青山通りの喧騒から離れ、緑の並木が続く落ち着いた青学西門通り沿いに、オルネ ド フォイユというライフスタイルショップがある。店内に一歩足を踏み入れると、パリの空気が感じられるようなインテリア雑貨やファッション小物などが並び、ちょっとした異空間。
仕入れと店舗空間のディレクションを担当しているのは、パリで14年間暮らした経歴を持つ、店主の谷あきらさん。甘過ぎずラフ過ぎず・・・という独特のセンスとバランス感覚は、業界内外で一目置かれる存在だ。
昨年出版された『パリ流 谷さんの週末DIY』は、そんな谷さんが自宅や店舗で実践している空間アイデアを集めたもの。
この本の真骨頂は、パリ暮らしで身につけた見識を活かしながら、日本のフツーの空間を如何にコストと手間をかけずに本物感漂う欧州スタイルに改造するか、という後半にある。今回は、その後半パートをチラリとご紹介。
パリから日本に拠点を移した谷さんは、豊かな自然と文化に囲まれた鎌倉にファミリータイプの中古戸建を購入。全室から海が見える抜群のロケーションだけど、大手ハウスメーカーのプレハブ住宅(築18年)で、外観も間取りも内装も本当にオーソドックス。谷さんの好みとは真逆なので、DIYで改装することに。
入居前に床・壁・天井の最低限のベースを整え、細かいところは暮らしながら週末に作業。リビング、キッチン、子供部屋、仕事部屋、玄関、水まわり・・・と徐々に手を入れた。入居から3年ちかく経ったいまも、DIYは続いている。どのスペースも、ちょっとしたアイデアで、お金も時間もそこまでかけずに、ここまで日本離れした空間が実現できるなんて!というオドロキの出来。
「自宅リノベで得た知識や経験を、誰でも気軽にできるDIY術としてお客さんにフィードバックしたい」という谷さん。だから、自宅で使われた空間アイデアが、お店のあちこちに。例えば。自宅廊下の壁面に、バラバラなデザインのドアノブなどを取付け、帽子やバッグなど外出前にさっと手に取るものを掛けている。それと似たコーナーを店舗内にも設け、Tシャツやスカーフをディスプレイ。
「あまり難しくとらえず、直感に従って少しずつ手を入れて、自分のお気に入りの住まいをつくりあげることこそ、人生の楽しみにつながります」と谷さん。この本から得られる一番の学びは、「ちゃんとしなくてもいい。なるようになる」という、ゆるーい気の持ちようかも。
実践してみたいノウハウ満載なので、ぜひ本を手にとってみてください。
toolboxでは谷さんの空間術を不定期に紹介していく予定ですのでお楽しみに!