フローリングをどんな塗料で仕上げるかは、部屋の印象を大きく左右する大事なポイントです。
せっかくなら、木材ならではの温かみのある色を引き出してくれる塗料を選んでみてはいかがでしょうか。
今回塗ってみたのは『ルビオモノコート』の「ピュア」。木の表面をしっかりと保護しつつ材料の色味を引き立ててくれる木材仕上げ塗料です。
面倒な二度塗りが不要で、一回塗るだけで保護と着色が可能なのが特長です。
実際に塗装して、体感した施工ポイントをまとめてみました。
サンディングとマスキングでしっかり下準備
塗装をおこなうのはこちらの床。もともと畳だった床を無塗装の『チェッカーパーケット』に張り替えました。
塗装前に欠かせない作業がサンディング(やすりがけ)です。180~240番のやすりでフローリングの表面を整えてあげることで、塗装後の色ムラができにくくなります。
すでにサンディングを済ませた現場だったので、こちらは作業イメージ画像。
実は広い床を手作業でサンディングするには、それなりの手間と時間がかかります。なので、現場では電動サンダーでサンディングしたそう。
最近は電動工具の貸し出しをおこなっているホームセンターも多いので、一回きりしか使用しないならレンタルもありですね。
サンディングが終わったらマスキングの作業です。床を塗装する場合はまわりの巾木(和室の場合は畳寄せ)をしっかり養生します。
なお、建具のレールなどの金属部分にはオイルが浸み込まないので養生はせず、塗装後にふき取りをして済ませました。
塗装は「コテバケ」を使って力強く
では、塗装作業に入ります。缶を振ってからフタを開けます。
今回選んだ「ピュア」は、いわゆるクリア系と呼ばれる色味です。木材の素の色を引き立ててくれる、しっかりとした濡れ色になるのが特徴です。
においですが個人的にはまったく気になりませんでした。ただ『オスモカラー』などと同じくオイル系塗料独特のにおいはしますので、苦手な方はダメかもしれません。
容器に注ぎます。ごらんのとおり、ハチミツのように粘度が高いのがルビオの特徴。
まずは、隅まできれいに塗るために「ハケ」を使います。
フローリングの塗装といえば、木目に沿って塗るのがセオリーですが「チェッカーパーケット」はタテヨコ互い違いに組み合わさったデザインなので、方向にはこだわりませんでした。
壁際を塗り終えたら、ここからが本番。塗装道具をチェンジします。
専用のコテバケ(塗装パッド)に塗料をつけ、グイグイ塗り広げていきます。
現場スタッフにまじって実際に塗装を体験してみた第一印象は「塗りのばすのに力がいるな」ということ。
同じオイル塗料でも、『ワトコオイル』のようにもっとさらりとして塗りやすいものとくらべると、「ルビオ」はハケの裏に「粘り」のような抵抗を感じます。
でも、このしっかりとした質感があればこそ、たった一度塗るだけで木材の表面をしっかりと保護することができるのです。
ルビオ専用のコテバケは必須アイテム。
塗料を吸い込み過ぎない独自の構造で、粘度の高いルビオを塗りのばすのに最適です。コテバケ全体に均等に力をかけられるので塗りムラができにくくなり作業効率もアップします。
ちなみに、塗料を移した容器はスーパーで買ったお肉が入っていたプラスチックのトレイ。
塗料専用のバットとちがって作業後に捨ててしまえるのでDIYにはおすすめです。ただし、トレイのサイズにはご注意を。
小さすぎてコテバケがはみ出てる……。これでも塗れないことはないのですが、もっと大きめのサイズを用意するべきでした。
塗料のムラをしっかりとふき取る
塗装を終えたら5分ほど待って乾燥させてから、余分な塗料をウエスでふき取る作業をおこないます。
ウエスは、いらなくなったTシャツなど余った布を使ってもいいそうです。
さて、ふき取りで注意したいのが塗料がムラになっている部分。
このムラがなくなるように表面に残った余分な塗料をしっかりとふき取るのですが、これがなかなかの重労働なのです。
ふき取りは塗装よりもさらに力が必要でした。
力を入れ過ぎるといけないのかなとも思いましたが、現場スタッフ曰く「ふき取り過ぎて困ることはない」とのこと。
むしろ「ふき取る手に抵抗を感じているあいだはまだふき取りが甘い状態」だそうです。ウエス越しにべたつきを感じなくなるまで、がんばるのがポイント。
ふき取り後の表面はこんな感じ。
塗りムラがなくなり、きれいになりました。
実はこのふき取り作業は、塗り残しを防ぐ作業も兼ねています。コテバケできちんと塗れていなかった部分にもしっかりと塗料を塗りのばしましょう。
とくに注意したいのがフローリングの継ぎ目の溝です。
コテバケの塗装ではなかなか塗料が入りにくいので、ウエスを押し込んで、溝にしっかりと塗料が入るようにします。
「塗装→ふき取り」の繰り返し
「ルビオ」の塗装作業は「塗装→ふき取り」の繰り返しになるので、作業の進め方にもコツがあります。
一度に広い範囲を塗り過ぎず、手が届く範囲で段階的に進めていくのがポイント。地味に大事なのがビニール手袋の存在です。
力を入れるためにはふき取りをおこなう反対の手でしっかりと体を支える必要があります。
ビニール手袋をはめれば塗装面に手をつくことができ、体を支えながら作業できるので無理な体勢を取らずに済み、力も入れやすくなります。
今回の場合、フローリング4列分(約60センチ)の幅で「塗装→ふき取り」をおこないながら、少しずつ作業を進めました。
部屋の奥から作業をはじめて徐々に後ろに下がりながら進めます。
塗装を終えて足場に困らないよう部屋から出れる方向に作業しましょう。
これにて塗装完了。完全に乾燥するまで24時間から36時間放置します。
注意が必要なのが塗装に使った布の処分方法です。たっぷりとオイルが浸み込んで黄色くなった雑巾はそのまま捨てると、ゴミの中で発火する危険があります。
必ず水を含ませてから処分するようにしてください。
しっかり濡れ色で温かい印象の仕上がりに
今回は、四畳半と六畳の2部屋を二人で作業しました。かかった時間は養生から塗装まででおよそ2時間。ふき取りにはそれなりの力がいるので、終わる頃には腕や腰にじっとり疲れがたまります。
うれしいのは二度塗り不要で、一度きりでしっかりとした仕上がりが得られること。
木材の仕上げ塗料には「クリア」や「ナチュラル」と呼ばれるカラーが必ずラインナップされています。
それらにくらべると今回塗装した「ルビオのピュア」は濡れ色がしっかりつき、全体的に赤や黄の色味が足された感じに仕上がります。
塗装前にくらべて部屋の雰囲気が柔らかく温かい印象に変わりました。
こちらの物件は築40年くらいですが、塗装後はもともとあった木部と床の色味が近くなり、より一体感が出たと思います。その意味でリノベーション向きの塗料とも言えそうです。
(アサクラ)