空間の「質」を上げるキッチン水栓
「キッチン」と言えば「独立した空間にシステムキッチン」というイメージだった時代から、キッチンのデザインは随分自由になりました。そして「キッチン」は、キッチン空間そのものをどうするかという次元から、LDKや住まい全体の空間の中でデザインするものに変わりつつあります。
そんなキッチンづくりで、小さなパーツながら、キッチンのみならず空間全体をグッと上質なものに仕上げてくれるアイテム、それがこの『VOLAキッチン水栓』。「壁付け混合栓」と「台付け混合栓」の2タイプの展開です。
水を出せる彫刻
VOLAキッチン水栓の特徴は、機能をそのまま形にしたミニマルさ。
美しいカーブを描くスパウトとレバーをスクエア型の台座が取りまとめ、ひと塊の彫刻作品のように見せる、「壁付け混合栓」。
メカニカルな雰囲気がありつつも無骨ではなく、滑らかな仕上げが優美さを感じさせます。
最低限の要素でできているのに、背景になじんでしまうシンプルさとは違う存在感を持っています。
「台付け混合栓」も、台座から吐水口までスッと伸びたスパウト、金属の塊から削り出したような彫刻的フォルムが特徴。
最近のキッチン水栓に比べて小ぶりなのですが、「水を出す」「操作する」という機能をそのまま形にしたような形は、見れば見るほど「この形こそ水栓のベスト」と感じさせます。
誕生は半世紀前
今どきな造形に感じるかもしれませんが、実はこれらの水栓が生まれたのは1968年。デザインしたのは、SASロイヤルホテルなどの名建築を設計し、「セブン・チェア」や「エッグチェア」を始めとする名作家具を世に残したアルネ・ヤコブセンです。
最初に誕生したのは「壁付け混合栓」。機能部分が壁の中に隠れ、スパウトとレバー部分だけが表に見えるデザインは、当時画期的なものだったそう。その後生まれた「台付け混合栓」とともに、昨今のモダンな水栓のオリジンとも言える存在になりました。
その「存在感」が空間を引き立てる
この水栓との出会いは、『キッチンSETUP-03』の壁に付ける水栓選び。“ミニマル”をコンセプトにしたキッチンづくりで、さまざまな水栓を検討した結果、たどり着いたのがこの壁付け混合栓でした。
ニューヨークMoMAのデザインコレクションに収蔵されるようなプロダクトですから、水栓単体の造形美や高い機能性は認知していました。それが、実際にキッチンに合わせてみたらどうでしょう。その存在感は周囲を引き立てるものとなり、空間全体の雰囲気がグッと格上げされたのです。
建築だけでなく家具やカトラリーも手掛けていたヤコブセン。空間全体で見たときにバランスする美しさまでをも追求したデザインであることを、そのとき実感したのです。
高度な技術で実現した普遍的デザイン
VOLA社は1873年に教会装飾の鋳物メーカーとしてデンマークで創業し、1955年に水栓金具の専門メーカーとしてスタート。商品は全て自国内の工場で、職人の手仕事と最先端の技術を組み合わせて製造されています。
ヤコブセンのデザインを高度な技術と精度で実現した水栓は、指一本でスパウトやレバーが動かせるシルキーな操作感もポイント。さらに、台付け混合栓はレバーが正面を向いており、利き手によらず操作ができる造りで、どんな人にも使いやすい汎用性と水栓レイアウトの自由を両立する機能性に唸らされます。
自由な空間づくりを促す
主張を持たせたいキッチンづくりにも、「キッチン感」をなくしたいキッチンづくりでも、その存在感で空間を引き立てるVOLAキッチン水栓。
『オーダーキッチン天板』や『オーダーフレームキッチン』のような装飾性を削ぎ落としたキッチンにはもちろん、タイルや木、モルタルなどのクラフト感のある素材に合わせても、オブジェ感が際立ちます。
キッチンの自由なデザインを促すということは、空間全体の中でのキッチンの在り方も変えてくれるということ。機能付加で進化する昨今のキッチン水栓とは一線を画す、「空間を豊かにする」という理念のもと作られたキッチン水栓のマスターピースです。