自宅の壁に棚を付けたいけど、どこでどのように棚板を用意したらいいのか分からない。このように迷われる方、結構いるのではないでしょうか。
DIY初心者の私も、いざ棚をつくるとなった時に棚板をどうしたらいいのか迷ってしまうなと思いました。
そんな私が今回、可動式収納棚をつくってみることに。この記事では、収納棚の棚板の準備の過程について紹介していきます!
妄想を膨らませて材やサイズを決めるところから、棚板用の合板をホームセンターで購入して塗装するところまで。DIY初心者スタッフの奮闘記です。
イメージを膨らまそう
まずは、妄想からスタート!
どんな棚をつくりたいのか、imageboxやPinterestなどを利用して、事例を沢山みて自分の好きな棚を理解します。
好きな雰囲気は、すっきりというよりもものに溢れた感じ。棚板の色は暗めで、ラフな感じが良さそうです。
また、レイアウトを変えられる可動棚がいいなと思ったので、toolbox商品の『ウォールディスプレイパーツ』を利用して可動収納棚をつくっていく想定で棚板を考えていきます。
何の材を買う?
どんな棚にしたいか定まったので、次は何の木材を購入するのか考えていきます。
木材には様々な種類があり、代表的なもので「無垢材」「集成材」「合板」の3つがあげられます。
「無垢材」は丸太から切り出した天然の木材。
「集成材」は複数の細かな木材を接着剤で結合してつくられた人工の木材。
無垢材と集成材はtoolboxでミリ単位でサイズオーダーして購入できます。
「合板」は原木を薄くかつらむきにしたものを接着剤で張り合わせて板状にした人工の木材。
3つの候補の中から私が選択したのは「合板」。できるだけ価格を抑えて木の質感を感じたかったので、こちらを選択しました。
しかし、合板を選択した理由はそれだけではありません!合板の中には「積層合板」と「ランバーコア合板」があるのですが、積層合板の断面が気に入ったのです。
「積層合板」とは、1〜3mmほどにスライスした木材を、繊維方向が互いに直交するように重ね、圧力をかけて貼り合わせた合板のこと。断面をみると層が重なっているのがよく分かります。
今回は棚板として使用するので、完成した時に断面がよく見えます。この層が積み重なった感じが、良いアクセントになるのではないかと思ったのです。
ちなみに、「ランバーコア合板」とは、コア(芯)となる芯板を合板で挟み込んだ3層構造になったもの。実際に断面を見てみると構造の違いがよく分かります。
最後に、もう一つ考えるのが、樹種について。
私が選択したのは「ラワン」です。
「ラワン」は大きな節目などがなく、木目が薄くきれいな見た目をしていて、表面にすこしざらつきがあるのが特徴。色合いは、赤っぽい薄茶色のものから黄褐色、薄茶色までばらつきがあります。
渋い収納棚にしたいので、なるべく濃い色のものを選択して、ブラケットの色味と合わせて、塗装もしていこうと思います。
サイズを確定させる
3×6(910×1820mm)サブロクと呼ばれる規格サイズのラワン積層合板をホームセンターで購入して、自分好みの大きさにカットしてもらいます。
そのために、棚板のサイズを確定させる必要があるので、どんなものを置きたいのか考えていきます。
自分の普段の過ごし方からリアルに妄想を膨らませてみました。
殺風景な景色よりも、ものが沢山飾ってあってちょっとごちゃごちゃしている方が落ち着くので、物をたんまり置く予定です。
ペンなどの文房具を置いたり、本や資料もずらっと並べたい。仕事中でも気分が上がるよう、雑貨や植物も飾りたいな。出番がそんなにない分厚い本は一番上に置いておきたい。
そんな風に、棚に何を飾りたいか妄想していきました。
ラフな絵から、棚の部分だけを抜き取ってもう少し丁寧な図に。
棚板に合わせて使用したいデスクの幅は1200mm。デスクいっぱいにランダムに棚が欲しいので、3つのレールを設置しブラケットの間隔は600mmに。
隣り合わせで使う一番上の段は、横幅700mm。
「100mm程度出ているのがバランスがいいんじゃない?」と先輩から助言をいただいていたので、100mmブラケットからはみ出るようにしました。後で配置を変えたりもできるよう、1枚ではなく2枚に分けて横に並べます。
また、ここには大きくて重たい本や仕事で使う資料を置くので、奥行きはA4ファイルが置けるように、300mmに。
ブラケットは棚板の奥行きに対して、3分の2の長さのものを使うのが良いので、今回は奥行き300mmの棚板を、250mmのブラケットで支えます。
