ツールボックス工事班によるリノベーションの実験『studyroom #1』。toolboxが自社で購入した築50年越えのマンションで、「ReMake」をテーマに掲げ、既存内装を極力活かし、工作的に手を加えて空間全体をつくり変えるアプローチにトライしています。現場にはタイル工事と左官工事が入り、リノベーションはいよいよ終盤。造作家具や各所の仕上げもフィニッシュ段階に入って、完成が近づいてきました。
ピースをはめろ!凸凹いっぱいシャワーブースのタイル貼り
浴槽なしのシャワーブースにすることで、開放感と洗濯機の設置スペースを確保した水まわり。壁と床の防水工事を終え、いざ仕上げに臨みます。タイルを貼る箇所はシャワーブースを囲む壁。内側の壁面と外側の壁面、壁の厚み部分も入れると計8面!!
使用するタイルは『水彩タイル』で、角のおさまりには今回特別に手配した役物タイルも一部に使用します。
8面それぞれの角に加え、ニッチ棚があったり、柱があったり、梁を覆う出っ張りがあったりと、凸凹だらけのシャワーブース。さらに、役物タイルを貼る角とそうではない角が混在しているので、「どこが役物を貼る角だっけ……(笑)」と戸惑うタイル職人さん。
タイルボンドを塗って、タイルを貼って……壁がどんどんタイルで覆われていきます。
と、ここで難関が。水栓を取り付けるパーツの周りの、小さな余白たち。もちろんここにもタイルを貼るわけで……。
今回貼っている『水彩タイル』は25ミリ角。こうも小さいと、なかなか思ったように割れないと思うんですが、そこはベテラン加賀谷さん、迷いなくタイルカッターを走らせます。
ちいさっ!!これぞ職人技。
パズルのピースがハマるように、隙間がどんどん埋まっていく様は爽快!
ジャーン!タイルパズル、埋まりました!あとは目地を埋めれば完成です。
こちらの白い75ミリ角タイルは、キッチンの壁面に貼るもの。細長い棒状の役物タイルと組み合わせて仕上げます。
と、ここで、タイルを貼るコンクリート柱の幅が、下の方と上の方で違うことが発覚。水平垂直がきっちりしていないのは、古い物件あるある……。
幅の差を少しでも無くそうと、コンクリートの柱の角を必死にやすり掛けする工事班・渋谷。あとは加賀谷さんの職人技でうまくおさめてもらいましょう……!
質感も色もオリジナルな左官仕上げ
タイル貼りが終わったあくる日。現場にやってきたのは、toolboxの人気アイテム『モルタル天板』の共同開発者である、左官職人の大橋さん。
今回、大橋さんに左官で仕上げてもらうのは、浴室の壁の一部と床、キッチンの新設した部分の天板、窓辺のベンチ。
使うのは、大橋さんがオリジナル配合したセメント系左官材。カラーを取り入れ、ベンチは淡いグリーンで、浴室の床とキッチンの天板はベージュの左官材で仕上げます。
左官仕上げをするだけでなく、左官材の材料選びも調合も自分で行っている大橋さん。今回使うものは、大橋さん作の数多のサンプルの中から工事班が選びました。
絶妙なコテ跡をつけながら、モルタルを塗っていきます。
「最後に表面を磨くんだけど、その時に残るムラを意識しながら塗ってる。ムラが多めに欲しい時もあれば、ツルッと仕上げたい時もあるから、その時々で塗り方を変えていくの」
ざっくりラフに塗っているように見えて、大橋さんの頭の中には磨いた後の完成形がイメージされてるんですね。
さまざまなコテを部位ごとに使い分けて仕上げていく大橋さん。角の部分は、コテ部分がL型になったコテで均していきます。
一体いくつコテを持っているのか聞くと、「今日、車に積んである分で100、工房にある分も入れると1000は超えるかな」とのこと。なんと1000!コテの数だけ表現の幅も広がるというわけですね。さすが、土で建築をつくっていた時代から続く左官、奥深い……!
