明るくも鈍くも輝く、真鍮の魅力
金のような華やかな光沢に目を奪われたかと思えば、徐々に自らの輝きを鈍化させ、味を増していく真鍮という素材。使い込んでいくほどに自分に馴染んでくる革製品のように向き合える、なんだか懐っこい金属です。
その昔は、金の代用品として使われていたことがあり、仏具やヴィンテージインテリアなど、華美な装飾のものもよくみられます。身近なところで言えば、5円玉や金管楽器なども真鍮製です。
今や人気な素材である真鍮ですが、真鍮製のインテリア用品や雑貨に目を向けてみると、元々アンティークな加工がされていたり、バリ風や北欧風のようなテイストの装飾がついたアイテムが多い。そのためか、真鍮に対して、デコラティブといったイメージを抱いていたように感じます。
toolboxでは、真鍮という素材そのものの良さに着目し、シンプルなデザインのアイテムを多く扱っています。
真鍮の魅力の一つは経年変化です。亜鉛と銅でつくられた合金であるため、空気や水に触れることで銅が酸化し、黒ずみや緑青が現れます。
経年変化した真鍮は、より深みが増して重厚な印象に。
使用される環境によって、変化の度合いが違うのも面白いと思います。
磨き立ての光沢は少し派手に感じる空間でも、少し時間が経てば変わって見えたり、渋すぎるのであれば磨けば輝きを取り戻す。自分の空間に合わせて好きなように付き合えばいいと思うのです。
どんな姿にも気品を感じる素材ですが、あえてラフな空間と合わせて印象をミックスさせてみても面白いと思います。
そんな魅力的な素材、真鍮を効果的に使った空間を見ていきながら、toolboxの真鍮アイテムやコーディネートアイデアをご紹介します。
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白基調の空間に真鍮でアクセントを
白壁に木を合わせた明るい空間は、真鍮の光沢がよく合います。白をベースにすれば、他の素材も取り入れやすいです。
デザイン性のあるアイテムを一点づかいするもよし、シンプルに素材そのものを楽しんでみても。
白壁に印象的な真鍮の照明をポイント使いした寝室の事例。
真鍮の光沢やゆらぎと、ルーバー扉の陰影がそれぞれアクセントとして良いバランスで存在しています。扉のつまみも真鍮で統一することで、照明とルーバーの意匠が際立っているよう。
シンプルなトイレに、スチール製のアメリカンスイッチ、鉄製のハンガーパイプ、ステンレス製の『ミニマルペーパーホルダー』、真鍮の『棚受け金物』と色々な素材を組み合わせた空間。
金物の素材はあえて揃えていませんが、ミニマムなデザインのアイテムを選びバランスをとっています。
ステンレスや鉄など無骨な印象をもつ素材に真鍮を合わせることで、工業的な印象に寄せすぎず、テイストを決めつけない空間に。
装飾を一切排除した、素材を楽しむ棚受け。
その質感を思う存分楽しんで欲しいので着色や塗装はしていません。工場で一つ一つ手作りされており、量産品にはない味を感じられます。
どうやっても木と真鍮は相性抜群
真鍮にあう定番素材と言えば、木ではないでしょうか。温かみを感じさせる木の表情と、真鍮の柔らかな光沢が合わないわけがありません。
オークやシナのような、木目がそこまで強くない木材にはもちろん、赤みのあるラワンと合わせると品がある印象に。経年変化した真鍮は、ラーチやパインなど木目が強い樹種や、古材・足場板など味のある木とも意外と合うんです。
セルフリノベーションをしたマンションのキッチン。
扉はラワン合板にワックスで塗装し、『把手の金物』の真鍮をつけています。既存の柱や味のあるフローリングとの相性も良い。クリーム色のタイルと合わさって、ノスタルジックな印象をつくっています。
丸みを帯びたコの字の把手。これ以上ないくらいシンプルな形状が、どんな扉も受け入れてくれます。
無塗装品なので経年変化を楽しめるのはもちろん、毎日触る場所だからこそ、育てる感覚にもなってきます。
音楽と珈琲を楽しめるシックな印象の自家焙煎珈琲店。
奥のステージには大きなヴィンテージスピーカーが鎮座しています。ヴィンテージテイストが馴染むよう赤茶に着色した『チェッカーパーケット』のステージに真鍮で見切りを。
些細な部分ですが、経年変化する素材だからこそ、ヴィンテージ品を引き立てるステージにぴったり。足元の光沢が、上質な印象をつくっています。
ガレージにOSB合板でつくったデスクスペース。左側の壁に、古美色が美しい『真鍮金物』のタオル掛けを採用。
かなりラフな空間に、あえて合わせた真鍮。経年変化が進んだ古色だから、趣味のガジェット類とも相性が良いのだと思います。
ミニマムなデザインで小ぶりなのに、手にしてみるとそのずっしりとした重さに驚きます。
クリアワックスを塗っていますが、素地とほぼ同じ見た目で、経年変化も起こります。金物作家さんの手によって一つずつつくられる、量産品にはない趣を楽しんでください。
『クラシックリブパネル』で陰影を効かせた寝室をEdit!
