手元を隠す腰壁がない、リビングダイニングと一体になるオープンなキッチン。(撮影協力:studio niko、株式会社リビタ)

Ⅱ型のために生まれました

toolboxのキッチンラインナップが充実していく中、お客様から寄せられることが増えていた「Ⅱ型キッチンありますか」という声。お待たせをいたしました。

Ⅱ型だからこそのカタチを追求してデザインした、「Ⅱ型のためのⅡ型キッチン」、誕生です。

白い箱を木でぐるりと包んだようなデザイン。白い面材は、汚れや水に強い低圧メラミン。(撮影協力:株式会社リビタ、studio niko)

Ⅱ型キッチンとは、シンクとコンロを分けて2列に並行させたキッチンレイアウトのこと。ローマ数字の「Ⅱ」の形をしているから、「Ⅱ型(二型)」。「セパレート型キッチン」と呼ばれることもあります。キッチン本体の幅をコンパクトにしながらも、広い作業面と収納量を確保できるのが特徴です。

作業面をたくさん確保しようとするとI型は本体の幅が長くなってしまいますが、Ⅱ型は本体幅を短くできます。

でも、いざ選ぼうと思っても、Ⅱ型のシステムキッチンは少なく、あっても仕様の選び方が複雑でわかりにくい。もっと仕様もデザインも明快なⅡ型キッチンを提案できたら、と商品開発をスタートしました。

最初は、I型としてつくったキッチンをⅡ型にアレンジする方向で進めていました。が、検討を進めれば進めるほど、出てくるのはI型を無理やりⅡ型にすることによる矛盾。「Ⅱ型だからこその天板や収納、Ⅱ型だから提案できる暮らしがあるのでは?」という思いが膨らんでいき、ゼロから「Ⅱ型のためのキッチン」をつくる方向にシフト。

そうしてできあがったのがこの、「木天板キッチンⅡ型」です。

設備というより家具のような佇まいを持つキッチン。(撮影協力:株式会社リビタ、studio niko)

キッチンと暮らしをつなぐ木の天板

Ⅱ型キッチンとしての自然なカタチを求めていく中で、このキッチンに取り入れたのは木の天板。シンクとコンロのまわりはステンレス天板で覆い、他の部分には、木目の主張がおだやかなバーチを使いました。

バーチ天板はウレタン塗装仕上げ。シンク側キャビネットの奥行きは900mmあり、ゆったり作業ができます。

このキッチンをつくるときに考えていたのは、「リビングダイニングと交わるキッチン」にしたいということ。

対面式のキッチンでよく見かける、コンロの前に壁をつくったり、腰壁でキッチンを囲んでいる事例。油はねや煙の充満への対策だとはわかりつつ、リビングダイニングとキッチンがつながりきっていないのが気になっていました。

でも、コンロを壁側に配置できるⅡ型なら対面側に壁をつくる必要がなくなって、オープンなキッチンにできます。

そんなキッチンの天板は、全面ステンレスでも良いのだけれど、「設備感」がちょっと気になる。リビングダイニングは、素材に木を使った要素が多い場所。天板に木を取り入れることで、キッチンとリビングダイニングがうまく交わる気がしました。

付属品の人工大理石プレートは、製作工場から出る廃材を活用してつくられています。

木の天板で、食材を切ったり盛り付けをしたり。木製テーブルの上で行っているような感覚で作業ができます。お気に入りの調理道具や器、キッチンまわりの小物も、一層映えそうです。

暮らしの重要な一部である「キッチンでの営み」を隠してしまうのはもったいない。

料理をしている手元がオープンになったら、リビングダイニングからもその様子が見えて、見ている側もつくる側もきっと楽しい。「何作ってるの?」と声がかかって、そのまま一緒に料理を始めるような。

この木の天板が提案するのはそんな、「手元を隠さないキッチン」ならではの暮らしです。

ステンレス天板のバックガードと木の天板の段差は3mm。わずかな段差ですが、安心感を与えてくれます。

自分にベストな使い方を考えたくなる収納

もうひとつ、こだわったところは「収納」です。

ふたつに分かれるキャビネットをそれぞれ効率的に使い切りながら、使う人が自分の使い勝手に合わせてアレンジできる余地もある、そんな収納を考えました。

コンセント付きのスライド棚と、マグネットが使える引き出しを備えたコンロ側キャビネット。

コンロ側キャビネットのスライド棚部分は、置きたい調理家電に合わせてサイズオーダーができます。コンロ横の引き出しの内側は、マグネット収納でカスタマイズできる仕様。シンク下の収納は、使い方やしまいたいものに合わせて、引き出しか開き戸を選べるようにしました。

リビングダイニング側の収納。開き戸部分は棚板の高さを変えられる可動棚になっています。

シンク側キャビネットは、リビングダイニング側にも収納をつくりました。ポイントは、A4ファイルボックスが入るサイズで設計した、一番下の引き出し。

ダイニングテーブルって、意外と事務作業の多い場所だと思うんです。ファイルボックスを使って書類やノートパソコンを収納してもいいし、平皿を縦にしまってもいい。使い道を考えるのが楽しくなる引き出しです。

A4ファイルボックスがおさまるサイズにすることで、引き出しの使い方の可能性が広がりました。

キッチンで鍋を煮込みながら、ダイニングで書類やメールに目を通したり。料理の仕上げをしているそばで、リビング側から子どもがお箸や小皿を取り出して並べてくれたり。リビングダイニング側に設けた収納も、キッチンとリビングダイニングの交わりを深める要素になってくれました。

Ⅱ型からはじめるLDKづくり

木の天板が、リビングダイニングとキッチンをひとつにする。手元を隠さないキッチンで、家族や仲間とコミュニケーションしながら料理を楽しむ。収納を自分の使い勝手に合わせてアレンジして、キッチンを使いこなす。このキッチンが描き出す暮らしを想像すると、なんだかワクワクしてきます。

木の天板がリビングダイニングのインテリアに溶け込んで、オープンなキッチンと空間の一体感を高めてくれます。

壁付けのコンロ側キャビネットは、幅を1390~1990mmの中で10mm単位でオーダーできます。シンク側キャビネットはペニンシュラ型とアイランド型があり、幅は1540・1690・1840・1990mmの展開です。

本体の幅をコンパクトにもできるⅡ型キッチンは、間口が狭いLDKや、壊せない壁や柱があるなど、間取りに制約がある場合にも有効なレイアウト。キッチンのまわりに動線をつくりやすく、回遊性のある空間づくりにも向いています。

間取りの可能性も広げてくれる「木天板キッチンⅡ型」。ここからLDKづくりを始めたくなるキッチンです。

シンクからの視界はすっきり。木天板がリビングダイニングに馴染みます。(撮影協力:株式会社リビタ、studio niko)

担当:椎野 / テキスト:サトウ
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