その場に一片、あるだけで
洗面空間の印象は、合わせるミラーでガラッと変わります。もっと言うと、壁と鏡面の間に、どんな素材を添えるかで、その場に漂う空気まで決まってしまうと思うのです。
『メタルフレームミラー』のある洗面空間に立つと、そんなことに気付かされます。
そこに一片あるだけで、適度な緊張感を与えてくれる金属。キリッと洗練された空間にまとめ上げ、訪れるたび、気持ちまで整う場所にしてくれます。
壁や棚板、周囲の仕上げをそっと引き立て、さりげなく上質に見せてくれる。洗面空間の引き締め役として取り入れたいミラーです。
地味なところ、こだわりました
ミラーを選ぶ時、フレームの素材やフォルムだけでなく、その「つくり」にまで着目したことはありますか?私自身、比べてみるまでは気にも留めていませんでしたが、実はミラー自体の印象を左右する大事なポイントだったんです。
そもそも、金属を使ったミラーは、コストや軽量化の観点から、薄い金属板を折り曲げてつくられるのが一般的。一見、厚みがあるように思えてもその中身は空洞です。
一方「メタルフレームミラー」は、肉厚のフラットバーを組んで、フレームにするという、少し贅沢な手法でつくられています。正面から見た厚みは5mm、横から見た時の幅は25mmと、過度に主張はせずとも、目に留まる存在感です。
ぎゅっと詰まった量感が出せるのはこのつくりだからこそ。材の断面をダイレクトに活かした潔さと相まって、空間に、より洗練された印象を与えてくれます。
きらりと光る個性を引き出して
せっかく金属を使うのならば、その金属が持つ本来の表情を立たせたいと、仕上げにもこだわりました。
「鉄」は、高温で熱することで表面に酸化被膜を発生させる「黒皮鉄」の板材を採用。焼付塗装やメッキ塗装では隠れてしまう、傷や色ムラをそのままに、自然な風合いを大切にしました。
無骨な味わいがありながら、チャコールグレーの色味がどこか柔らかな印象も与えてくれます。
鈍い光沢が渋みを感じさせる「アルミ」と、品のあるくすみが楽しめる「真鍮」は、よくあるピカピカの質感にならないよう、手作業で磨きをかけています。
さらに、角の加工にもうひと手間。溶接して接合部を滑らかに削ることで、継ぎ目のない仕上がりに。
特に明るい色味の金属は、少しの継ぎ目でも目立ってしまいます。ノイズを取り除くことで、より素材そのものの色味や質感が楽しめるようにしています。
どの素材も、水回りで使うことを考慮し、錆対策としてマットな質感のクリア塗装を施しました。
余白を大切に
ミラーのサイズは500×600mm。胸より上をしっかり映す大きさです。
単体での見た目のよさはもちろん、置かれた時の壁の余白にも着目しました。
他のスペースとの兼ね合いで、壁の大きさに余裕がないことが多い洗面空間。広く見せようと幅いっぱいの大きなミラーを選びがちですが、左右の余白がなくなると途端に窮屈な印象に。
コンパクトな空間でも余白を残し、広い空間では間延びしない。そんなバランスにこだわった結果、この寸法に行き着きました。
壁から浮かない美しさ
凛とした雰囲気をつくる要素として、もうひとつ大切だったことが、壁との一体感。
建築工事の際に、造作で取り付けたミラーはピッタリ美しく収めることができます。一方、家具としてのミラーは重量の問題から置くことを想定しているものが多く、壁に取り付ける前提にはなっていないものがほとんど。裏に金具をつけて引っ掛けると、壁とミラーの間に多少の隙間が空いて、仮置きしたような感じになってしまうのが気になっていました。
『ラワンの洗面ミラー』同様、オリジナルの取り付け金具を採用することで、その問題を解決。設置の際は、壁側に受けとなる金具を取り付け、ミラー背面に付けた金具をカチャッと噛み合わせます。
ピタッと吸い付くように納めることができ、壁との隙間が生まれません。ただ引っ掛けただけのような仮置き感もなく、洗練された洗面空間を演出してくれます。
清々しい洗面空間で、自然と所作も丁寧に。自分を整える身繕いの側に迎えてみませんか?