DIYでオープンクローゼットをつくる
見せる収納や室内干しなどに便利な『アイアンハンガーパイプ』。toolboxがオリジナルでつくった人気の商品です。
新築やリノベーションの施主支給品として選ばれることが多いアイテムですが、家が完成したあとに「やっぱりここに収納や物干しが欲しかった……」と思うかたも多いはず。
今回は「自分で取り付け可能ですか?」というお問い合わせをよくいただくアイアンハンガーパイプを、toolboxスタッフの小林宅に設置したいと思います。
つい先日、小林は新居のリノベーションを終えました。超特急ですすめた家づくりコンセプトは「住める廃墟」だそう。これからお届けする写真は工事現場のようですが、いちおう居住空間なのです。
天井も壁も床までも基本的にスケルトン状態の丸裸。人間で言うところのレントゲン図のような家なので、構造や仕組みがわかりやすいのではないでしょうか。
下地が大事!どこに設置する?
設置場所に選んだのは、元々あったロフトの下。天井面の石膏ボードや壁紙を取り払ってしまっているので、木の下地が丸見えです。ここに洋服をかける、オープンクローゼットをつくります。
その名の通り「鉄」でできたアイアンハンガーパイプは、頑丈で重量があります。さらにそこにコートやボトムスなど、思いのほか重たい洋服たちをかけるので、下地にしっかりと固定しないといけません。
下地の存在をおざなりにしたまま石膏ボードなどに設置してしまうと、強度が足りずパイプごと落っこちる危険性も!
たとえ石膏ボード用のアンカーを使ったとしても、対荷重的には不十分なのです。
「そもそも下地ってなんぞや?」というかたは、こちらの記事をはじめにご確認ください。
アイアンハンガーパイプのサイズと形は?
アイアンハンガーパイプを選ぶときに、頭を悩ませるのが「サイズ」と「形」かもしれません。
天井までの高さは2100mm。小林は「下に収納ケースを置いても、妻のワンピースが触れないように」と天井から150mm下げた位置に決定。奥行きは洋服の肩が壁とぶつからないように280mmにしました。
アイアンハンガーパイプの形は、大きく分けて6つ。小林家の場合だと、天井と片側の壁に固定することができるので「コの字型・E型・L型・F型」が選べます。
支えるパイプの数が多ければ強度が増すので、最終候補に絞られたのは「E型」と「F型」。コンクリートの躯体に穴を開けず、天井吊で「E型」に収める手段もありますが、少しでも多くの洋服をかけるため「F型」に決めたそう。
天井の下地の間隔に合わせて、幅1836mm × 高さ150mmをサイズオーダー。
「パーツ販売」もご用意しているので、定型サイズでも問題ない!という方はそちらを組み合わせてお使いいただくでも。
商品到着!パーツはこちら
届いたパーツの一部をご紹介します。写真左から「フランジ・T型エルボ・90°エルボ・吊りパイプ」。
L型六角レンチやボルト、取り付け用のビス(長さ45mm)も付属するので、細かな道具を用意しなくても大丈夫です。
下地の幅が足りないときは?
こちらの施工を行ったのは、フランジが旧仕様の時期になります。今はビス穴の位置が45°回転しており、細い下地にも2点は必ず留まるようになりました。
いざ設置! といきたいところなのですが、木の下地の幅38mmに対して、フランジを固定するビス穴の間隔は42mm。これだと下地が足りず、フランジを固定することができないので、木材を追加して下地を補います。
ここで登場するのが、あらかじめ用意しておいた木材と長めのビス。
木材にボンドをつけまして、元々の下地にドッキング。
さらにビス留めをして固定します。
下地を補うことで4箇所全てビス留めでき、フランジを天井にしっかりと固定することができます。これで一安心。
ハンガーパイプを仮組して、位置を決める
フランジを取り付ける前に、アイアンハンガーパイプを仮組みして、取り付け位置を決めます。
コンクリートの壁面を基準に、奥行き280mmの位置にフランジを取り付けます。
けっこうな重量があるため、位置決めは男性二人がかりで作業しました。ひとりはパイプを支え、ひとりは位置を決めています。
コンクリートの躯体に下穴を開ける
コンクリートの躯体に下穴をあけるため、ここで登場するのが大きくて強そうなハンマードリルです。(振動ドリルでもOK)
ハンマードリルの先端に取り付ける、コンクリート用のビットは細いものと太いものの2種類を用意しました。
穴を深く掘りすぎないように、先端からちょうどいい深さのところに目印としてマスキングテープを巻いています。
まずは細いビットで小さな下穴を開けます。ビットが折れないように垂直に、壁を押すような気持ちで体重をかけて。この作業、女性だとかなり力が必要だと思います。コンクリートをドリルで削るのですが、想像より音はうるさくなかったです。
穴を開けると同時に粉塵が舞うので、ゴーグルをお忘れなく。(わたしたちは忘れました、目がぁ 目があ……)
次に太いビットを付け替え、下穴を拡張します。ビットにマスキングテープで印を付けておいたので、深掘り防止になりました。
フランジは4箇所ビス留めをして固定するので、下穴も4つ開けます。
床に舞い落ちた甲子園の土ならぬコンクリートの土(?)。これもきっと、家づくりの思い出になるハズ。
アンカープラグを差し込み、フランジをビス留め
下穴が開いたところで、コンクリート用のアンカープラグを差し込みます。コンクリートは崩れやすくビスが効きづらいため、これで隙間を埋めてビスを固定します。
アンカープラグをハンマーでしっかり埋め込み、
フランジをセットして、インパクトドライバーでビス留めしていきます。コンクリートの壁が少し膨らんでいたので、ビスを4つセットしてから徐々に均等に締め上げました。
木の下地にフランジを取り付ける
木の下地にも下穴を開けてから、フランジを取り付けます。
さきほど下地を補ったので、4箇所ともがっちりビス留めできました。なんだか安定感があるというか、頼もしく感じますね。
フランジとパイプをボルトで固定する
ここまでくれば、完成まであと少し!
フランジにパイプをはめ込んで、L型の六角レンチでボルトを固定していきます。
写真左がフランジとエルボにあらかじめセットされている「水平パイプ用固定ボルト」。写真右が「吊りパイプ固定用ボルト」です。吊りパイプには穴が空いており、このボルトの出っ張りで固定します。
左右に動くT型の貫通エルボも、ボルトを締めて固定します。
アイアンハンガーパイプ取り付け完了!
ロフトの下に、オープンクローゼットが完成しました!
空間を有効活用できて家主の小林も満足そう。「次は衣装ケースを新調したり、ロフトに色を塗ったりしようかな」とさっそく妄想が広がっている模様です。
木の下地はそっと『ワトコオイル』で着色したので、遠目で見ればなじんでいます。
今回は下地が丸見えという、なかなか特殊な家にDIYでアイアンハンガーパイプを取り付けてみましたが、マンションは下地が木材ではなく「軽量鉄骨」の場合があります。
下地の有無が不明だったり、壁や天井が壁紙などで覆われたりしている場合は、一度プロに相談することをおすすめします。
(塩川)