ふとしたときに「ここに棚があったら便利なのにな」と感じることはありませんか?
とはいえ普通の壁ならまだしも、タイルの壁に穴をあけて棚を設置するのはなんだか難易度が高そう。toolboxにも、施工方法についてのご相談をいただくことがよくあります。
そこで今回はスタジオにタイル貼りのキッチンを再現。『陶器のラック』をスタッフが設置するというので、その様子を密着取材しました。
重要なのはタイルの「下地」
棚を設置するその前に、まずは壁の下地について。
実はタイルそのものに強度はありません。そのため棚を設置する際には、タイルの裏側に下地が入っていることが必須条件になります。
今回は元から棚を設置する予定だったので、12mmの合板の上にタイルを貼りました。取り付け用のビスはこの合板に対して効いています。
(下地についてはこちらの記事も合わせてどうぞ)
陶器のラックと付属パーツ
陶器のラックは本体に加え、ビスや汚れ防止の留め具カバーも付属しています。工具さえあれば、届いたその日に取り付けられる手軽さも魅力のひとつ。
個人的に白い陶器に真鍮のビスという組み合わせに萌えております。(最終的にビスはカバーで隠れますけれども)
「目地」を狙って、取り付け位置を決める
ビスの位置がタイルの目地と合うように、慎重に取り付け位置を決めていきます。
なぜなら硬いタイルの上にビスを打ち込むのは至難の技。割れるリスクに加え、表面がツルツルしていて滑りやすく、狙った位置からずれてしまう可能性も。
タイルのピッチ的になかなか思うようにいかないこともありますが、できるだけ目地に合うように調整したほうが楽です。
陶器のラックの重量は約2.4kg。なかなかの重さゆえに、男性でも腕をプルプルさせながら位置決めをしていたので、2人での設置をおすすめします。
取り付け位置が決まったら、ガイドとしてマスキングテープを貼ります。縦のマステはセンターの目印に、横のマステはビスの位置に貼っておくのがポイント。
もう一度ラックを壁に合わせて、マステの上にビスの位置をペンでマークします。これなら位置を変えたくなったときでも、タイルや目地にペンの跡を残すことなくやり直しができますよ。
下穴をあける
いきなり設置! ではなく、まずは下穴をあけるところから。
しっかりビス留めするためにも、下穴はビスより一回り小さいぐらいが目安です。ビスの径は6mmなので、5mm程度の下穴をあけます。
ここで重要なのが「タイル専用のドリルビット」を用意すること。インパクトドライバー購入時の付属品には、タイル専用ビットが付属することはまずないので、別途購入が必要となります。
今回はBOSCHのインパクトドライバーを使用しておりますが、メーカー純正でなくても大丈夫。ドリルビットの刃先径3mm〜4.5mmぐらいのものを、大小3サイズほど用意しておくと安心です。
タイルの割れを防ぐためにも、最初は一番小さい径のドリルビットをインパクトドライバーに取り付け、3段階に分けてじわじわ下穴を拡張していきます。
えいやぁ!(気合い)
絵的には地味ですが、徐々に刃先径が大きくなっているのが伝わりますでしょうか?
先ほどビス留めは目地を狙えとお伝えしたものの、やむをえずタイルに穴をあける場合は、1枚のタイルのはじっこではなく真ん中を目指していきましょう。
穴をあけるというより、もはやタイルを削る行為なので、激しい音と粉状になったタイルが白い煙とともに舞い散り、現場が粉っぽい雰囲気に。
ドライバーから照射される青いLEDライトも、粉でぼんやりとしています。
そうこうしてるうちに、直径5mmほどの下穴があきました。
タイル割れちゃった……
細心の注意を払っていたものの、タイルが小さければ小さいほど穴あけの難易度が高くなります。ちなみに今回貼っているのは15mm角のタイル。本当に小さい。ムズイ。
補修をする場合は、割れた部分の目地を砕いてタイルをはがし、下地を平滑にしてふたたびタイルを貼り目地詰めをするという、ハートも割れる作業が待っています。
陶器のラックは設置面が大きく、割れた部分をいい感じに隠すことができたので、今回は撮影用ですし、ちょっとズルしてこのままいっちゃいましょう。
ビスを仮止めする
インパクトドライバーのビットを「プラスビット」に取り替え、ビスを真ん中から留めていきます。
いきなり最後までギュッと締めてしまうと、陶器のラックが割れる可能性があるので、少し遊びを残す程度に仮止めしましょう。
水平を確認し、残り2カ所もビスを留めていきます。
ここでのポイントは、事前に一般的な大きさのビスをガイドとして打ち込み、タイル裏の下地にもしっかり下穴をあけます。
陶器のラックの付属ビスは、一般的なビスより太くて大きなものが採用されています。これはラックに重量があり、設置時の強度を担保するための仕様です。
下穴をあけていても、ビスの打ち込みにはいつもより苦戦することがあるので、このひと手間がミソになります。
本締めをする
付属ビスの仮止めが終わったら本締めです。
1つのビスを一気に締め上げるのではなく、3カ所それぞれのビスを行ったり来たりしながら、徐々にがっちり締めていきましょう。
留め具カバーをつけて完成!
留め具カバーの取り付けは、工具不要です。
ビスの真上にカバーのせて、指先でくるくる回しながら留めていきます。思いのほか数秒かかるので、最後まで根気よく回してください。
ふぅ。留まりました。白いボタンみたいでかわいい仕上がりに。これにて完成です!
いかがでしょう? タイルの壁に白い陶器のラックが映えていますね。水や汚れにも強いので、キッチンでガシガシ活躍する予感がします。
陶器のラックは万が一タイルが割れてしまっても、タイルの大きさによっては隠せるという裏技もあるので、棚設置ビギナーのかたにもおすすめと言えるアイテムです。
今回ご紹介した道具や手順などは、他の棚パーツをタイル壁に設置する際にも応用できると思うので、ぜひこちらも合わせてチャレンジしてみてくださいね。