キッチンの見た目を変えたい!
キッチンとしてはまだまだ使えるんだけど、「見た目がどうも気に入らない……」「面材が古びてきてる」などなど、今あるキッチンにいまいち愛着を感じられないという方、いるのではないでしょうか。
そんなお悩みを解決するべく、toolboxでは「キッチン扉交換」という、キッチン収納の面材をお好みの素材やカラーの扉に交換できるサービスを展開していますが、今回トライしてみるのは「面材の仕上げを貼り替え&把手を変える」というキッチンリフォーム。
やってみたのは、ツールボックスの設計・施工チーム、ツールボックス工事班(TBK)が取り組んだリノベーションの実験『studyroom#1』のキッチン。見た目は味気ないものの、設備としてはまだまだ使える状態だったキッチンを、2つに切ってL型キッチンにしました。
「キッチンを2つに切る!?」と驚かれたかもしれませんが、TBKとしてもキッチンを切るのは初めての試み。そんなキッチン切断リフォームの過程も気になる!という方は、こちらの記事でレポートしていますのでぜひご覧ください。
キッチンの形は新しくなりましたが、面材は既存のまま。よくみると汚れがこびりついていたり、シートが浮いていたり……把手も良くも悪くも普通な感じ。これを、面材に新しく化粧フィルムを貼り重ねて把手も付け替え、装いを新たにしていきます。
面材のサイズを測って仕上げ材を手配する
面材に貼る仕上げ材は、シート状になった樹脂製の化粧フィルム。まずは必要なサイズを割り出して、化粧フィルムを手配します。
今回の場合、貼りたいフィルムの幅は1220mmでm単位での販売。キッチンの高さは900mm、幅は970mmと1497mmで約2500mmだったので、3m分あれば足りますが、失敗した時のための予備も考えて多めに用意します。
今ついている把手を外す
まずは、今ついている把手を外します。
大体の把手は下の写真のように裏でビス留めされているので、裏のビスをドライバーやインパクトドライバーで回して外すことができます。
滞りなく把手を外すことができました。
パテで把手の穴を埋める
化粧フィルムを綺麗に貼るために、面材をパテで補修していきます。
まずはパテ作り。パテの粉に水を混ぜて練っていきます。塗料を入れるのに使うバケットなどの容器の中で作ってもいいけれど、今回作業してくれた職人さんが見せてくれたのは、現場用の養生シートの上でパテを練るというアイデア。こうすると、残ったパテをシートに包んで丸ごと捨てられるので便利なんだそう。職人さんの知恵!
既存の取っ手の穴をパテで埋めて、仕上がりが平滑になるようにします。傷や凹みなどがあったら、そこもパテを塗っていきます。
今回使った粉パテは、石膏ボードの目地処理に使われるもの。職人さんによると、硬めのポリエステルパテもおすすめだそう。パテは乾くと痩せてくるので、2回3回と平らになるまで塗り重ねると良いです。
パテを塗り終えたら、乾燥させます。このドライヤーのような道具はヒートガン。400度以上の高熱が出る「取扱注意!」なやつです。ご家庭でDIYでやる場合は、ドライヤーでも十分乾燥を促進できます。パテを自然乾燥させる場合は、その日のお天気や室内環境にもよりますが、室温20度で1時間ほどで乾きますよ。
面材のサイズを測って化粧フィルムを切り出す
パテを乾かしている間に、各引き出しや扉の面材のサイズを計ります。
化粧フィルムは薄いので、一般的なカッターでもスッと切れます。ロール状になっていて大きいため、床で作業をするとやりやすいです。長い定規と大きめのカッターマットがあると便利。
小口を含んだ面材の正面サイズより、ひと回り大きく切り出していきます。最初からピッタリサイズで切ってしまうと、貼る時に少しでもずれたらリカバリーしにくいからです。
小さなロールが量産されていきます。どこの面に貼るのか照合できるよう、裏面に番号を振ったりサイズを書いておくと良さそうと思いました。
面材を取り外す
続いては面材を取り外していきます。扉タイプの場合は、下の写真のような金具で本体と接続されていて、扉側の金具のビスを外すと面材を取り外すことができます。
そして引き出しの面材も外すことができるんです。今回のキッチンの場合は、箱型の引き出しパーツに面材が取り付けられているタイプでした。
固定しているビスを回して、面材を取り外していきます。
面材と引き出しパーツの固定方法によっては面材を取り外しにくい場合もあるので、その時は面材を取り付けたまま化粧フィルムを貼る方法にするといいと思います。
