手触り感を大切に
世の中の建材にビニールやプラスチック製のものが席巻してから早数十年。お風呂の浴槽もまた、ユニットバスで多く使われている大量生産されたFRPや人造大理石の浴槽が主流です。
樹脂特有のマットな手触り、終わりの見えない水垢との戦い。
「ユニットバスは、イヤだ。少しでもこだわりたい。でも、猫足バスタブは装飾的でちょっと違うかも・・・他に選択肢は無いのか?」と一度は周りを見渡せど、なかなかこれだと思えるものは見つからず、何となく妥協してしまっているあなたに向けて鋳物のホーロー浴槽をご紹介致します。
ホーロー(琺瑯)というのは、身近な所ではレトロなポットなどのキッチン用品で使われている材質です。
この浴槽は、厚さ5mmの鋳鉄の上にガラス質の釉薬を3層分、高温で焼き付けて出来ています。職人の手仕事によって仕上げが行われるため、その表面はかすかに波打ちます。それゆえに大量生産品にはあらわれない、豊かな表情を湛えていて、手で触れるとしっとりと滑らかです。
ガラス質特有の光沢は容易には剥がれず、汚れもつきにくい。現在では数少なくなった国内生産にこだわる工場で製造され、品質を維持しています。
鉄ならではの心配について
下地が鉄なので、特に気になるのが触れたときのヒンヤリする感じですよね。実際に触れてみた所…… 、ガラスのコーティングがされている為、思ったよりも温度のギャップは感じません。ガラスに触れたときの感覚とほぼイコールとお考え下さい。
また、お湯を溜めてゆくと浴槽全体に熱が行き渡ります。そのため、お湯を溜めた後に浴槽に入る頃には、縁がひんやりする心配は無さそうです。
もう一点、肝心の保温性についてもご心配無く。こちらもガラス層が熱の放出を防ぐため、中のお湯は冷めにくいです。
長く使うために
モノの寿命は、モノそのものの耐久性よりも、使い手が飽きることなく使い続けられるかどうかで決まってしまうことが多いのではないかと思います。浴槽もしかり。
その形はいたってシンプルで飽きのこないフォルムです。斜面の部分が体の形に無理なく寄り添い、リラックスの時間の邪魔をしません。
そして、可能な限り余計な装飾は削いで人とお湯を包む機能に特化しているため、空間の中でイヤな主張をしません。ですから、どんな浴室空間のテイストにもフィットするはずです。
シーンに合わせて
ご用意した埋込タイプとスタンドタイプの2種類です。いずれも在来工法の浴室にてご使用下さい。
これら2種類は実現したい浴室空間に応じて、使い分けていただければと思います。シンプルな浴室にちょこんと置いても良いですし、浴槽は埋込にして浴室に使うこだわりの壁タイルを見せるのも良いでしょう。
お湯を溜めて浸かる。ただそれだけですが、お風呂はわたしたちの毎日の生活に欠かすことができません。
だからこそ、浴槽をつくる素材に目を向けて、こだわってみる。向こう何年もの一日一日の質に関わることですから、そのこだわりはきっとあなたを裏切らないでしょう。
(担当:吉村)