日用品と鑑賞品のあいだ
お茶碗やお皿、マグカップ、花器。実用品でありながら、見て楽しむ鑑賞品としての側面も持つ陶器。
そんな陶器を「つまみ」に応用するアイデアで、「使う」と「眺める」を兼ね備えた、インテリア陶器の提案です。
不均一な表情に惹かれる
「焼き物」を感じさせる質感と釉薬の表情。陶器のつまみはさまざまあれど、こういう甘くない感じのものはなかなかなかったと思います。
カラーはホワイトとダークグレー。土の質感を感じるザラっとした素地で、天面の凹んだ部分にだけ釉薬がかけられています。
ガラス釉が使われたホワイトは、貫入(かんにゅう)が見どころ。貫入とは陶磁器の装飾方法である釉薬の表面にできたひびのことで、ひとつひとつ割れ方や気泡の入り方が違います。
ダークグレーには、白濁した釉薬を使いました。すり鉢状になっている凹み部分に釉薬が溜まって、色の濃淡を生んでいます。
手仕事によって生まれる個々で異なる釉薬の表情は、焼き物ならではの魅力。扉や引き出しに整然と並べて取り付けたら、それぞれの味わいがより際立ってくると思います。
心地良く馴染む
つまみとしては少し大ぶりなこちらのつまみ。存在感があるので、収納扉や引き出しの面材を気張らなくても、全体の意匠性をグッと高めてくれます。
とはいえ形状と色合いはシンプルなので、複数並べて取り付けてもうるさくならず、さりげなく空間を彩ってくれます。背景になる戸の素材も選びません。
天面は直径32mmほどで、凹み部分はつまみを握ったときに親指がフィットするようにデザインされています。
高さは約30mmあり、中指と人差し指で挟む軸元は細く、つまみを引きやすいように考えられています。
親指は艶やかな釉薬に、中指・人差し指は土の素地と、感じる質感が異なるところもポイント。
水が掛かっても大丈夫なので、キッチンなどの水回りはもちろん、屋外でも使えます。
お気に入りの陶器を棚に飾るような感覚で、気の利いたつまみで扉や引き出しを彩ってみませんか。
開発パートナー:Camp Design inc. 藤田雄介