「仕事のボールを受け取ったら、後は自分主導で考えるべき」

toolboxの仕事においては主体性が求められます。仕事を受け取ったら、ゴールまでの道筋やスケジュール、内容、ターゲット。全て自分で決めて進めていかなければなりません。

初めは、分からないことだらけで、自分で考えるべきところを「これで合っていますか?」と先輩の中に答えを求める質問をしてしまっていました。そんな時に先輩から言われたのが「自分の仕事の答えは自分の中にあるはずだから、ボールを受け取ったら後は自分で考えていかなければいけないよ」という言葉です。先輩の中に決まった答えがあるのではなく、その先の目的に向けて自分なりの最適解を考えていかなければいけないことに気がつきました。

取り組んでいる仕事について、自分で考えていくべきところをホワイトボードで整理していました

主体性を最初に認識したのは、入社してすぐに始まったプログラムです。toolboxと他社を比較することで、自社の商品の魅力を見つけようというものでした。私はまず、流れを教えてもらおうと思い、「過去の先輩の計画書を参考にさせていただくことはできますか?」と聞きました。すると「それが正解ではないから自分で最初から考えてみてほしい」と返ってきたのです。そこからスタートなのかと驚くと同時に、仕事の形に答えはなく自分で考えることが重要なのだと気がつきました。

最終発表では各部署の先輩方から多方面でのアドバイスをいただきました

その後、自分でスケジュール、比較する企業、内容などを一から考えて発表をしました。全て自分が考えたものにいただくフィードバックは納得感があり、自分の強みと反省点とを認識することができました。

「企画書に正解はない。自分の素直な言葉で書こう。」

5月ごろに始まった商品開発のプログラム。なんと、一つの商品の企画から販売までを担当することになりました。商品開発の肝となる企画書づくりでは、商品の魅力や売りを他の人にも共感してもらえるように言語化していくところから始まります。

この言語化する作業ですが、実際にやってみるととても難しいのです。ついつい「空間に馴染みやすい」や「レトロ」など、どこかで聞いたことのある当たり障りのない言葉を使って、それってどういうこと?と指摘を受けてしまっていました。他の人に「良いね」と共感してもらうためには、表面的な言葉では伝わりません。

商品開発チームの先輩方の前で企画書を発表します

苦戦している私に対して、先輩からいただいたのが「企画書に正解はないから、自分の素直な言葉で書くといいよ」というアドバイスです。ついつい綺麗な言葉でまとめようとしてしまいますが、自分が素直に思ったことを言葉にした方がイメージが湧いて共感してもらえるということに気がつきました。

いつも目の届くところに置いていて、我が子のような気持ちになった担当商品

改めて、この商品の魅力ってなんだろうと、約1ヶ月間デスクにペーパーホルダーを置いて仕事中に眺めながら過ごしました。自分が最初に感じた印象に対して、どうしてそう思ったのかをもう一歩踏み込んで考えました。すると、最初はレトロで可愛いなという感想しか出てこなかったところから、棒を引っ掛ける仕様が簡易的でおもちゃっぽいから懐かしさを感じるのかもと細部に目を向けて考えられるようになったのです。

商品開発だけでなく、研修全体で自分の言葉選びを見直す機会が多くありました。自分の意見を伝える時、他の人にも「確かにそうかも」と思ってもらうためには、なぜそう感じるのかを言語化していく必要があることに気がつきました。

「前提を疑うと別の軸や視点でアイデアが出てくるよ」

システム企画のプログラムで取り組んだのは、WEBサイトの改善案を提案すること。toolboxのサイトで「お客様にとって分かりにくいのではないか」というポイントを見つけ、その解決策を考えることで多角的視点を身につけるというものです。

私は、カスタマイズの自由度の高いキッチンの「商品情報の伝わりにくさ」を改善したいと考えていました。選択できることが多いがゆえに情報量が多く、何ができる商品なのかが初見だと分かりにくかったのです。最初は、他社のサイトを見て「買い物カートに入れる時にこんな手順にしたら改善できるのではないか」と一つの案を提案しました。すると、「他にも検証してみた?」「まだ他に要因がありそうだよね」と指摘をいただいてしまいました。

そこで、改めて分かりにくいポイントを洗い出す作業からスタート。下の写真のように、miroというツールで問題の要因を洗い出し、一つ一つどうしたら改善できるかを考えていきます。この作業からも、自分が今まで課題の一面しか捉えられていなかったことに気づきました。

このように検証を進めていましたが、納得のいくアイデアが出ないなと悩んでいた時に先輩からいただいたのが、「前提を疑うと別の軸や視点でアイデアが出てくるよ」というアドバイスです。自分が問題だと思っていることについて、改めてなぜそれが問題なのかを言語化し、出てきた案ですべてを解決できるかを疑う作業を行いました。すると、カラー展開が伝わらないことが問題だと思っていたところから、商品の並び方に問題があるのではないか?という新たな視点を獲得することができたのです。この見直しを通じて、自分が捉えていた範囲から一つ抜け出して、別の視点から新たな改善案を考えることができました。

一つの側面で問題が解決しても、他の側面では未解決のままであることはよくあります。また、原因と思っていたことが実は別の要因である可能性もあります。この研修を通して、ビジネスでは最小限のコストで最大限の効果を出せるようさまざまな視点から検証し、最善策を見つける必要があることに気づきました。

半年間の研修を終えて

この半年間、挫折を経験し、壁に何回もぶつかりました。なかなか上手く進められず悔しい思いもたくさんしましたが、そんな時に先輩方からたくさんの言葉をかけていただき、日々気づきの連続でした。

「toolboxの仕事に答えはないよ」という言葉から、その意識を持って取り組もうと決めていた研修期間。実際に取り組んでみると、自分で考えるべきことの多さにどうしたら良いのか分からずに頭を抱えて過ごす日々もありました。でもその分、自分が考えたことに対して、「確かにこの商品ってここが良いよね」「この発表の仕方なら興味を持ってもらえそうだね」と共感してもらえた時の嬉しさは計り知れないものがあります。

私もまだまだ上手く自分の仕事の答えを見つけられるようになった訳ではありませんが、迷った時は、この研修期間のことを思い出して自分なりの最適解を見つけ出せるようになっていきたいです。

テキスト:長橋