レンジフード本体の高さと幅を10mm単位で自由にオーダーできる、オーダーレンジフード。幅は、最小500mmから最大1200mm、高さは250mmから900mmの間でオーダーできます。
一般的なレンジフードの設置高さはコンロの表面から800mmの位置に設置しますが、最近は家の中心にキッチンがある間取りも多く、正直「キッチン上のレンジフード邪魔だなぁ」と思うことも。
そんなときにオーダーレンジフードを使えば、本体の幅を大きくすることで、通常の800mmより高い位置に設置しても、煙をよく吸ってくれます。
どれくらい効果があるのか!?ということで、オーダーレンジフードの幅1000mmと500mmのサイズを用意。一般的なコンロ上800mmとチャレンジングな1200mm離した距離で、実際に煙をモクモク焚いて煙の吸い込み試験を行ってみました。
煙捕集試験は、レンジフードにダクトを設置し、コンロで線香を焚いて煙をどの程度吸うのか目視にて確認をします。線香を焚く、といっても仏壇でつかうような1〜2本ではなく、10本を3分割に折ってフライパンで強火で加熱します。すると、もくもくと白い煙が大量に立ち上るのです。
立ち上がった煙が漏れることなく吸えていれば100%とし、煙の補集率を確認します。
まずはコンロからの離隔距離を一般的な800mmの高さに設定。レンジフードの幅は500mmと1000mmで実験を行いました。
壁にレンジフードを取り付け、試験開始!
結果は……
W500:煙捕集率95%
W1000:煙捕集率99%
(どちらも強で運転)
どちらのサイズも驚きの数値!!W1000に至っては、目視では煙が漏れていることを確認できませんでした。
捕集率の合格値はメーカーによって異なりますが、85%以上吸えば及第点と言われています。
オーダーレンジフードは、吸い込み口のスリットを細くすることで、部分的に気流の流れを早くし、まるで煙を掴むように吸い込む「エアグリットスリット」を採用しているのですが、まさかここまで吸うとは!!
次にそれぞれのコンロからの離隔距離を800mmから1200mmに変更。
一般的には、換気計算の都合もあり、離隔距離は1000mmまでに設定することが多いレンジフードですが、ここは思い切って1200mmに挑戦です。
結果は……
W500:煙捕集率70%
W1000:煙捕集率90%
(どちらも強で運転)
W500では離隔距離800mmに比べ、-25%と極端に煙捕集率がダウン……やはり離隔距離1200mmは無謀な挑戦だったのか……と思いきや、なんとW1000で脅威の90%!!どよめきが起こりました。
これがどれくらいすごいことなのか、なかなか伝わりにくいと思うので解説しますと、一般的に煙は熱によって上昇気流にのって勢いよく上昇をします。が、高さがあると上昇気流が徐々に弱まっていきます。
上昇気流が弱まると、煙が横に広がろうとしますが、ここで前途の「エアグリップスリット」が効力を発揮します。逃げようとする煙を、高速の気流でしっかりキャッチしてくれるのです。
当初の予想では、離隔距離1200mmの場合、80%くらい吸ってくれたらいいなと思っていました。それくらい煙は上にのぼるほど広がりやすく、吸いにくくなることが経験上わかっていたからです。僕らが感激した理由が少しでもわかっていただけたら嬉しいです。
ちなみに、幅を大きくすればエアグリップスリット関係なく煙をしっかり吸うのでは?と思いましたが、整流版を外してエアグリップスリットをなくした場合、煙捕集率は60%までガクンと落ちました。
当然、実際の使用環境と実験環境は異なりますので、あくまで参考値ではあります。実験は無風の状況で試験を行っていますが、実生活では窓からの風が入ってきたり、子どもたちが走り回ったりすることで、煙の流れを攪拌するため、環境が悪くなるからです。
ですが今回の実験では、一般的なレンジフードよりも、非常に高い効果を確認することができました!
最後に、今回の実験のまとめです!
ご参考にしていただければ幸いです!
・当然ではありますが、離隔距離が通常の800mmの場合はコンロを覆う大きさで十分吸います。 (W600のコンロならW600でOK)
・離隔距離が1200mmの場合はW1000あれば安心!
・中間の距離は検査をしていませんが、離隔距離の0.9倍程度の幅を設定すると良さそうです。(離隔距離が1000mmならレンジフードW900mmという感じ。)
(椎野)