キッチンも棚の一部である
今回取材したのは、都心のマンション一室を購入し、R不動産リノベーションサービスでフルリノベーションを終えたばかりのSさん宅。
「引っ越したばかりでまだまだ片付いていないんです」とおっしゃっていたけれど、伺ってみると壁一面の棚にはかわいい小物達がきれいに並べられ、キッチンもとてもうまく使いこなされていた。
扉や段差がないので、キャスター付き収納もそのまま入る。
決め手は自由設計できるサイズにあり
Sさんは初めからこのキッチンの採用を予定していた訳ではなかった。
プランニングの段階で電化製品、食器、本や小物などをディスプレーして見せるというアイディアにまとまり、壁面を作り付けの棚で構成することになった。それからリビングダイニングにお気に入りのソファを置くスペースや、デスクワークが出来る書斎ゾーンを確保していった。その結果、キッチンスペースの幅が限定され、サイズが決まっている既製品のキッチンでは対応が難しいことがわかった。
そこで設計者から提案されたのがカスタムキッチンだった。天板の寸法が自由に変えられるこのキッチンは、シンプルかつ掃除がしやすいこと、というSさんの要望にも添うものだった。
作り付けの棚や洗濯機を囲う壁の面材に合わせ、キッチンにもラワンベニヤを使用しニスで仕上げた。天板の下に調理器具や小物を置ける棚を付けたことで、キッチンも棚の一部かのような設えになった。
既製品のキッチンと違い、造作家具の仕上げに合わせられるのもオリジナルキッチンだからこそ。
飴色に染まったラワン材が、Sさんの集めている小物達にしっくりと馴染んでいた。
一時的にこの棚に洗いものを置く。
キッチンをきれいに保つ秘訣とは
キッチン下の棚板にはカトラリーが入った籐籠を入れた。
分別の数だけ増えるゴミ箱も、キャスター付きならスルッとそのまま天板下に納まり、家事動線の邪魔にならない。
また天板の幅に余裕のないキッチンでは作業台が水切り籠などを置く場所になってしまいがちなで、一時的に洗った物を置く水切り棚を壁に設置した。壁を上手に使うことで作業台を確保でき、コンパクトなサイズのキッチンでも十分料理を楽しめる。
「洗った食器は出しっぱなしにせず、すぐに拭いて棚にしまうのがキッチン廻りをきれいに保つコツです。慣れると意外とめんどくさくないですよ」とSさん。
確かに食器棚の収納量に関わらず、洗った食器が水切り籠の中に山盛りになり、そこからお目当ての食器を掘って探すということになりがち。一手間を惜しまない事がきれいへの近道だ。
食器は吸収力抜群のフキンで拭いてすぐ食器棚へ。
Sさんは言う「ステンレスバイブレーションの天板は傷も目立ちにくく、お手入れがとても楽ですね。カトラリー入れの籠は引き出すときに引きずってしまうので、籠の幅くらいの引き出しが一つあれば便利ですね」
数ヶ月のリノベーションをようやく終え、これからは友人をたくさん呼びたいとおっしゃるSさん。わいわい楽しい時を過ごすきっかけに、このキッチンがなってくれればと思う。