所要時間
5時間
かかった費用
¥41,321

主な材料・道具

ウッドシーリング バーチ
ウッドシーリング バーチ
¥13,100/㎡
強力両面テープ
強力両面テープ
ボンド・コーキングガン
ボンド・コーキングガン
手のこ・太刃カッター
手のこ・太刃カッター
脚立
脚立

toolboxの記事でも度々登場する、スタッフ稲垣邸。

過去には、元々和室だった部屋を畳からDIYで『スクールパーケット』に貼り替えてみたり、TBK(ツールボックス工事班)と一緒に、住みながらのLDKリフォームに挑戦したり。

自分たちのペースに合わせて、少しずつ自宅のアップデートを楽しんでいます。

畳の部屋をフローリングに!『スクールパーケット』貼ってみた
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自宅リノベーションで 畳の部屋をフローリングに!『ワトコオイル』で塗装もしました。参加したのは床貼り初心者のスタッフたちです。
リフォームの始まりは立ち話から〜自分の理想の原点から、家づくりパートナーとの出会いまで〜
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toolboxスタッフによる、築25年の自宅のLDKリフォーム!第一回目となる今回は、リフォームの舞台となった家のことや、過去の住まい体験から構築されていった「好き」の原点。動き出すきっかけになった出来事についてお話しします。

「この間、玄関の壁を壊してみたよ!」「端材で収納扉つくってみた!」

などなど、会社で顔を合わせる度に、新たな挑戦の報告が届きます。

そんな稲垣が、今回着手する舞台はこちら。

実はこの洗面空間も約5年をかけてアップデート中だったそう。

「コンパクトな空間だから、様々な色や素材を使ってみたい!」と、床は自身初のPタイル貼りに挑戦。壁は塗装とクロス、そしてモールディングを施した腰壁を付けて。

床・壁だけでなく、洗面シンク下の開き戸を引き出しに改造。タオル掛けにはサイズオーダーした『把手の金物』を取り付けて……と、もはやDIY練習場のような空間に。

こちらが改装の遍歴。空いている時間を見つけては、少しずつ作業を進めてきました。

今回はその一環として、木の天井にしてみたいと「ウッドシーリング」を貼ることに。

挑戦者稲垣の視点でレポートします。

なぜ洗面に木の天井?

DIY好きとしては一度は天井に木を貼ってみたい。だけどハードルが高そうだからまずは狭い空間で、練習がてらチャレンジしてみたいと、以前から考えていました。

お手洗い?それとも洗面空間?と考えていたところ、キッチンリフォームの際に、分電盤からの配線を通すために洗面の天井の一部に穴を開けることに。

これをきっかけに、天井のDIY欲が一気に加熱!補修も兼ねて、洗面に「ウッドシーリング」を貼ることにしたのです。

床の赤、壁のサンド色と黄色……それに絶対似合うはずと確信を持って「バーチ」をセレクト。

今回使う「ウッドシーリング」は、軽量で加工がしやすく、天井面にも安心して使える商品です。

断面はこんな感じ。不燃性の基材に0.2mmの天然木の突板が貼られたつくりになっています。(写真はウォルナット)

すべて無垢材で出来た天井材と比較して、反って剥がれ落ちてきてしまうリスクが少ないというのが特徴です。

とはいえ、湿気の多い場所に、木の天井……大丈夫?と思いますよね。

大前提として「ウッドシーリング」は防水・耐水仕様ではありません。そのため、長期間水分を含み続けると、突板の部分が剥がれてしまったり、中の基材が割れてしまう可能性もあります。

