木になじみ 暮らしに溶け込む
トイレや洗面の手洗い器、どうしてます?
置き型の手洗い器を木でできたカウンターの上にのせる形、よいですよね。いかにも洗面所というのではなく、木のあたたかみが部屋としての心地よさを生んでくれます。
けど、これまで手洗い器のほうが、あまり素敵なものが見つかりませんでした。ひんやりした感じというか、シンプル過ぎるというか、そういうものばかりで。ときどき手作りのようなものを見かけますが、今度は厚ぼったくてボッテリしすぎている。
木のカウンターにすっとなじみ、手作りの柔らかさがある、そんな手洗い器を探していたのです。
ろくろを回してつくられる
半磁器土独特の素材の色である少しアイボリーがかった白に、黒の縁取りがされた手洗い器は、まるでホーローの器のようです。道具として使い込まれるほどに味わいが出てくる仕上がりです。
この手洗い器は焼き物の街、波佐見の小さな窯元で作られています。半磁器は「半」と名前がついているとおり、陶器の加工性の良さと磁器の強度や透明感を合わせもつという特徴があります。手洗い器の一番底の排水部分と外側は型にはめて成形をしていますが、内側はろくろによって回しながらヘラによってひとつずつかたちを作り出してします。
ひとつずつ手作りよって生まれる柔らかな形状と、日常生活で使うことを配慮した素材の強度を実現する素材として半磁器土が選ばれました。
使いやすいカタチ
形状はゆったりと深さをとることで、洗うときにしっかりと手が入り、コンパクトながらも水がはねにくくなっています。そして、器の中に入れる手をそっと受け入れてくれるように、エッジをカーブさせています。
半磁器による薄さがシャープな印象を持たせながらも、どこか懐かしい感じがするのは、人の手が作り出すこの曲線によるものかもしれません。
開発パートナー/テキスト:TSUDOU DESIGN STUDIO 須藤剛