奥行きのあるソファーや名作家具に埋まる。

ホテルラウンジとか、古ビルのロビーとかに惹かれます

低めのソファーが並んでいて、意図的に照明が抑えられたホテルのラウンジ。腰をおろすとクッション…というか、身体のまわりの空気に包まれて長い時間過ごしてしまう。ああ、落ち着く空間。

場所は変わって、年季の入ったビルの待ち合わせに使えるようなロビースペース。こちらは長居する訳では無いけれど「ちょっと腰掛けてみようかな。」と、一人掛けのソファに誘われます。座ってみると視線が変わった空間がまた味わい深い。

タイルの巻いてある柱にカーブしたアルミ素材がレトロなコンビ。

ふたつに共通するのは自分にとって「心地よい」空間ということ。そういう場所に出会うと、どうにか我が家にその雰囲気を持ってこれないものか、と考えてしまいます。とは言っても置かれてる家具、天井の高さ、掛けられた絵画や、音楽や匂いまで。挙げていくと居心地の要素はたくさんある。

今回はその中でも照明に注目しました。空気を照らすようなガラスグローブからの優しい灯りと、メタルとガラスを組み合わせたレトロなフォルムで、ホテルラウンジのような雰囲気を出せる照明器具をご紹介します。

リビングの一角、灯せば真鍮のベースから天井に優しく光が伸びる。

金属とガラス、そして「フォルム」がポイント

照明のベース部分は、金属の板を回転させながらへらで型に押し付けて成形する「へら絞り」という技法でつくられます。昔ながらのペンダントライトのセードや、果てはロケットのパーツまでこの技法でつくられているとか。少ないロットでバリエーションをつくるのが得意で、熟練工の手によって製作されています。

真鍮とアルミ、曲線と直線。どれも反射が美しい。

へら絞りの曲線が美しいベースに丸いガラスグローブを合わせた「ボール」と、直線の組み合わせでつくったベースに筒型グローブの「カプセル」のふたつの形状をラインナップ。素材も真鍮とアルミから選べます。それぞれフォルムはレトロですが装飾的な印象はありません。

電球のワット数を抑えて、就寝前の静かな灯りとして。

グローブはガラス製で、その質感が雰囲気に一役買っています。よりクラシックな見た目の「ボール」は不透明な乳白ガラスを。「カプセル」は梨地のフロストと、クリアガラスからチョイス可能。使用する電球にもよりますが、光源から拡散の具合が異なります。壁や目線に近い場所に設置する場合は、乳白やフロストが調子良いと思います。

フロストカプセルの霜で凍った水面のような透け感は、消灯時もキレイ。

さらに言うと、消灯している時の魅力も忘れてはいけません。消えているときのガラスグローブの雰囲気もイメージしながら選んでみてください。

乳白ボールは透明感がないからベースから、ガラスへと続くシルエットがキレイ。

その存在感をどう活かす

ボリュームや存在感は小さくはありません。空間に溶け込ませるよりは雰囲気づくりのキー照明としておすすめします。使える電球は白熱灯の場合40Wまでの電球を推奨、LED電球ならもう少し明るいものを使えますが、デスクワークや広い空間には物足りない明るさだと思います。そこは空気感重視で、適宣フロアライトや手もと灯と組み合わせて。

天井面へは直付けとシーリングソケットどちらのタイプも使えます。壁面へは直付けタイプをお選びください。露出の配管等はくれぐれも使わずに、ベース部分が壁へピタッと設置されることで活きるデザインだと思います。

「ただいま!」とドアをあけた先、玄関ホールの雰囲気づくりはシューズボックス上の壁に、絵画とともに。

長いお付き合い前提

バリエーションの中でも設置したばかりの真鍮タイプは、黄金色の輝きが少し恥ずかしく思える場合もあります。ですが、このライトのベースは素地のまま塗装していないため、時とともに古美色へ、緩やかに古く美しく変化します。

気長に付き合いながら、飾り棚の置き物を揃えたり、壁に飾る絵や写真を集めたり。お気に入りのコーナーを作り上げていく過程も込みで、居心地がつくられていくんだなと、あらためて感じる灯具です。

寝室から廊下へと続く空間を照らす照明として。ブルーのカーペットと真鍮は好相性。

こんな使い方もあります

和の面影を活かしてリノベーションした家に合わせる。

欄間の上の土壁に設置する。意外にもアルミが似合う。

メタルラウンジライトで玄関をぼんやりと照らす。

担当:大迫 / テキスト:石田

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