いきなりですが、皆様はどんな色がお好きですか。
建具やフローリングなど数多くある商品の中でも、自分好みの色がなかなか見つからないなんてこともあります。そんな時、無塗装のものを購入して、自分好みの色に塗るなんて方法もあるのです。
そこで、今回は無塗装で販売している『木製パインドア』を自分の好きな色に塗ってみることに。目指すのはラワン色です。
ラワンとは木の種類のことで、ラワンの中でも白ラワンと赤ラワンがあり、今回は赤ラワンのことを指しています。赤ラワンはラワン材の中でも色が濃く赤茶色。レトロな雰囲気があり、木製の家具や経年変化していく素材感のあるものたちとよく似合います。
そんなラワン色、『ワトコオイル』という塗料を混ぜることで再現していきたいと思います!
自宅ではなく、会社の共有スペースで作業を行います。
まずは大切な下準備から
DIYで何か作業をするとき、欠かせないのが下準備です。最初の準備をしっかりすることで、後々楽になったり、綺麗に仕上がったりいいことがたくさんあります。
最初に取り掛かるのは、養生
塗装をする時、色を塗りたいものだけに塗ろうと思っても塗料が垂れたり跳ねたり、周りまで汚れてしまうもの。そのため、守りたい場所をしっかりとガードしておくことが大切です。
床には養生シートを敷いて、養生テープで動かないように固定!
養生シートはぴったり合わせて敷くのではなく、少し重ねてあげると更に安心です。
木製パインドアを配置
養生が完了したら梱包をといて「木製パインドア」を配置します。
今回は、ドアなので表裏どっちも塗って乾かす必要があります。そのため、ドアをそのまま床に置くのではなく、角材を4本置いてドアを床から浮かせました。
今回のドアのガラス面のように、塗装面のすぐそばに塗料がついてほしくないところがある場合は、マスキングテープなど簡単にはがれるもので保護することもあります。しかし、今回はガラス面にあらかじめガラス用保護シートが貼られていたので、その作業は行いませんでした。
養生については、以下の記事も参考に。
サンドペーパーで研磨する
塗装面を#240のサンドペーパーで、研磨していきます。
研磨する前の木を触ると所々ざらざらしています。表面が凸凹していると、色のムラがでやすくなってしまうので、それを防ぐために研磨するのです。
逆にカンナがかけられていてつるっとしたものは塗料が染み込みにくい状況なので、研磨をして木材に軽く傷をつけることで、塗料が染み込みやすくする役割を果たすこともあります。
サンドペーパーの表面の目の粗さは番手といわれ「#」を付けた数字で表され、数字が小さいほど粗目になります。
ワトコオイルの缶には#180〜240程度のサンドペーパーで研磨すると記載がありました。今回塗装するのは「木製パインドア」で、すでにある程度整えられているので、荒すぎない240を選択。
研磨する時に大事なのが木目に沿うこと。適当に研磨をかけて木目を潰してしまうと、本来色がつかず綺麗に木目が出るところまで色がついてしまいます。傷のように目立ってしまうので、注意が必要です。
表面だけでなく、側面までぬかりなく。綺麗にオイルが浸透しますように〜と願いを込めて研磨をかけていきます。
研磨が終わったら、表面についている木クズをウエスでしっかり拭き取ります。
ちょっとしたポイントも最後に。
塗装する時に使うハケを、指ではらったりウエスで揉んだりして、ゴミを落としておきます。小さな手間も惜しまず準備していきましょう!
使うのはワトコオイル
今回は無塗装の木のドアに塗装するので、木部用オイルの「ワトコオイル」を使用します。
「ワトコオイル」は、植物油ベースの木部用オイル。木の内部へオイルを浸透させ、木目や質感を保ちながら色味を変えることができます。
また、それぞれ異なる色を混ぜ合わせることができて、自分好みの色をつくり出せるのも大きな特徴です。今回はその特徴を活かして、色を混ぜてから塗っていきます!