棚板がブラケットに対して大きすぎると、強度的に安全性がなくなってしまうので、サイズを決める時にブラケットの大きさも考慮する必要があります。
続いて左側の下の段にまいります。
横幅は、600+200(左右の出っ張り分)で、800mm。
左側のモニターの上にくる棚には、雑貨や植物を自由に置きたいので、奥行きを300mmに。こちらも250のブラケットで支えます。
続いて右側の下二段分。
デスクに座った時に目線の高さにくる下の方の段は、圧迫感が出て欲しくなかったのと、文庫本などの小さな本や雑貨や文房具を置きたいので、奥行きは200mmに。こちらは150mmのブラケットで支えます。
最後に厚み!大きな合板からカットして棚板をつくるので、厚みは統一します。
特別重いものをのせる予定でもないし、ブラケットの間隔も狭めにするので、たわむことも考えにくかったため、天板の厚みは21mmに。
そんなこんなでいろいろ考えて板取り図はこんな感じに。
ホームセンターでお願いする場合はカット数ごとにお金がかかるので、いかに効率よく無駄のないようにカットできるか考えるのもポイントです。今回は、余った部分も何かに利用できるよう綺麗に収まるように意識しました。
注意点は、刃物の厚さを考慮すること。刃物は約3mmの厚みがあるので、カットするたびに刃物厚の分が削れることを加味してカット割を考える必要があります。
また、余った部分は予備として確保。長さの違うものも見比べてみたくなったので、短めのものもカットしてもらうことにしました。
ホームセンターに板を買いに行こう!
購入するものが決まったので、ホームセンターに買いに行きます。
いろんな商品をじっくり見たい気持ちはやまやまですが、時間がなかったので、早速木材エリアへ向かいます。
目星をつけていた「ラワンの積層合板21mm厚」を発見!
今回は断面がよく見える棚板として利用するので、文字が書かれていない部分を選びます。良いのが見つかったらカートに載せて、レジに向かいます。
購入できたので、次はカットをお願いします。
事前に準備していた図面を印刷してきたので、スタッフの方に渡して、大きな機械でカットしてもらいます。
待ち時間は30分ほど。想像していたよりも早かったです。
時間になったので取りに行くと、他にもたくさんの方が頼んでいたものがずらっと。
その中から自分たちが頼んだものを発見!
追加でカット代を払って、車に積んで持ち帰ります。
かかせない大事な下準備
購入した板をそのまま使用するのではなく、塗装していくので、そのための準備をしていきます。how to make記事ではお馴染みになってきた下準備です。
今回は机の上で作業をしていくので、机の上に養生シートを敷いていきます。
角の部分を養生テープで固定。
養生が完了したら、その上に購入してきた板を置きます。
今回は予備分も含めて全部で7枚。
写真だと伝わりにくいのですが、カットしてもらった断面は結構パサパサしていて、角も鋭利です。
そのため『基本の道具工具 サンディングペーパーホルダー』でカット断面を滑らかにしていきます。
「サンディングペーパーホルダー」を使用する時は、ロール状になった「リフィルロール」というやすりをホルダーにセットします。使用する「リフィルロール」の番手は#120。
番手とは表面の目の粗さのこと。「#」を付けた数字で表されるのですが、数字が小さい方が粗いのです。だいぶ粗い断面を緩やかにしたいので、やや粗めの#120でサンディングしていくことにしました。
サンディングペーパーホルダーは今回初めて使いましたが、めちゃめちゃやすりやすい!
棘が刺さってしまう怖さもなく、力も入れやすくて、カット直後の断面のやすりがけに使用するのにすごくいいです。
断面の粗さがなくなったら、次に断面の仕上げとして、#180のサンドペーパーでやすっていきます。
「サンディングペーパーホルダー」の「リフィルロール」にも#180のものはありますが、皆様の参考になるように、購入しやすいであろうサンドペーパーでもサンディングしていくことにしました。
手触りがよくなるように、手で触りながらざらっとしたところがなくなるよう、やすっていきます。
角も忘れず、少しだけ角が丸くなるように。
かっこよさを残したかったので、やすりすぎないように意識します。
ちなみに、角材の端切れなどにペーパーをまいてサンディングすると均質な仕上がりになるそう。次回試してみようと思います!