今回は、そんな特性も理解した上で採用してみることにしました。3ヶ月・半年・一年後と、その後の経過もレポートしていきますので、参考にしてもらえたら嬉しいです。

貼り方を考えよう

貼り方によっても出来上がりの印象が違うらしい。

まずは助っ人に来てくれたTBKメンバーの徳山(通称:徳ちゃん)と一緒に、貼る方向やパターンについて検討しました。

写真左が徳ちゃん。「どんな印象にしたいですか?」と話をする中で「それいいですね〜」と気持ちを盛り上げてくれます。

「狭い空間の場合は、長手方向に貼ると奥行きが強調されるよ」「ダイナミックにするなら馬貼りだね」などなど。

アドバイスを受けながらイメージを広げます。

撮影した写真にパターンを描いて、貼り上がりをイメージ。

今回は、何より狭い空間なので、長手方向に貼って広く見せたい……ということで、縦方向に貼り合わせて行くことにしました。

採寸をして必要な材料を計算し、発注します。カットの失敗なども考慮して、少し多めに見積もっておくと安心です。

「ウッドシーリング」は一枚あたり1820×145mm。こんな感じでカット、割り付けすればうまく収まりそうです。真ん中の照明部分のカットが難関な予感……。

仮並べをして、並びを検討

商品が到着したら、仮並べをして、材料の並びを検討します。

こんな感じで広げて検討するので、ある程度空いたスペースが必要ですね。

同じ箱に入っているものでも、色味の濃淡や木目の出方に個体差があります。

ポイントは同じ印象のものを並べて使うのではなくミックスさせること。のっぺりした印象にならず、自然な木目模様を再現できます。

また、表面に天然木の突板を貼っているため、同じような木目模様が複数枚入っていることも。その場合は、上下逆に並べてみると良さそうです。

並べては、少し引いた所からチェック……を繰り返す。

この並びに決定!

ちなみに、「ウッドシーリング」は、角をわずかに落とす糸面取りという加工がされており、カットをすると、この糸面取りがなくなってしまいます。

上が糸面取りされているもの、下がカットして糸面取りがなくなってしまった状態のもの(写真はオーク)

そのため、並びを考える時は、カットした面が端になるように配慮する必要があります。

広い面に貼っていく時など、やむを得ずカット面が中央部に出てくることがあると思います。気になる場合は、180番のサンドペーパーでサンディングし、角を丸く整えてあげると見た目に違和感のない貼り上がりになるかと思います。

また、より丁寧な方法として、面取り用カンナを使って、同じように糸面取り加工するやり方も。

こんな小さなカンナがあるんですね。

こんな感じで使います。

新たに糸面取りをした場合、基材の色がそのまま出てきてしまいます。明るい色味の「バーチ」や「オーク」はそこまで気にならないと思いますが、「ウォルナット」は明暗差があるので、気になる方は気になるかもしれません。

試しに『ワトコオイル』を使って色を足してみましたが、木材に着色するのとは違い、基材へは塗料が浸透し辛い印象でした。

「ワトコオイル」のミディアムウォルナットで色を足してみました。写真からも分かる通り、そこまで明確な違いも出ないため、個人的には、基材の色味が見えたままの仕上げでも良いのかなと思います。

必要な寸法にカットする

並びが決まったら、必要な寸法にカットしていきます。

まず、採寸した長さに合わせて、印をつけます。

印をつけて……

差金を使って真っ直ぐ線を引きます。

カット前に「不安なんで……」と、寸法を再チェックする慎重派徳ちゃん。

このまま直接、手のこでカットしても良いのですが、真っ直ぐ切れるか心配なので、一度カッターで切り込みを入れておくことにしました。

切れ込みを入れる時も、真っ直ぐに刃が入るように気をつけます。

ちなみに、写真では差金を当ててカッターを使っていますが、もう少し厚みのあるカッターガイドを使う方が、より安全です。

この切り込みをガイドにして、真っ直ぐ手のこを引いていきます。

水の入ったダンボール箱をカット台の代わりにしてみました。

きれいに切れました!

特に力を入れる必要もなく、簡単に切ることができました。

今回はこのまま仕上げましたが、カットした断面と角をバリとりするとよりキレイな仕上がりになります。そんな時におすすめな道具がこちら!

気になる方はぜひトライしてみてください。

ちなみに「もしかしてカッターだけでも切れたりするのかな?」と、試してみたのがこちら。

何回も力を込めて刃を入れれば切れないことはないですが、断面がぐずぐずになってしまいました。

やってみた感想としては、手のこで切り落とす方が断面も綺麗に、早く仕上がると思います。

より早くて正確に切れるのは、丸のこを使う方法だと思いますが、自信のない方はぜひ手のこで!そこまで厚さもないので、今回のようにカッターでガイドを引いて手のこで切り落とす方法であれば、一枚あたり5分もあれば充分切れます。

一枚切ってみたところで、念のため天井に当てて確認してみます。

あれ?なんか……隙間あいてない!?

あと3mmくらい長く切っても良さそう。

天井面は場所によって歪みがあったり、メジャーを真っ直ぐ当てれていなかったりと、実際に材料を当てて気づく誤差があるんだなと気づきました。貼る前に確認しておいてよかった!

