その姿、実直につき
ふとした時に出会う、名もなき工業製品に惹かれます。
渋いビルのドアノブや、年季の入った団地のスイッチ、旅先で泊まった古いホテルの水栓金具、etc…。流行り廃りや装飾という概念のない、ただただその仕事を果たすことを極めた、機能主義を感じるものたち。
その形の奥にある、実直なものづくりに感じ入るのかもしれません。
そんな私の心を捉えたのが、こちらのアイテム。
一本の金属棒を曲げて台座に取り付けただけの、飾り気のない形。素材は、強度があって水にも汚れにも強いステンレス。
「水まわりで、ものをかけて使う」そのために必要な機能から導かれた姿が潔い、『ステンレス丸座バー』です。
飾り気はないのに品がある
飾り気はないのに、その佇まいにどことなく品を感じるのがこのバーの特徴。そのわけは、ディテールに気が利いているから。
丸い台座は直径約28mmと小ぶりで、壁への設置に必要最低限なサイズ。端へ向かうほど薄くなるようテーパー加工されており、壁面にスッと寄り添います。
バーは丸座の裏からビスで固定されていて、溶接痕のない見た目はすっきり。太さは7mmと太すぎず細すぎず、小ぶりな台座とのバランスも良し。
細部の丁寧なつくりが、簡潔な出立ちのバーに端整な印象を与えています。
物腰やわらかで気取らない
サイズ展開は、バー部分の長さが250mmと450mmの2種類。
錆びにくいステンレス製なので、キッチンのシンクまわりの小物掛けや、洗面のタオルハンガーとして活躍してくれます。
昔からあるような、どこか懐かしい雰囲気も帯びた丸座のバー。
角張りのないフォルムは、空間にやわらかさを添えたい場面にも向いています。
洗い物の途中で、ふと顔を上げた時。手を洗って、タオルに指をかけた時。
普段は意識して見つめることのない存在だけど、視界に入るたびに心地よい余韻を与えてくれる、気取らなさが魅力の一本です。