ベッドスペースの質を上げてみる
「寝るだけ」の場所ではなく、ホテルのようにリラックスしてくつろげる場所として、ベッドスペースにちょっとラグジュアリーな要素を加えてみるのはどうでしょう。
壁面を彩ったりするのも良いですが、ヘッドボードの設置も効果抜群。少し奥行きを持たせることで空間に立体感が生まれ、且つ何かと置き場の困るスマホや読みかけの本などを置くスペースが確保できます。
今回はそんなヘッドボードにオススメな『ウッドウォールパネル』のタモ柾目を使いました。
事前準備
ヘッドボードを作ったのは、リノベーションしたワンルーム賃貸。ベッドスペースが少し物足りなかったため、ちょっと小物を置ける腰壁の様なヘッドボードを追加することに。
施工は大工さんにお願いしました。
まずはヘッドボードの下地を作っていきます。角材をフレームの様に組み上げ、既存の壁に固定をしていきます。そのため最初に壁に水平垂直なラインを下書き(「墨出し」と言います)をします。
レーザー墨出し器が照射するラインに沿って、マスキングテープでヘッドボードを付ける位置をマーキングしていきます。
レーザー墨出し器は水平垂直ラインをバシっと出してくれる、プロなら持ってる墨出しの必需品です。ただ、高価なお品なので…、DIYで行うときは水平器でも。
垂直のラインも出していきます。
壁の下地の位置を拾い出し、マークしていきます。(下地の探し方はこちらが参考になります。)
後ほどこの位置に角材をビスで留めていきます。(…この写真だとすっごい斜めっているように見えますが、ちゃんと水平です。)
骨組みを作る
仕上げとなる「ウッドウォールパネル」の取り付け下地として、角材で骨組みを作っていきます。既存の壁の下地の位置を狙ってビスでしっかりと固定します。
ちょっとした物置き場を兼ねるべく、ヘッドボードに奥行きを持たせるため、奥行き方向にも骨組みを組んでいきます。奥行きは「ウッドウォールパネル」の板目1枚分としました。
上部の骨組みを壁に取り付けたら、今度は下部の骨組みを床にビスで固定します。上部の骨組みと下部の骨組みの面が揃うように、奥行きの寸法に気を払います。壁の下部には巾木があったので壁側には角材を付けず、上部の仕上げ面側に揃えて下部の骨組みを留めました。
端部側にも幅木があったので、こちらは欠き込みをしてぴったり合うようにしました。
上下の固定が終わったら、今度は縦方向の骨組みを組んでいきます。
向かって左方向から「ウッドウォールパネル」を貼っていき、右側の壁側部分で余り寸法を調整することにしました。
パネルは厚さが4mm、幅は610mmあるので、パネルが反ってパカパカするのを防ぐため、パネルの両端に加えて真ん中も固定できるよう、縦方向の骨組みを組んでいます。
縦横共に骨組みが組み上がりました。ここに「ウッドウォールパネル」を貼っていきます。
切ると貼るの繰り返し
ここからは切って貼っての繰り返し。幅方向の骨組みを「ウッドウォールパネル」の幅に合わせて組んだので、高さ方向をだけをカットしていきます。
「ウッドウォールパネル」は厚さが4mmと薄いため、頑張れば大刃カッターでカットする事ができます。DIYの場合は指や足を切る怪我に気をつけましょう。慣れない方は軍手をして作業してください。
切った断面はヤスリがけをすると丁寧です。
カットが終わったら、骨組みにボンドを適量つけていきます。床貼りに使われるウレタンボンドを使用しました。
改めて水平垂直を気にしながら貼り付けます。スタート側の左側は骨組みの端部とパネルの端部を合わせ、パネルの右側の端部は骨組みの中心に合わせます。
こちらはピンタッカーと呼ばれる電動工具。頭の無い針金状の釘が飛び出し、材料を固定します。接着剤での接着に加えて釘で骨組みとパネルを固定していくと、反りが起こりにくく安心です。DIYの場合は隠し釘で代用もできます。
釘はパネルの溝部分に打つと目立ちません。端だけでなく、中央部分もしっかり裏の骨組みに固定して、たわみがでないようにします。
左から一枚目が貼り上がりました。
2枚目からはカットと貼り付けの繰り返し。1枚目の水平垂直がずれると、後の精度に影響が出てくるのでご注意。
最後の難所、壁際の部分。壁までの寸法を念入りに確認します。
採寸したサイズに合わせてパネルを縦に切っていきます。
巾木の出っ張り部分もカットしてぴったり合うように調整。綺麗な収まり。
正面一面が貼り上がりました。
天端と側面を貼る
次に、残る天端(部材の上面のこと)と側面を仕上げていきます。パネルの板目1枚分を奥行きとし、パネルを縦にカットして部材としました。
骨組みにボンド+ピンタッカーで留めていきます。
今回は天端のパネルの断面が正面から見えるデザイン(大工用語で「天勝ち」と言います)としました。
天端の断面を見せない仕上げにする場合は、あらかじめそのことに考慮して各部の寸法を決めておきます。
正面、側面、天端の取り合い(各部材の接点部分の納まり)はこんな感じ。
側面のパネルも壁の巾木に合わせて「切り欠き」。細かいところが重要です。
ようやくパネルが貼り上がりました。
オイル塗装で木の表情を出す
ここから塗装で仕上げていきます。『ワトコオイル』のナチュラルを使用しました。
余談ですが、「ウッドウォールパネルは」溝の部分に独特の黒墨のような部位が所々あります。これは製造法上避けられないものなのですが、濃い色で着色をすると目立ちづらくなります。でも、僕は黒墨が気にならないので、ナチュラルを使用しました。
壁や床にオイルがつかないようしっかりと養生をして、パネルにオイルを染み込ませるように塗っていきます。色むらの発生を防ぐため、2回塗りができると丁寧です。
心安らぐ静寂の時間。
塗り終わりました。乾燥を待ち、最後に乾拭きして余計なオイルを拭き取ったら完成です。
完成!
変化なくノペっとしていた空間に立体感が生まれ、品のある空間になりました。あとはベッドを置いて、スタンドライトやお気に入りの小物を並べるだけで、自分仕様なリラックス&ラグジュアリースペースが完成します。
是非、お試しを。
この方につくってもらいました
今回ヘッドボードをつくってくれたのは大工の渡邉さん。「Cabbage Truck(キャベジトラック)」の屋号で、床壁天井の大工工事はもちろん、細かな造作や取り付けも行ってくれます。
株式会社Cabbage Truck / キャベジトラック 渡邉光
toolboxでもお世話になっている頼れる大工さん。
設計から施工までまとめて行ったり、建築家案件の施工などをしてます。
壁一枚から家一棟、店舗一式工事までお気軽に。