toolboxの記事でも度々登場する、スタッフ稲垣邸。
過去には、元々和室だった部屋を畳からDIYで『スクールパーケット』に貼り替えてみたり、TBK(ツールボックス工事班)と一緒に、住みながらのLDKリフォームに挑戦したり。
自分たちのペースに合わせて、少しずつ自宅のアップデートを楽しんでいます。
「この間、玄関の壁を壊してみたよ!」「端材で収納扉つくってみた!」
などなど、会社で顔を合わせる度に、新たな挑戦の報告が届きます。
そんな稲垣が、今回着手する舞台はこちら。
「コンパクトな空間だから、様々な色や素材を使ってみたい!」と、床は自身初のPタイル貼りに挑戦。壁は塗装とクロス、そしてモールディングを施した腰壁を付けて。
床・壁だけでなく、洗面シンク下の開き戸を引き出しに改造。タオル掛けにはサイズオーダーした『把手の金物』を取り付けて……と、もはやDIY練習場のような空間に。
今回はその一環として、木の天井にしてみたいと「ウッドシーリング」を貼ることに。
挑戦者稲垣の視点でレポートします。
なぜ洗面に木の天井?
DIY好きとしては一度は天井に木を貼ってみたい。だけどハードルが高そうだからまずは狭い空間で、練習がてらチャレンジしてみたいと、以前から考えていました。
お手洗い?それとも洗面空間?と考えていたところ、キッチンリフォームの際に、分電盤からの配線を通すために洗面の天井の一部に穴を開けることに。
これをきっかけに、天井のDIY欲が一気に加熱!補修も兼ねて、洗面に「ウッドシーリング」を貼ることにしたのです。
今回使う「ウッドシーリング」は、軽量で加工がしやすく、天井面にも安心して使える商品です。
すべて無垢材で出来た天井材と比較して、反って剥がれ落ちてきてしまうリスクが少ないというのが特徴です。
とはいえ、湿気の多い場所に、木の天井……大丈夫?と思いますよね。
大前提として「ウッドシーリング」は防水・耐水仕様ではありません。そのため、長期間水分を含み続けると、突板の部分が剥がれてしまったり、中の基材が割れてしまう可能性もあります。
今回は、そんな特性も理解した上で採用してみることにしました。3ヶ月・半年・一年後と、その後の経過もレポートしていきますので、参考にしてもらえたら嬉しいです。
貼り方を考えよう
貼り方によっても出来上がりの印象が違うらしい。
まずは助っ人に来てくれたTBKメンバーの徳山(通称:徳ちゃん)と一緒に、貼る方向やパターンについて検討しました。
「狭い空間の場合は、長手方向に貼ると奥行きが強調されるよ」「ダイナミックにするなら馬貼りだね」などなど。
アドバイスを受けながらイメージを広げます。
今回は、何より狭い空間なので、長手方向に貼って広く見せたい……ということで、縦方向に貼り合わせて行くことにしました。
仮並べをして、並びを検討
商品が到着したら、仮並べをして、材料の並びを検討します。
同じ箱に入っているものでも、色味の濃淡や木目の出方に個体差があります。
ポイントは同じ印象のものを並べて使うのではなくミックスさせること。のっぺりした印象にならず、自然な木目模様を再現できます。
また、表面に天然木の突板を貼っているため、同じような木目模様が複数枚入っていることも。その場合は、上下逆に並べてみると良さそうです。
ちなみに、「ウッドシーリング」は、角をわずかに落とす糸面取りという加工がされており、カットをすると、この糸面取りがなくなってしまいます。
そのため、並びを考える時は、カットした面が端になるように配慮する必要があります。
広い面に貼っていく時など、やむを得ずカット面が中央部に出てくることがあると思います。気になる場合は、180番のサンドペーパーでサンディングし、角を丸く整えてあげると見た目に違和感のない貼り上がりになるかと思います。
また、より丁寧な方法として、面取り用カンナを使って、同じように糸面取り加工するやり方も。
新たに糸面取りをした場合、基材の色がそのまま出てきてしまいます。明るい色味の「バーチ」や「オーク」はそこまで気にならないと思いますが、「ウォルナット」は明暗差があるので、気になる方は気になるかもしれません。
試しに『ワトコオイル』を使って色を足してみましたが、木材に着色するのとは違い、基材へは塗料が浸透し辛い印象でした。
必要な寸法にカットする
並びが決まったら、必要な寸法にカットしていきます。
まず、採寸した長さに合わせて、印をつけます。
このまま直接、手のこでカットしても良いのですが、真っ直ぐ切れるか心配なので、一度カッターで切り込みを入れておくことにしました。
ちなみに、写真では差金を当ててカッターを使っていますが、もう少し厚みのあるカッターガイドを使う方が、より安全です。
この切り込みをガイドにして、真っ直ぐ手のこを引いていきます。
特に力を入れる必要もなく、簡単に切ることができました。
今回はこのまま仕上げましたが、カットした断面と角をバリとりするとよりキレイな仕上がりになります。そんな時におすすめな道具がこちら!