カラーは全部で7色。実際にある木の色味がカラー名の由来になっています。
ちなみに、換気はもちろん必要ですが、匂いがキツくないのも嬉しいポイントです。
色を混ぜて、自分好みの色を探そう
先に述べたように、今回は赤茶色のラワン色を目指します。
全7色ある中から使用するのは、少し赤みのある「チェリー」と薄めのブラウン色の「ミディアムウォルナット」。
まずは、チェリーとミディアムウォルナット、2つのカラーを1:1で混ぜ合わせます。
いきなり大きなバケットに混ぜていくのではなく、メモリがある小さなバケットにそれぞれのカラーを入れ、大きなバケットに入れていくのがおすすめ。分量を見ながら混ぜていけるので調整しやすいです。
どちらも入れたら、色が混ざるようにかき混ぜます。
次は、試し塗り!目指している色になっているかどうか確認します。
ワトコオイルは元の木の色味を活かす塗料のため、塗る材によって色味が異なります。そのため、調色してない場合でも、全面を塗る前に端材や目立たないところに塗って、色味を確認することがおすすめです。
今回は、取り付けたときに見えなくなるドアの下の部分に塗ってみました。
こんな感じの色。
ちょっと赤みが足りないかも。ということで、ここに更に赤みのあるチェリーを追加していきます。
少しチェリーを追加してよくかき混ぜたら、今度は1回目に塗った隣の左側に塗ってみます。
こんな感じ。
うーん、さっきとそんなに変わってないかもな?思い切ってもう少しチェリーを追加してみることにします。
今回は、小さいバッケットのメモリの1メモリずつチェリーのみ増やしていきました。初めは3メモリずつ入れたので、割合が変わっていく感じです。
しかし、塗料が足りなくなってもう一度作り直したいと思った時に、このやり方だと私は混乱しました。
そんなふうにならないよう、分量をしっかり測って割合がどうなるのか理解して、メモしておくことをおすすめします。
3回目にチェリーを更に追加して、塗ってみたのが一番左。
「やっと赤っぽくなった!いい感じ」とみんなで盛り上がりました。
でも、決め切る前に「一応確認ね」という気持ちで、目指していた色見本と見比べてみました。
すると、「思ってた色と違う!」1番左のいいねと盛り上がっていた色がすごい赤かったのです……。
最初は感覚でやっていたので、自分達の目が節穴だったねとみんなで反省。結局最初に塗っていた、1番右の1:1の割合で塗った色が理想の色だねと落ち着きました。
全面に塗ってしまう前に気づいて本当によかったです。
皆さんも、目指す色味と横に置いて見比べることをお忘れなきよう!
色が決まったらドアに塗っていく。どきどきの瞬間
塗料が完成したら、ドアのよく見える場所にも塗っていきます。
「ワトコオイル」は、さらさらしていてスーッと伸びていきます。バケットのふちでしっかりしごいて、オイルが垂れないくらいの量を均一に伸ばすのがポイントです。
一番初めに塗る時は緊張の一瞬。どきどきです。
塗ってみたら、色味は良さそうでした!
すすーっと滑らかにハケを動かして塗り進めていきます。
段差のあるところはより慎重に。綺麗に仕上がるよう、木目に合わせて塗り進めていきます。
表面が塗り終わったら、細かなところも忘れずに。面積が狭いところは小さなハケを使って塗っていきます。
全体が塗り終わったら、ウエスで拭き取ります。力を強くいれすぎず、木に染み込まなかった表面に残ったオイルだけを取る気持ちで拭いていきます。
そして、乾かします!
今回は時間に余裕がなかったので30分ほど乾かして、触ってみたら手にオイルがつかなくなったので裏返して、もう一つの面も塗装していきました。
どちらの面も塗装が完了したら放置して乾燥するのを待ちます。
2度塗ってオイルを浸透させて
オイルをちゃんと染み込ませるために、基本的には2度塗りがおすすめ。
今回は風通しが良い部屋で、2時間ほど置いて乾かしてから2度目を塗っていきます。
左側から塗り進めています。右側に比べて色が少し濃くなっているように見えますね。
そして、最後はなんと3人がかりで!ハケで塗る人とウエスで拭き取る人でわかれて作業を行いました。
完成までラストスパートです。
完成!
2度目も無事に完了。
「ワトコオイル」の完全乾燥は24時間以上が目安です。しかし、今回は会社で作業を行ったこともあり、長い間置いておけないので就業時間まで4時間ほど乾かしました。
1度塗りと2度塗りで見違えるほどの変化はなかったですが、2回塗ったことでオイルが浸透していい色になったはず。
少しアップしてみてみます。
近づいてみると均等に塗ったはずなのに元の木の特性により、薄かったり濃かったり、ムラが。しかし、これも自然の木を用いているからこその表情。私は味だなと思いました。
でもなぜ色ムラができてしまうのかここで少し豆知識を。
木は油分を含んでいて、材種や部位によってその油もちが異なります。油が多いと塗料を弾くのであまり染み込まず、油が少ないと染み込みが多くなります。赤身や白太の部位でも違うので、それが濃淡の差になります。今回のようなオイル塗料は染み込みによって色をつけるので差が出やすいですが、ワックスやニスは着色しつつ塗料を上にのせているので色の差が出づらいです。
無塗装の状態から自分好みになっていく様子を体感できたのはわくわくしました。自分で塗ったからこそ愛着が沸くだろうなと感じました。
空間の中に落とし込まれるとどんな雰囲気になるのかイメージしてもらうために、後日、ショールームに立てかけてみました。
日をまたいで見てみると色が落ち着いた気がして、目指していたラワン色により近づいていた気がします。ショールーム内の棚やスイッチ、室内アルミサッシ、植物など、どれともよく馴染んでいて、ここに置いた時にすごくしっくりきました。それがラワン色のポテンシャルの高さなのかもしれません。
toolboxではドアに限らずフローリングや棚板など、無塗装の状態で提供している商品がたくさんあります。
今回のように木目を活かしたオイル塗料や、ムラのあるエイジング感を出せる『BRIWAX』。目立たせるために木目を潰してカラーのペンキで塗ってみたり。仕上げ方は様々です。
無塗装品と塗料を使いこなして、自由に楽しんでみてください。