映らない鏡
この鏡、ちゃんと映りません。
と言ったら語弊があるかもしれませんが、僕たちが一般的に使用している鏡ほどクッキリとその姿を映し出すことはできません。
そもそも鏡の構造ってご存知ですか? 一般的な鏡の構造は、簡単に言えばガラス+銀メッキフィルム。
アルミや銀などをメッキした薄いフィルムが光を反射することで姿を映し出すわけですが、その表面にガラスなどの可視性の高い素材を貼ることで、この反射板に傷がついたりよれたりすることを防いでいます。
で、このアルミミラーはと言いますと素材にアルミのみを使用し、鏡面もガラスを貼らずにアルミ板を徹底的に磨いて磨いて、磨ききっただけ。
まさに銅鏡にも似た原始的な構造で、学生時代に考古学をやっていた僕にとってはこのような原始的な原理の物はどうしてもグッときてしまいます。
工業系好きに捧ぐ
僕のように、その原始的な構造が故に工業系の物が好きな方にぜひおすすめします。
構造のシンプルさ、製作過程の潔さもさることながら、その最大の特徴はやはりこのなんとも言えないアルミの質感。バイクや車をいじるような方にもわかると思いますが、人の手によって磨き上げられたアルミの鏡面は、ステンレスやメッキと違ってずっと眺めていたくなるような優しいツヤがあります。
傷を防止する役割を果たすガラスを貼っていないためスクラッチ傷などが付くことはありますが、通常の使用において傷がつくようなものではありませんし、アルミなので銅鏡のように錆びることもありませんのでご安心を。
化粧など顔のディテールを仕上げるのには不向きな鏡かもしれませんが、姿を映し出したり髭剃りやコンタクトを入れたりなどの通常の用途には事足ります。
映すというよりつい覗き込んでしまいたくなるような、そんな鏡です。