窓辺にリネンのある風景
今まで、遮光性や色味でしかカーテンを選んだことがなかった私。見慣れた自宅の窓辺に、この『セルヴィッチリネンカーテン』を取り付けてみて驚きました。
目を覚ませば、織り目から漏れてくる朝の光。日が沈んでから照明を灯せば、表面に柔らかな陰影が生まれ、夜の始まりをあたたかく演出してくれる。
季節や時間帯によって刻々と変化する光の表情を、上手に反映してくれるので、床や壁の表情までいつもと違う印象に。
家の中と外の境界に、さっとかけただけなのに、お部屋の風景が一変する。カーテンが空間に及ぼす影響の大きさに改めて気がついたのです。
暮らしに寄り添う頼れる存在
こだわったのは、品がありながら自然なシワのあるやわらかな表情。見た目で主張をしないけれど、そこにあると心地よい、空間にそっと寄り添う存在を目指しました。
良質なベルギー産の糸を使った生地は、カーテンとして光を透過させると、織り目の美しさと、ハリのある素材感が際立ちます。外からの視線が気になる方は『ガーゼカーテン』と重ねてみるのもおすすめです。
手にとってみるとゴワつかず、ふっくら柔らかい肌触り。カーテンにふさわしい、しっかりとした厚みがあります。また「ネップ」と呼ばれるリネン特有の糸の節を程よく含み、これが空間に素朴であたたかな印象を与えてくれるのです。
そして、生地の両側には「セルヴィッチ」と呼ばれる耳がついています。
ほつれどめや、布地の裏表を見分ける役割を持つこの部分は、カーテンに加工する際に切って捨ててしまうことが一般的。しかしtoolboxでは、チャームポイントと捉えてあえて残すことに。
生地をそのまま活かすことで、かっちりし過ぎず、思わず触れてみたくなる佇まいに。使い込むほどに、暮らしに馴染んでくれそうなカーテンです。
気兼ねなく付き合える、日常使いの天然素材
キッチンクロスからベットカバー、洋服まで、あらゆる場面で私たちの暮らしに役立つリネンは、カーテンとしても優れた特性を持っています。
空気を多く含むため、洗ってもすぐに乾いてふっくらさらり。防カビ・防虫性があり、雑菌が繁殖しにくく、臭いもつきにくいなど、いつも清潔に保てるのはリネンならでは。
また、天然素材は静電気を帯びにくく、ホコリがつきにくいという一面も。時々気になった時に上部をハタキで払うだけ……と、日々のお手入れも簡単です。
通気性と保温性に優れ、夏は高温多湿、冬は乾燥の厳しい日本の気候でも、一年を通して快適に付き合える素材です。
ここでしか生み出せないもの
生地を作っているのは織物の盛んな山梨県富士吉田市。家族経営の小さな工場です。
ここでは、セルヴィッチが作れる昔ながらの「シャトル織機」を使っています。
シャトル織機は今では製造されていない機械のため、故障すると修理が困難です。織物産業は後継不足が深刻で、機械の故障を原因に、技術が継承されないまま廃業してしまうことも多いのだとか。
低速で織り上げるシャトル織り機は、織り目のひとつひとつがふっくらと、立体感のある仕上がりになるのが特徴。高密度で織られたリネンは耐久性が高く、大切に使えば10年・20年と長く愛用できます。
丁寧に織られた生地は、富士山の地下水を汲み上げ洗いにかけます。リネンを柔らかくする酵素を配合した温水でもみ洗いをすると、アンティークリネンのような良い風合いが生まれるのです。
合わせる楽しみのあるカーテン
シャトル織機によって織られた証であるセルヴィッチのラインは「ナチュラル」と「ネイビー」の2色をご用意しています。
ヒダをつけるとせっかくの耳が隠れてしまうので、フラット仕様にしました。1枚の両側に耳が出るように作ったので巾サイズは固定の5サイズ。両開きの場合は2枚ご使用ください。
無垢材やアイアンなど、時間の経過と共に味わいが増していく素材や、アンティーク家具と合わせるのがおすすめです。繊細すぎない見た目は、モルタルや足場板、ラーチ材などを使った、ラフな空間にも似合います。
そして、自然素材だからでしょうか。個人的には、植物との相性がすごく良いと感じます。グリーンやドライフラワーなどと一緒に、窓辺を心地よく彩ってみてはいかがでしょう。