主な材料・道具
真鍮のオーダーマルチバーをお手入れしてみた
真鍮って、魅力的な素材だと思うんです。
空間に添えるだけで華やかになるというか、絵になるというか。使っていくうちに味わい深くなり、アンティークのような経年変化も楽しめます。
toolboxでもたくさんお取り扱いのある真鍮の商品ですが、お手入れ方法を知ることで、もっとその魅力を味わえるのではないでしょうか。
今回は数ある商品を代表して、ショールームで展示していた真鍮の『オーダーマルチバー』がいい具合に育っていたので、こちらをお手入れをしていきます。
真鍮が経年変化すると?
真鍮とは銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金で、身近なところでいうと「5円玉」なんかも真鍮でできています。
ショールームで、なおかつ自由に触れる環境で展示していた真鍮のオーダーマルチバーは、通常よりも激しめ(?)に経年変化していました。
真鍮は皮脂や空気に触れることで酸化し黒ずんだり、水に濡れることで「緑青(ろくしょう)」と呼ばれる青錆びが生まれたりします。
もちろん「これも味!」と愛でるのも良いですが、お手入れをすることでどのくらいきれいになるのでしょうか?
・磨きクロス
・ピカール液(液状金属磨き)
・研磨パッド
・歯磨き粉
こちらの4つアイテムで、それぞれ磨いてみた結果をレポートしていきます。
まずは真鍮用の「磨きクロス」で
最初は真鍮用の「磨きクロス」で磨いていきます。ネットで500円ほどで購入することができました。
仕上がりの違いがわかりやすいように、オーダーマルチバーの中央にマスキングテープで印をつけました。写真左側をクロスでやさしく磨いていきます。
うっかり素手で作業をはじめてしまいましたが、軍手などをしておいたほうが指紋や皮脂がつかなくて良いと思います。
黒ずみが徐々に薄くなり、真鍮から艶と輝きが出てきました。おそらくクロスに艶出しワックスが含まれているからでしょう。
15分ほど磨き続きけましたが、緑青やしつこい黒ずみを落とすのはむずかしく……。クロスのみで磨きあげるのは、時間と根気が必要なことがわかりました。
「ピカール液」で磨くとどうなる?
次は「ピカール液」です。ホームセンターで購入でき、昔からある金属用の研磨剤なので、ご存知のかたも多いのではないでしょうか。
錆び取りにも役立ち「金属磨きといえばコレ!」とプロも愛用するアイテムです。
使う前に缶をよく振ってから、フタを開けます。
乳液状になったピカール液を、ウエスにとって磨いていきます。
ピカール液の成分には灯油が含まれているので、換気をしつつ保護手袋もしておいたほうが安心です。
軽く磨いただけで、黒ずみが取れるのが気持ち良いところ。
10分ほど磨き続けることで、緑青やしつこい黒ずみもだいぶ薄くなりました。仕上げに新しいウエスで拭きあげて終了です。
先ほどのマスキングテープを剥がして、仕上がりを比べてみましょう。ピカール液で磨いたほうが、素早くきれいになることがわかりました。
しかし、求めていた質感と違うというか、研磨力が強すぎてピカピカになりすぎてしまったような気がします……。
新品や磨く前のものと比べてみると、同じ真鍮でも「こんなに違いが出るのか!」と思える仕上がりです。
サテンのようなマットな輝きにするにはどうしたらいいのか、製造元に聞いてみました。
「研磨パッド」で新品同様に
結論から言うと、新品の状態に戻したいのであれば「研磨パッド」がおすすめです。研磨パッドとは、スポンジ状になった紙ヤスリのようなもの。
入手したのは製造元も最後の仕上げに使っている、スコッチブライトの工業用パッド、番手(目の粗さ)は#320相当。こちらも500円ほどで購入することができました。
ここで一番重要なのは番手です。#320相当の粗さで真鍮を磨くことで、表面に「ヘアライン」という髪の毛ぐらいの細い線が入り、艶が消えてマットな質感に変化します。
ヘアラインは単一方向につけないといけないので、余計なねじりは加えず、左右にスッスッと磨いてきます。
すると10往復もしないところで、あっという間にヘアラインが付き、ピカピカだったマルチバーが美しくマットなサテン状に。
磨きクロスやピカール液では落とせなかったしつこい黒ずみも、簡単に取れました。
台座も忘れずに。磨いていくと、黒いカスのようなものが出てきます。
ものの数分で、新品のような輝きに戻りました! ヘアラインがつくだけで、こんなに質感が変わるんですね。
試しに経年変化したものを「研磨パッド」のみで磨いてみたところ、それだけでも新品の質感に戻すことができました。
真鍮の経年変化を残したいなら「歯磨き粉」
最後は歯磨き粉です。ピカール液などと比べると研磨力が弱いので、経年変化の質感を残しながら磨けるのだそう。
歯磨き粉は清浄剤である「顆粒」入りのものを選んでください。こちらも適量をウエスにとって磨いていきます。
歯磨き粉の爽やかな匂いが部屋中に漂うので、気になるかたは無香料のものを選ぶとよいでしょう。
ひとしきり磨き終えたら、仕上げにきれいなウエスで水拭きをしてから乾拭きをします。
仕上がりはこちら。真鍮のサテン感を残しつつ、黒ずみが少し薄くなるといったところでしょうか。経年変化を残しつつ、全体的に少し明るくなりました。
ちょっとしたメンテナンスであれば、まずは家にある歯磨き粉で磨いてみるのも手だと思います。
お好みはどの質感?
真鍮は経年変化を楽しむもよし、黒ずみが気になったら「研磨パッド」で新品のように戻して、また一から育てるもよし。
今回ご紹介した方法をヒントに、ぜひ空間に合わせてお好みの質感を楽しんでみてくださいね。
※真鍮製品によっては、ご紹介した方法と同様の結果を得られない可能性がございます。本来の仕上げを確認し、まずは目立たないところで試してから、全体を磨くようにしてください。