プライマーを塗る
続いては化粧フィルムを貼る準備として、パテを塗ったところをサンダー掛けして平滑にします。パテを削るサンドペーパーは180番位の目が細かいものがおすすめ。
次に塗っているのはプライマー。シーラーと呼ばれることもあり、上に貼る化粧フィルムやクロス、塗料との密着度を上げたり、塗る側の材からアクが出てくるのを防ぐ役割もあります。
粘着剤がついていないタイプの仕上げ材を貼る場合は、面材側にプライマーを塗った上で、速乾性の接着剤を塗って貼ることができるそうです。接着剤によっては貼りたい仕上げと相性が悪い場合があるので、ホームセンターで店員さんに相談してみるのが安心です。
表面と四方の小口にプライマーを塗っていきます。プライマーは20〜30分ほど(気温20℃・湿度60℃)放置してしっかり乾燥させます。
プライマーを乾かすのは、塗った面とプライマーの密着度を上げる目的もありますが、生乾きのまま貼ると仕上げ材を溶かしてしまうこともあるからだそう。
ちなみにtoolboxでは「ミッチャクロン」というプライマーを取り扱っています。金属から樹脂まで、幅広い素材に対応するプライマーで、塗装の下地処理だけでなく、化粧フィルム貼りにも使うことができます。
化粧フィルムを貼る
いよいよ化粧フィルムを貼っていきます。小口まで覆えるように大きめに切ったフィルムを面材が中央に来るように乗せたら、裏の剥離紙を少しずつ剥がしながら、スキージーを滑らせて空気を抜きながら貼っていきます。一気に全面に貼るのではなく、端から貼っていくのがポイント。
小口側にも化粧フィルムを貼っていきます。小口に貼り終えたら、余分な化粧フィルムは切ってしまってOK。
小口にもしっかり密着させていきます。小口にも貼るのは、扉や引き出しを開けた時の見た目を綺麗にするほか、フィルムを剥がれにくくする目的もあります。
小口の角は、少しだけフィルムを重ねて貼って納めています。ピッタリ角に合わせて切って貼ると、水がかかった時に隙間から基材に浸水したり、剥がれやすくなってしまうからです。
面材を取り付ける
化粧フィルムを貼り終えた面材たちを、元の位置に取り付け直していきます。取り外した時と逆の手順で戻していきます。
把手を取り付ける
面材を付け終えたら、把手を取り付けていきます。今回使う把手は「T番把手」のプレートつまみ。「糸ネジ」と呼ばれる、後ろのネジを扉厚さに合わせてカットする、扉厚を選ばないタイプ。
インパクトドライバーにドリルパーツを付けて、把手を取り付けたい位置に穴あけしていきます。把手のビスの太さに合わせてドリルパーツを選んでください。T番把手は、ネジの太さは3mmでした。
元々の取手がついていた穴がちょうどいい位置であれば、そこに取り付けてもいいと思います。
穴に把手の糸ネジを差し込んだら、付属の六角ナットで締めます。
裏側に飛び出した糸ネジの長すぎる分は、ボルトクリッパーでカット。グリップを両手でグッと握って力を入れたら、パキン!と切れました。
以前、くいきりでビス頭を切る作業をしたことがあるのですが、その時は1本切るのに10分くらい格闘したんですよね。ボルトクリッパー、すごい!
どんどん取り付けていきます。
新しく穴を開ける時は、他の引き出しの把手取り付け位置とラインが揃うように気をつけてくださいね。
今回は取り付けなかったのですが、「T番把手」には、裏面用樹脂キャップが付属しているので、糸ネジの切り口やナットをキャップで隠すこともできます。キャップを取り付ける時は、樹脂ワッシャーをネジに通した後に六角ナットを締めてください。
完成!
全ての面材に把手を取り付けて、面材リメイク完成!
元々が白い面材だったので、ライトグレーの化粧フィルムを貼っていかほど変わるのか?と思っていましたが、貼り変えた面材はやっぱりキレイ!
毎日使う場所であるキッチンは、使い勝手もだけど、見た目もそこで過ごす時間を楽しくしてくれるのに大切な要素。キッチン面材の貼り替え&把手交換に自分で挑戦してみたいという方は、ぜひ参考にしてください。
この方に教えてもらいました
主に壁紙、化粧フィルム、長尺シート、塩ビタイルなどの内装仕上げ材の装飾工事を専門とする職人さん。ツールボックス工事班(TBK)の現場でいつもお世話になっている頼れるパートナーです。
相内内装 aiuchinaisou.a@gmail.com
※対応エリア 関東近郊