洗面空間の変換期に
玄関入ってすぐのスペースや広い廊下、リビングの一角など……。洗面室から飛び出した、それぞれの生活スタイルに合った洗面をよく見かけるようになりました。
そんな洗面の在り方の変化により、洗面空間だけでなく、周辺との関係を意識して洗面空間をつくることが増えてきたように思います。
洗面空間の中でも目線の高さに設置されるミラーは、ふとした時にも目に入ってくる存在。どんなサイズでどんな素材ものを合わせるかによって、洗面空間全体の印象が変わります。
また、ものが多くて煩雑になりがちなのが洗面。スタイリング剤や歯磨き粉など、使い心地は良くてもパッケージが好みではないな、なんてこともあります。さまざまな生活スペースに取り込まれるようになったからこそ、「なるべくすっきり仕上げたい」という思いも生まれてきます。
そんな時、やっぱり収納付きのミラーが肝になってくると思うのです。
お気に入りとして選びたい
洗面まわりのパーツを見ると、水栓はカラーのものが増えたり、シンクは選べるバリエーションが豊富になり機能面が気になるよりも先にぱっと見た時に「これいいじゃん!」「使ってみたい」と思うものへと進化を遂げています。そんな中で収納付きのミラーは、全面ミラーだったり、照明がミラーを囲うようについていたり……機能面での工夫がより際立っているように感じていました。
そこで、機能面だけの工夫ではなく、デザイン面の工夫ができないかと。ベクトルを変えて収納付きミラーと向き合ってつくったのが『クロップドミラーキャビ』です。
心がけたのは、素材や色味が伝わること。
まず、ミラーがキャビネットの内側に収まるようにしました。キャビネットの小口が正面から見えるようになり、まるで額縁のように。
寂しいから何か飾りたいなと思う壁に写真やポスターを額縁に入れて飾るのと似たような感覚で、空間を彩る一つの要素として取り入れたくなります。
また、キャビネット全体をミラーで覆わず、少し短く、クロップド丈にしたのもポイント。
ミラー下に余白をつくり、素材や色味をより感じてもらえるようにしようと考えた工夫でしたが、結果的にものをちょい置きできるスペースにもなりました。ズボンの裾からカラーの靴下を覗かせるみたいな感覚で、自分の生活を少し覗かせることができ、ここをどう使おうか考えるとわくわくしてきます。
歯を磨いたり顔を洗ったり、ただ単に身支度をするための場所ではなく、洗面もひとつの部屋として過ごせる。家具のように設えられる「クロップドミラーキャビ」はそんな洗面空間がつくれると思います。
コーディネートに不足ないように
素材は、ラワン、シナ、バーチの木の質感を味わえるtoolbox定番の3種と、6色のカラーの全9種類を用意。
カラーものは、はっきりとした色味のホワイトとブラック。それに加え、グレー系のカラーが4色ラインナップに並びます。
オープンになり、他の空間との関係も大事になってきた洗面は、白や黒でパキッとさせるだけでなく、柔らかな色で中和させたい場合もあると思います。そんな時にグレー系のカラーは中間色として使いやすい。色んなグレー具合がある中で、今回はコーディネートに不足ないよう4色を揃えました。
選んだ素材が洗面空間のスパイスになったり、空間を馴染ませる存在になってくれます。
また、洋服のコーディネートと同じで洗面空間も、シンクや水栓、ミラー、照明など空間一体としてバランスをとってあげることも大切。
朝家族が並んで準備ができる広々とした洗面や、廊下や玄関脇につくったスモールサイズの洗面など。様々な洗面に合わせられるよう、小さいのは横幅460mmから、大きいのは1180mmまで4つのサイズを用意しています。
未来にはばたけ
「居心地のいいスペースにしたい」「憧れのホテルのような洗面にしたい」
みなさん、洗面について色々妄想すると思います。かくいう私も、自分が理想とする洗面空間はどんな空間でどんな居場所にしたいだろうかと、今も妄想をもりもり膨らませ続けています。
「クロップドミラーキャビ」が生まれたことで、洗面空間のコーディネートの幅がまたひとつ広がりました。だからこそ、これから更にいろんな洗面空間が生まれていくのではないかとわくわく期待を膨らませています。
どんな洗面空間をみなさまがつくるのか、それぞれの色が出た空間を見ることを楽しみにしています。