせたインポート雑貨も取り揃えています。

塗りlabo+  工藤文紀

アイアン塗料などの特殊塗装から、内装、家具、外部塗装まで、頼れる塗装職人さん。

例えば空の青がいいと言われた時に、その人の青はどんな青だろうというイメージのすり合わせのような言葉を交わして同じ青をみつける。そんなやり取りをずっと大切にしたいと思っています。

見田諭 (有限会社本間電気)

toolbox工事でお世話になっている電気職人さん。
露出配管をきれいにおさめてくれるリノベーション工事の頼れるパートナー。

「スイッチ交換ひとつから、電気工事にお困りの際は、お気軽にご相談ください。」
mitatake※me.com  ※を@マークに変えてメールにてお問い合わせください

株式会社Cabbage Truck / キャベジトラック 渡邉光

toolboxでもお世話になっている頼れる大工さん。
設計から施工までまとめて行ったり、建築家案件の施工などをしてます。
壁一枚から家一棟、店舗一式工事までお気軽に。

瀬尾商店

toolboxの初期から活動を共にしてくれている造作家具屋さん。
家具が専門でありながら、リフォーム・リノベーションなど何でもオールマイティにこなしてくれる頼れる存在。
戸越では「瀬尾商店」という名の雑貨も買えるオーダー家具店を営んでいます。