最後は#240のサンドペーパーで。きめ細かいもので全面をやすっていきます。
表面を重点的に。表面もざらっとしていたので、ざらつきの改善と塗装が浸透しやすくなるよう整えます。
違う粗さのもので3回やりがけをするとこんな感じ。
時間をかけて丁寧に行ったことで、理想通りの姿になりました。触りごごちもなめらかです。
やすりがけが終わったら、ウエスで木屑を拭き取ります。
サイドもしっかり。塗装の時にムラになってしまわないように入念に木屑が残らないようにします。
作業した場所に戻すとまた木屑がついてしまうので、拭き終わったら他の場所に立てかけます。
「BRIWAX」で棚板を塗っていく
下準備が完了したので、いよいよここから塗装が始まります!
先ほど、やすりがけをした時に、養生シートの上が木屑だらけになったので、塗装に移る前に養生シートを敷き直します。
両面塗って乾かせるように、角材を敷いて、その上に先ほどの板をのせます。
今回使用する塗料は『BRIWAX』。
「BRIWAX」とは、蜜蝋とカルナウバ蝋を原料とした木製家具用ワックスです。
木目を綺麗に引き立たせながら自然な艶を出すだけでなく、好みの色味に着色までできるすぐれもの。初心者の方でも扱いやすく、またプロの方にも広く愛用されている木製品仕上げ材の定番品です。
今回は程よい艶感が欲しかったのと、「BRIWAX」を使用したことがなくて個人的に気になっていたので、こちらを使用することにしました。
カラーは「ダークオーク」を採用。暗めの色が好みだったのと、濃い茶色の方が「ウォールディスプレイパーツ」の深めのグレーに合うだろうと考えました。
BRIWAXの蓋をあけると、真っ黒。固形状のワックスといっても固くはなく、力を入れなくてもウエスで簡単にすくい取れます。予想以上に柔らかくてびっくりしました。
ワックスなので気温によって状態が変わるので、冬は固く、夏はどろどろに。時期的に最近あったかくなってきてたので、柔らかかったのです。基本的にはどろどろのほうが色が入りやすくなるので、固い場合は温めたりするといいそう。
まずは目立たない裏側から。ウエスで塗料をすくい取って塗っていきます。
良い色!想像通りの色だったので、このまま全体に塗り進めていこうと思います。
特別に伸びがいいわけではないので、何度もすくいとって均等に伸ばしていきます。
別の物で例えるとするならば、ピーナッツバターを塗っているかのような感触です。
今回は棚板として使用するので断面が重要。断面にも丁寧に塗っていきます。
そんなこんなで、無事に両面塗り終わりました!
片面を塗っている間に、一番初めに塗ったものからなんとなく乾いていったので、特に時間を空けることなく、一気に両面を塗っていきました。
ワックスなので塗料が飛び散ることもなく、養生も綺麗なまま塗り進められました。
塗り終わったー!と思ったのも束の間、断面をよくみてみると、色がまだらなのが見受けられました。
木の表面と断面では吸い込みが異なるので、板の表面と断面では色の出方がかわります。なので、全体で同じ色にするためには、全部同じように塗るのではなく、様子を見ながら塗っていく必要があったみたいです。
最後に、断面だけ2度塗りしました。
完成!
そして、15~30分で色が定着するので30分ほど放置。
触ってみるとちょっとべたべたするので乾いた布で最後に拭き取って、棚板は完成!
ムラもそんなになく、いい感じの仕上がりです。「BRIWAX」は初めて使用しましたが、扱いやすい塗料だなと思いました。
まとめ
棚板を準備するまでの過程をお届けしましたが、いかがだったでしょうか?
個人的には棚板を仕上げて行く段階よりも、どんな棚にするか、サイズはどうするか考える過程にすごく悩まされました。まず大切なのは、自分がどんな棚にしたいかというイメージを明確にしていくこと。そこから条件にあったものを選択していくと良いのではないかと思います。
toolboxのサイトではなく、あえてホームセンターに買いに行く。その過程を楽しんでいただけたり参考になっていましたら嬉しく思います!
この棚板を利用して「ウォールディスプレイパーツ」で可動棚をつくってみた過程も以下の記事で詳しく紹介してます!