気になる方はぜひトライしてみてください。
ちなみに「もしかしてカッターだけでも切れたりするのかな?」と、試してみたのがこちら。
やってみた感想としては、手のこで切り落とす方が断面も綺麗に、早く仕上がると思います。
より早くて正確に切れるのは、丸のこを使う方法だと思いますが、自信のない方はぜひ手のこで!そこまで厚さもないので、今回のようにカッターでガイドを引いて手のこで切り落とす方法であれば、一枚あたり5分もあれば充分切れます。
一枚切ってみたところで、念のため天井に当てて確認してみます。
天井面は場所によって歪みがあったり、メジャーを真っ直ぐ当てれていなかったりと、実際に材料を当てて気づく誤差があるんだなと気づきました。貼る前に確認しておいてよかった!
今回は予備の材料があったので正しい寸法でカットし直しました。
テープを貼って、ボンドを塗る
カットができたらいよいよ天井面に貼っていきます。
……と、その前に、忘れてはいけないのが天井面の下準備。
接着する面は、できる限りフラットな状態にしておきます。私の家の場合、クロス貼りの天井だったので、事前にクロスを剥がしておきました。
クロスを剥がした後も、できるだけ薄紙の段差や、ボソボソしている部分を除去しておくといいそうです。接着性の高い平面にしておくことで、貼り付けの強度が高まるんだとか。
おすすめは両端に、両面テープを貼って、中央部分にボンドを塗って貼る方法。
ボンドは乾くまでに時間がかかるため、貼った直後は両面テープが効き、ボンドが硬化することでしっかり天井面に固定されます。
と、これが大前提ではありますが「両面テープだけでもいけるんじゃないかな……?」と前々から思っていた疑問を徳ちゃんにぶつけてみたところ……
「クロスの薄紙に対して、両面テープだけというのは少し不安ではあります。接着性が弱いと、時間が経過してから徐々に剥がれてくる現象が起きるかも。
ただ、急に落下して危険な重量物ではないので、手の届く範囲であれば、剥がれてきたらボンドで接着し直すという考え方もありかと!」
個人的に試してみたいという気持ちもあり、今回は両端の2列だけ両面テープのみで貼ってみることにしました。
そして、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、天井に開いた3つの穴。本来は石膏ボードなどで埋めてから、仕上げ材を貼っていくところを、今回はそのまま貼っていきました。
当然ながら、この穴部分は接着面がないので、そこから徐々に剥がれてきてしまうことも想定されます。
こちらも、後々の変化を観察し、レポートしていきたいと思います!
いざ、天井面に!
テープとボンドをつけたら、天井面に貼り合わせていきます。
両面テープは一度天井面につくと、ずらしたり動かしたり、後から微調整は一切できません!そのため、最初に天井面に接する時は、特に慎重に作業する必要があります。
コツは端を斜めに合わせて、キュッキュッと隙間の無いように貼り合わせていくこと。
「ウッドシーリング」は、無垢材のように、季節によって伸縮する素材ではないので、隙間をあけずに施工していくことができるんです。
ボンドとテープだけで支えるため、密着作業はとっても大切です。押していない箇所がない様に、手を滑らせながら全面をしっかりと天井面に押し付けて接着させます。
両手でおさえられる長さであれば、一人でも貼れると思いますが、今回のように一枚あたりが長尺の場合は助っ人を呼びたくなります。
というわけで、2枚目からは、徳ちゃんに参戦してもらうことに。
こんな感じで、ボンドを塗ってテープを剥がす → 洗面室まで運ぶ → 貼るを繰り返して行きます。
最大の難所……丸穴くり抜き
続けて、貼り方をシミュレーションしている時から、難所の予感がしていた照明器具の部分に着手します!
