「ほしいあかりのイメージ」から考える照明計画の仕方をお伝えする『ライティングガイド』。

Vol.4は、リノベーション空間の定番・ライティングレールについて。

照明器具を好みの箇所に設置できる自由度の高さが魅力のライティングレールは、レールの配置の仕方や色の選び方で空間全体の印象を変えられます。スポットライトを付けるだけじゃない、意外に知られていない活用方法もご紹介。ライティングレールを使いこなして理想の部屋をつくりましょう。

この人に聞いた
荒川公良

前職では設計事務所でインテリアデザインに携わっていた、ライティングにはこだわりのあるtoolboxのリーダー。

ライティングレールの配置パターンと空間の形

複数の照明器具をレール上のどこにでも取り付けることができるライティングレール。

照明器具の取り付け、取り外しが簡単なので、家具のレイアウトや空間の使い方を変えたい場面がきたときにも便利なアイテムです。ただし、ライティングレール自体の位置を変えることは大かがりな工事が必要なため、空間の形や使い方をしっかりイメージして、取付位置を考えましょう。

天井 I型

細長い形の空間に向いているI型。

天井の中央、長手方向にライティングレールを配置することで、少ない本数で、部屋の端から端まであかりを作ることができます。

天井 平行型

縦横に広さがある空間ではライティングレールを平行に設置して。壁際にもしっかりあかりを作れて、部屋の各所を照らすことができます。

レールがI型よりも壁に近づくので、壁を照らした間接光も作りやすいです。

天井 ロの字型

平行型の応用編。正方形に近い形の部屋では、各壁面沿いにレールを設置しておくのがおすすめ。

縦横どこにでも照明器具を設置でき、テーブルや壁面などピンポイントに真上から照明を当てることができます。

梁 平行型

天井面をすっきり見せたい場合には、天井との境の梁側にライティングレールを設置して。

天井面を照らすことで、天井面からの光の反射も期待できます。

天井 吊り型

戸建ての小屋組現しなど天井が高い空間では、ライティングレール自体を適切な高さに吊るす方法も。

天井面をダイナミックに照らすことが出来たり、電球交換のメンテナンスもしやすくなります。

POINT
「スイッチを分ける」ことも大事なポイント

広い空間にライティングレールを通す場合、食事後はダイニグゾーンの照明はオフにして、リビング側だけにあかりを灯したいなど、スイッチの系統をどう切り分けたいかも同時に考えることが重要です。

1つのゾーンに、1スイッチが基本になります。

1つのスイッチに系統をまとめる場合:レール上にある全ての電球がスイッチのオン / オフに連動する。

居場所ごとにスイッチの系統を分ける場合:食事後はダイニングの照明を消してリビング側だけ灯すなど使い分けが可能。

Check! 工事要らずで取り付けできる「簡易取付式ライティングレール」

簡易取付式ライティングレール』は電気工事要らずで取り付けることができるライティングレール。

賃貸の部屋や、すでにお住まいになられている家でも、天井に引掛けシーリング用のローゼットが付いている場合なら、取り付けることができます。

長さは1.6m、色はブラックとホワイトの2種類です。

ライティングレールの色と天井仕上げ

一般に販売されているライティングレールの色は、ホワイトとブラックが定番。

ライティングレール使用率が高いリノベーション空間では、天井は白い仕上げかコンクリート躯体現し仕上げが多く見られます。

ライティングレールと天井の色の組み合わせ方も、空間デザインの要素と考えて選びましょう。

白天井×ブラック

白く明るい天井面にあえてブラックのライティングレールを組み合わせると、空間のアクセントになります。スポットライトはレールの色と合わせるのがおすすめ。

写真提供:ASTER / 撮影:Anami Haruki

白天井×ホワイト

ライティングレールを脇役として空間に馴染ませたい場合は白い天井とホワイトの組み合わせで。照明器具が引き立ちます。

写真提供::HandiHouse project

コンクリート躯体現し×ブラック

ブラックを合わせると、コンクリート躯体の重厚な雰囲気が引き立ちます。天井が低い場合は、存在感が強すぎて目障りになることもあるのでご注意を。

写真提供:ReBITA

コンクリート躯体現し×ホワイト

コンクリート躯体でも、ホワイトを合わせると頭上が軽やかな印象に。天井面をすっきりさせたい場合や、開放感を得たい場合におすすめ。

写真提供:ANCHOR DESIGN

Check! 「木製ライティングレールカバー」で木のぬくもりをプラス

ライティングレールではシンプルすぎて天井面がさびしいという時に。無機質なライティングレールを木で包み込んだ『木製ライティングレールカバー』はいかがでしょう。

チーク×黒レール、オーク×白レールの2種類。長さは1mと2mから選ぶことができます。

プラグを組み合わせて天井面をもっと有効活用

ライティングレールには、定番のスポットライトだけでなく、専用プラグを組み合わせて使うと活用の幅がぐっと広がります。

ペンダントライトや裸電球を付けることができるプラグ、コンセントを挿せるプラグや吊りフックがあり、これらをうまく組み合わせて使うことで、ライティングレールを活かした天井面の空間のアレンジを楽しむことができます。

ARRANGE1
スポットライトを付ける

ライティングレールと組み合わせる定番とも言える、ギャラリーや店舗で良く使われている演出用の照明。照らす方向や角度を調整できます。

天井があまり高くない住居で使う場合は、小型のスポットライトを選ぶと空間を圧迫しません。

ARRANGE2
ペンダント照明を吊るす

引掛けシーリング用のペンダントライトも、プラグを使えばライティングレールに取り付けることができます。

空間全体はスポットライトで照らし、ダイニングテーブルの上だけペンダントライトを吊るすといった照明配置が可能になります。

ARRANGE3
裸電球をつける

ソケット型のプラグを使って電球を取り付けることもできます。

等間隔で配置すれば部屋全体を照らすベース照明に。フィラメントに特徴があるクリア電球や形がユニークな電球を付けて楽しむこともできます。

ARRANGE4
フックにグリーンを吊るす

耐荷重5kgの吊りフック。グリーンやモビールなどのオブジェを飾ってみるのはいかがでしょう。

ペンダントライトのコードの長さ調整にも使うことができます。

ARRANGE5
コンセントも使えます

コンセント型のプラグもあるので、コンセントタイプの照明器具をライティングレールに取り付けることができます。

照明器具だけでなく、床近くから電源が取りにくい場面で、天井のライティングレールから電源をとるといったことも可能に。

住み始めてから明るさの足し引きを簡単にできて、家具のレイアウト変更をしたいときや空間の使い方を変えたい場面でも自由度の高いライティングレール。スポットライトに限らずさまざまな照明器具を使うことができ、あかりによる空間演出の幅を広げてくれます。

空間のサイズやプロポーション、天井の色、スイッチの切り分けなどもよく検討した上で採用すると、より効果を発揮してくれます。

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