今回は予備の材料があったので正しい寸法でカットし直しました。

長辺のカットも同じスタイルで挑みます。

短辺のカットと異なり、木目の流れに沿ってだんだん刃が持って行かれる感覚が。カッターのガイドを深めに入れておくのが良さそうです。

最後は分業制で、ババッと進めます。

テープを貼って、ボンドを塗る

カットができたらいよいよ天井面に貼っていきます。

……と、その前に、忘れてはいけないのが天井面の下準備。

接着する面は、できる限りフラットな状態にしておきます。私の家の場合、クロス貼りの天井だったので、事前にクロスを剥がしておきました。

写真では分かりにくいですが、クロスを剥がして薄紙だけ残した状態に。

クロスを剥がした後も、できるだけ薄紙の段差や、ボソボソしている部分を除去しておくといいそうです。接着性の高い平面にしておくことで、貼り付けの強度が高まるんだとか。

施工説明書を見て、貼り方を予習。

おすすめは両端に、両面テープを貼って、中央部分にボンドを塗って貼る方法。

ボンドは乾くまでに時間がかかるため、貼った直後は両面テープが効き、ボンドが硬化することでしっかり天井面に固定されます。

両端にテープを貼ります。

今回のために購入したマイ・コーキングガン!

意外と均一に量を出すのが難しい……。

はみ出しそうな所だけ割り箸ですくっておきました。

と、これが大前提ではありますが「両面テープだけでもいけるんじゃないかな……?」と前々から思っていた疑問を徳ちゃんにぶつけてみたところ……

「クロスの薄紙に対して、両面テープだけというのは少し不安ではあります。接着性が弱いと、時間が経過してから徐々に剥がれてくる現象が起きるかも。

ただ、急に落下して危険な重量物ではないので、手の届く範囲であれば、剥がれてきたらボンドで接着し直すという考え方もありかと!」

個人的に試してみたいという気持ちもあり、今回は両端の2列だけ両面テープのみで貼ってみることにしました。

この2列をテープのみで貼ってみます。

そして、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、天井に開いた3つの穴。本来は石膏ボードなどで埋めてから、仕上げ材を貼っていくところを、今回はそのまま貼っていきました。

当然ながら、この穴部分は接着面がないので、そこから徐々に剥がれてきてしまうことも想定されます。

こちらも、後々の変化を観察し、レポートしていきたいと思います!

いざ、天井面に!

テープとボンドをつけたら、天井面に貼り合わせていきます。

両面テープは一度天井面につくと、ずらしたり動かしたり、後から微調整は一切できません!そのため、最初に天井面に接する時は、特に慎重に作業する必要があります。

こちらは商品開発時に、社内で施工した時の様子。TBKメンバーが施工しています。

その動画を見ながら、事前に動きをシミュレーション。

コツは端を斜めに合わせて、キュッキュッと隙間の無いように貼り合わせていくこと。

「ウッドシーリング」は、無垢材のように、季節によって伸縮する素材ではないので、隙間をあけずに施工していくことができるんです。

テープの片側は、こんな感じで剥離紙を途中まで剥がし、折り目をつけておきます。

斜めに突きつけながら、位置を確認して貼り付けます。

びろびろーと隙間から剥離紙を剥がしたら……

「くっつけ〜〜」と力と念を込めて、しっかりと天井面に密着させます。

ボンドとテープだけで支えるため、密着作業はとっても大切です。押していない箇所がない様に、手を滑らせながら全面をしっかりと天井面に押し付けて接着させます。

両手でおさえられる長さであれば、一人でも貼れると思いますが、今回のように一枚あたりが長尺の場合は助っ人を呼びたくなります。

というわけで、2枚目からは、徳ちゃんに参戦してもらうことに。

もう一人押さえてくれる人がいると、非常に作業しやすくありがたい!

こんな感じで、ボンドを塗ってテープを剥がす → 洗面室まで運ぶ → 貼るを繰り返して行きます。

一枚貼るごとに見上げては「おお〜!」といちいち感動しちゃいます。

最大の難所……丸穴くり抜き

続けて、貼り方をシミュレーションしている時から、難所の予感がしていた照明器具の部分に着手します!

照明器具を取ると、引掛けシーリングが。

この部分に貼る「ウッドシーリング」は、引掛シーリングに合わせて、丸く切り抜く必要があります。プロの現場ではホールソーなどを使ってくり抜くと思うのですが、我が家にはそんな道具はないため、カッターと手のこで挑みます!

まずはカットする部分の寸法を測ります。

カバーで隠れる部分までの長さを測って……

その場でメモ!