この部分に貼る「ウッドシーリング」は、引掛シーリングに合わせて、丸く切り抜く必要があります。プロの現場ではホールソーなどを使ってくり抜くと思うのですが、我が家にはそんな道具はないため、カッターと手のこで挑みます!
まずはカットする部分の寸法を測ります。
メモを頼りに、切り抜く部分を「ウッドシーリング」に書き写して行きます。
と、ここでカットの前に、確認のため天井に当ててみて気づくのですが、左右逆に印をつけてしまっていました。
当然と言えば当然なのですが、天井材は壁材などとは違い、床で並べて見ている時から180度回転して貼られることになります。
くるっと回転させた後の向きを考えてカットする方向を決める必要がありました。
正しい位置に線を引いたら、カッターで慎重に跡を付けます。
そして手のこで頑張ってくり抜きました。
ちなみに調べてみると、曲線状の切断に適した「回し挽きノコギリ」というものがあるそうです。刃が短く小さいので、今回の様に細かな作業もしやすいと思います。
そして貼ってみたところがこちら!
完全に丸く切り取れてはいないですが、照明器具をつければ隠れる部分なので、良しとします。
ちなみに、引っ掛けシーリングは結線された状態のまま外せます。
今回は取り外して戻せるか不安があったため、この方法を選んだのですが、取り外しができる方なら、丸形カットしなくても貼れます。その場合は線を通す穴を開けて貼り付けてください。
ラストスパート!
難所をクリアしたら、あとは一気に貼り進めます。
地味に大変だったのが、ボンドをつけた状態で分電盤と天井の隙間に材を差し込む場面。
いよいよラスト1枚!実寸を測ってからカットします。
「いや〜、これピッタリ行ったんじゃないの?」意気揚々とカットした材を当てて確認してみると……
どうやら、廻縁の角に引っ掛かってしまっているようでした。
自宅にあるカッターと手のこで切れるので、素人の私でも、細かい調整が簡単にできました!
今回のように、小さな面積のDIYでも気軽に取り入れやすい材料だなと実感します。
貼り上がりました
天井に木の質感が加わって、温かみのある空間になりました。洗面の狭さは変わらないけれど、面取りされたラインが縦に入ることで、奥行きが強調されて、伸びやかな印象に!
天井面に貼るため、向きを間違えないようにしたり、照明の箇所をカットするのに難航したりしましたが、少し頭を使った、ハードルの高い作業の方がそれはそれで面白い。「とても簡単にできちゃった」ではなく、ちょっと苦戦した分、大きな達成感がありました。
今は毎日、ちらっと天井を見てはニヤけてから手を洗ったりお風呂に入ったりしています。
後日談:天井の観察記録
「時間が経ってどうなるの?」今回検証したいポイントのおさらいです。
・湿気の多い洗面スペース。水分を含み続けて表面の突板が剥がれてこないか?
・両面テープだけで貼った端の2枚。徐々に剥がれてきてしまわないか?
・下地となる天井の一部に穴が開いたまま塞いだ部分から、剥がれてきてしまわないか?
このポイントを中心に、経過観察した様子をお届けします。
3ヶ月後の様子
3ヶ月後の様子。
子どもたちの中で、浴室ドアを開けてお風呂に入る「温泉宿ごっこ」が流行中。もくもくと湯気をあび続けた天井ですが、表面の突板が剥がれたり、接着が不安だった箇所も板自体が浮いてくることもなく特に大きな変化は見られませんでした。
強いていうなら、初期の写真と比べると若干色味が濃く、木目模様もはっきり出てきているように感じます。
半年後の様子:2024年7月頃にレポート予定
一年後の様子:2025年1月頃にレポート予定