シンクをステージに変える
料理シーンの花形と言えば、コンロの上で豪快に鍋を振るうといった、火を使った作業。ですが、実際にキッチンで多く発生するのは、野菜や魚など食材を洗ったり、まな板や鍋を洗浄するといった、水を使う作業。重要な作業ながらどうにも“裏方”感のあるキッチンの水仕事を、もっと楽しく行うことができたら?そんなキッチンを叶えるのが、こちらのアイテム。
レバーを倒して水を出したら、スパウトを手に握り、ホルダーからガチャッと外して、グイッと引っ張ってジャーッ。右に左に自由に取り回しできるホースを華麗に捌きながら洗いものをササッと済ませ、シンクの隅まで綺麗に洗い流したら、スパウトをホルダーにガチャッと戻してフィニッシュ…!まるで「洗いもの職人」にでもなったかのような気分に浸ることができる混合水栓です。
この“いかつさ”がイイ
この水栓の魅力は、何と言ってもこのいかついスプリング。そして、スプリング端部のゴツいリング、グリップしやすそうな太いスパウト、シンプルなレバー、安定感のある円筒型のボディ。「必要なパーツを組み合わせたらこの形になった」と言わんばかりの、飾り気のない姿。余分なカーブやくびれがないところも好ましい。衛生設備機器でありながら、そこはかとなく工業製品感を漂わせています。
この水栓をつくっているのはイタリアの老舗水栓メーカー。キッチン水栓を含む住宅用設備機器の機能がどんどん至れり尽くせりになる中、「ホース水栓」という機能に特化しているところにも惹かれます。
プロ志向のホース水栓
業務用を思わせるデザインですが、実際、この形の水栓はプロの厨房で長年使われてきたもの。「料理研究家のおうちのキッチンで見かけた」という人もいるのではないのでしょうか。
プロの厨房では、「洗う」作業にもスピードと正確さが求められます。自在に動かせるホースは広範囲に水をかけることができ、長いホースは深い鍋の底を洗浄するのも楽々。スパウトを手に持ちながら、食材の細かいところにスポット的に水を当てて洗うこともできます。ホースが水栓本体に収納されるホース引き出し式水栓もありますが、「ホースが出っぱなし」という形は「ホースを引き出す」というワンアクションがないため、迅速に作業に取り掛かることができます。
大げさ過ぎない、華奢過ぎない
「スプリングホース水栓」は、そのサイズ感も“推し”ポイント。これまでも同じような形の一般家庭向け水栓は市場に出ていたのですが、高さが600mm以上あるものが多く、一般的な日本家庭のキッチンではちょっとオーバーサイズ感がありました。一方、「スプリングホース水栓」の高さは500mm。大げさすぎないサイズで空間になじんでくれます。
メカニカルな風貌と適度なボリューム感は、キッチンを空間の主役にしたい時にもハマります。「ちょっと広めのキッチンで、中華鍋や大きな鍋をガシガシ使って料理がしたい」。そんなキッチンに、見た目的にも機能的にもよく似合うと思います。
キッチンのエンターテイナーになろう
キッチンはマルチタスクの場です。洗ったら切って、煮込んでいる間に洗って、皿を出して盛り付けて、調理に使った道具も洗い終えた状態でさあ食事へ。そうした一連の作業をスムーズにコンプリートできた時、私はえも言われぬ達成感を感じます。たとえそのパフォーマンスを誰にも見られていなかったとしても、一人で勝手にテンションが上がります。料理が得意ではない私ですらそうなのですから、料理が好きな人だったら、なおさらそう感じるのではないでしょうか。
キッチンの水仕事をエンターテイメントに。この水栓なら、これまでは「面倒だな…」と思っていた食後の皿洗いも、勇んで臨みたくなりそうです。