メモを頼りに、切り抜く部分を「ウッドシーリング」に書き写して行きます。

採寸した結果を書き写し、円の中心点を出します。

長男のコンパスを探すも見つからず。糸を使ったライフハックが役立ちました。

と、ここでカットの前に、確認のため天井に当ててみて気づくのですが、左右逆に印をつけてしまっていました。

危うく反対側に穴を開けてしまう所でした。

当然と言えば当然なのですが、天井材は壁材などとは違い、床で並べて見ている時から180度回転して貼られることになります。

くるっと回転させた後の向きを考えてカットする方向を決める必要がありました。

頭では理解できても、作業している現場は大混乱。材を持ち上げては「合ってるよね?」と確認しながら進めます

線を消して証拠隠滅。消しゴムやメラミンスポンジで消すも、うっすら鉛筆の跡が残ってしまいました……気にしないことにします。

正しい位置に線を引いたら、カッターで慎重に跡を付けます。

一筆で切り込みを入れるのではなく、少しずつ切り込みを入れて。

そして手のこで頑張ってくり抜きました。

半円ずつに分けて刃を入れていくときれいに切れる気がします。

ちなみに調べてみると、曲線状の切断に適した「回し挽きノコギリ」というものがあるそうです。刃が短く小さいので、今回の様に細かな作業もしやすいと思います。

引掛けシーリングの突起部分の切り込みも忘れずに。

そして貼ってみたところがこちら!

完全に丸く切り取れてはいないですが、照明器具をつければ隠れる部分なので、良しとします。

この後、反対側も同じ手順でくり抜きました。

照明を取り付けたところ。苦戦しただけに、喜びもひとしお!

ちなみに、引っ掛けシーリングは結線された状態のまま外せます。

今回は取り外して戻せるか不安があったため、この方法を選んだのですが、取り外しができる方なら、丸形カットしなくても貼れます。その場合は線を通す穴を開けて貼り付けてください。

ラストスパート!

難所をクリアしたら、あとは一気に貼り進めます。

だんだんとコツを掴み、手際よく作業をこなせるように!しかし、この日だけで、洗面とリビングを一体何往復したんでしょう……?笑

地味に大変だったのが、ボンドをつけた状態で分電盤と天井の隙間に材を差し込む場面。

ボンドがくっつかないように、そっと差し込みます。徳ちゃんに支えてもらいながら慎重に貼り進めました。

いよいよラスト1枚!実寸を測ってからカットします。

ここでミスする訳にはいかない!と採寸にも気合いが入ります。

完成が楽しみすぎて作業が倍速に。それにしても躍動感のある写真が撮れました。

「いや〜、これピッタリ行ったんじゃないの?」意気揚々とカットした材を当てて確認してみると……

「うっ……はまらない!!泣」

どうやら、廻縁の角に引っ掛かってしまっているようでした。

引っ掛かっている部分をカッターで切り欠いて対応しました。

自宅にあるカッターと手のこで切れるので、素人の私でも、細かい調整が簡単にできました!

今回のように、小さな面積のDIYでも気軽に取り入れやすい材料だなと実感します。

ギッチギチの貼り上がりに大満足!

貼り上がりました

どうですか、この変わりよう!

Before

After

天井に木の質感が加わって、温かみのある空間になりました。洗面の狭さは変わらないけれど、面取りされたラインが縦に入ることで、奥行きが強調されて、伸びやかな印象に!

天井面に貼るため、向きを間違えないようにしたり、照明の箇所をカットするのに難航したりしましたが、少し頭を使った、ハードルの高い作業の方がそれはそれで面白い。「とても簡単にできちゃった」ではなく、ちょっと苦戦した分、大きな達成感がありました。

今は毎日、ちらっと天井を見てはニヤけてから手を洗ったりお風呂に入ったりしています。

最後は徳ちゃんと完成の喜びを分かち合いました。

後日談:天井の観察記録

「時間が経ってどうなるの?」今回検証したいポイントのおさらいです。

・湿気の多い洗面スペース。水分を含み続けて表面の突板が剥がれてこないか?
・両面テープだけで貼った端の2枚。徐々に剥がれてきてしまわないか?
・下地となる天井の一部に穴が開いたまま塞いだ部分から、剥がれてきてしまわないか?

このポイントを中心に、経過観察した様子をお届けします。

3ヶ月後の様子

3ヶ月後の様子。

子どもたちの中で、浴室ドアを開けてお風呂に入る「温泉宿ごっこ」が流行中。もくもくと湯気をあび続けた天井ですが、表面の突板が剥がれたり、接着が不安だった箇所も板自体が浮いてくることもなく特に大きな変化は見られませんでした。

強いていうなら、初期の写真と比べると若干色味が濃く、木目模様もはっきり出てきているように感じます。

半年後の様子:2024年7月頃にレポート予定
一年後の様子:2025年1月頃にレポート予定

紹介している商品

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テキスト:岩崎