赤褐色とリブの形状が真鍮とぴったり。ここはあえて、クリア塗装済みの『船舶シェードランプ』で真鍮の艶やかな表情を楽しみたい。へら絞りでつくられたシェードは光沢が美しい。
ベッドサイドのキャビネットは、『鋳物キッチン把手』をつけて重厚感をプラス。
カラーと合わせてコントラストを楽しむ
カラーと真鍮の組み合わせも面白いです。暖色系のカラーとは馴染みがよく、寒色系に合わせると、コントラストが強くなり双方の魅力を引き立てます。素材や色が混ざる空間では、それぞれの個性を受け止めて、まとめてくれる存在に。
色むらのあるグリーンのタイルが鮮やかなII型キッチン。棚受けとシンク側の照明に真鍮を取り入れています。光沢が強い状態の真鍮とエメラルドグリーンが重なり、華やかな印象に。
白を基調にしたリビングダイニングのなかに、鮮やかなキッチンというコントラストの付け方が参考になります。
真鍮のペンダントライトはいわずもがなフローリングと馴染みがよく、2つの空間を繋ぐ役割も。
ビビットなレモンイエローに濃紺のタイルを合わせた洗面空間。アートのようにすら感じる大胆なカラーリングです。
イエローとネイビーの間に添えられた真鍮の水栓が、はっきりとした2色のコントラストを少し弱めて馴染ませています。足場板の天板とも相性が良く、全体をまとめています。
無骨なコンクリートに潔く真鍮を
印象が相反するコンクリートと真鍮。躯体の荒い表情を取り入れた空間に、あえて上品な印象の真鍮を合わせて、ミックスしたテイストを楽しんでみても。木も取り入れた空間や、無骨な印象に寄せたくない時に活躍してくれます。
黒で塗装した天井に荒々しい躯体梁がアートのように引き立つ空間。真鍮のペンダントライトは小ぶりながらもキラリと光り、存在感があります。
真鍮と躯体が組み合わさることで、印象の違いを互いに引き立てあっているよう。夜になれば、黒天井の下で光るソケットのほのかな反射も美しそうです。
真鍮のソケットとコードだけのシンプルな照明。あえてシェードはつけず、ソケットの真鍮素材を見せる使い方はどうでしょう。
壁と距離をとって使えるアイテムだからこそ、さりげなく真鍮を取り入れたい時にはぴったりだと思います。
電球はお好きなものを選んでください。白熱球はもちろん、エジソン電球、シャンデリア球なども絵になります。
和を取り入れた空間にこそ真鍮の上品さ
和を感じる空間には、品のある真鍮がよく合います。ミニマムなデザインのアイテムを取り入れることで、しなやかな印象を引き立ててくれます。
築古に和のテイストを入れてリノベした事例。赤茶をキーカラーとした空間に真鍮の照明を段違いで並べています。
木造らしい構造美と和のしなやかさ、真鍮がもつ気品ある印象がマッチ。空間の高さや建具の美しさを引き立てているように感じます。
和を感じさせる小さなくつろぎスペースをEdit!
『和紙の置き畳』を敷いた、ほんの4畳くらいの小さな和のスペース。お昼寝したり、本を読んだり、ひっそりこもりたい。
そんなほっこりする空間には『メタルラウンジライト』でやわらかい灯りを灯したい。クラシックなフォルムが和の趣にしっくりくるんです。
<番外編>海外の事例に学ぶ真鍮使い
強堅な石にも対峙する経年した真鍮の魅力
岩山から削り出したような、荒々しい石の洗面に真鍮のミラーと水栓を合わせた事例。古美色に変化した真鍮が石の色味と合い、どっしり構える石に呼応するように存在感を主張しています。経年変化した真鍮に自然の荒さを受け止める力強さを感じました。
混じり合うテイストを楽しむ。中和剤としての真鍮
白タイルと床の幾何学模様がモダンな印象をつくるバスルームに、古いグリーンのキャビネットでインダストリアルな雰囲気の洗面台を造作。それぞれの印象を真鍮色の水栓が中和し、ラフにもモダンにもなりすぎない絶妙なバランスになっています。グリーンと真鍮の相性の良さを活かした印象的な空間です。
toolboxの真鍮アイテム一覧
いくつかピックアップしてきたように、toolboxでは真鍮のアイテムを取り揃えています。ミニマムなデザインやクラシックなアイテムが多く、ほとんどの商品は素地やクリアワックス仕上げなので、経年変化は思う存分楽しんでいただけます。
照明
パーツ
洗面ミラー・水栓
その他
ショールームでコーディネートを試せます
事例を一つ一つみていくと、真鍮という素材の力強さも繊細さもどちらも見えてきました。どのような印象をつくるかは使い方次第。ぜひ素材からコーディネートの妄想を膨らませてみてください。
真鍮を使った空間アイデアはtoolboxのピンタレストにまとめています。
ショールームには、素材を組み合わせて空間コーディネートを検討できる“edit” roomもご用意しています。
ぜひ遊びに来てください。
toolboxショールーム:東京都新宿区下落合3-14-16(予約制)
“edit” roomは、toolboxのショールームにある空間編集室です。洋服をコーディネートするように、フローリングや壁材のサンプルパネルを置いたり、パーツや照明を合わせて、床・壁の組み合わせを検討することができます。
気に入った組み合わせはそのまま写真に撮って、イメージをお持ち帰りください。
Instagramでは「#空間編集室」のタグで投稿を募集しています。みなさんからのアイデアはもちろん、スタッフのお気に入りの組み合わせも投稿しています!