数日後、塗った左官材が乾いたら、表面を磨く「研ぎ出し」の作業です。水まわりの床は全面左官仕上げにしたので、サンダーをかけると中は粉塵だらけに。マスク、大事です。
細かい箇所は紙やすりを使って。ベンチや天板は裏の部分まで磨きます。
やすりをかけた後がこちら。表情が変わってるの、わかるでしょうか。触り心地も、前はざらざらしていたのが、磨かれた石のようなするん!とした手触りになってるんです。この左官ならではの質感、写真じゃ伝えきれないのがもどかしい……ッ!
キッチンまわりも電気関係も追い込み!各所の完成形が見えてきた
後日、現場へ行くと、タイルの目地入れが終わり、左官の床も磨き終わった水まわりの姿が!
洗面のコンクリートブロックの断面はどうなるのかって?これはこの空間のチャームポイントなので、このまま活かします!
キッチンも、どーん!艶やかな表情のモルタル天板が出来上がっていました。上と下で幅が違っていたコンクリート柱のタイルも、違和感なく仕上がっていました。
この日の現場では、キッチン面材の貼り替え作業が行われていました。I型だった既存システムキッチンを2つに切り、L型にリメイクしたキッチン。既存キッチンキャビネットの面材を新しいものに貼り直します。
なが〜いカッティングシートとなが〜い定規で化粧シートを切っていくのは、相内さん。壁紙や化粧シートなど、シートものを貼ることを専門にしている職人さんです。
そこへやってきたのは、工事班・一杉。相内さんのアクリル製定規を見つけて、「おっ!これいいじゃん!棚板にしたらかわいくない?」とはしゃいでいました。
家具職人の瀬尾さんと電気工事士の見田さんもやってきました。キッチンの吊り棚に照明を仕込む作業を行う二人。
仮留めした棚を瀬尾さんが支えている間に、素早く電気配線を整える見田さん。
「棚を固定しちゃうと、配線のために調整したくてもできなくなっちゃうからさ。今日、見田くんが同じタイミングで現場来ててよかった〜!」(瀬尾さん)
こうやってさまざまな専門の職人さんたちの仕事が組み合わさって、各所が出来上がっていくんですね。
配線器具は元々真っ白なメタルモール部材でしたが、「躯体壁に似合わないかも」ということで、工事班が手作業で頑張って塗装を剥がして、鉄素地の表情を出しました。言われなければきっと誰も気づかないポイントだけど、ここも工事班のこだわり。
和室にも畳が入りました。こんな形の畳もオーダーできちゃうんですね。既製サイズの畳を敷きやすいように部屋をつくるのではなく、部屋の形に合わせて畳をつくるスタイル。
そうしてついに、全ての工事が完了!!工事班のメンバーたちが全員集合して、掃除と片付けに明け暮れます。既存内装を極力活かした空間づくり、その結果はどうなったのか!? いよいよ次回は、出来上がった空間のお披露目です。どうぞお楽しみに。
ツールボックス工事班|TBK
toolboxの設計施工チーム。
住宅のリフォーム・リノベーションを専門に、オフィスや賃貸案件も手がけています。
ご予算や目的に応じ、既存や素材をうまく活かしたご提案が特徴です。
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※毎週水曜日の13時から15時まで、東京・目白ショールームに施工チームがいます。工事に関するご相談も承っておりますので、この時間もご活用ください。
瀬尾商店
toolboxの初期から活動を共にしてくれている造作家具屋さん。
家具が専門でありながら、リフォーム・リノベーションなど何でもオールマイティにこなしてくれる頼れる存在。
戸越では「瀬尾商店」という名の雑貨も買えるオーダー家具店を営んでいます。
見田諭 (有限会社本間電気)
toolbox工事でお世話になっている電気職人さん。
露出配管をきれいにおさめてくれるリノベーション工事の頼れるパートナー。
「スイッチ交換ひとつから、電気工事にお困りの際は、お気軽にご相談ください。」
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