カウンターも兼ねたオープンキッチンに白シンクが映える。

いつもと違う、シンクとの出会い

遊びに訪れた家のオープンキッチン。リビングのダイニングカウンターを兼ねたキッチンの中で、一番最初に目に飛び込んできたのが、木天板に映える真っ白いシンクでした。

「なんて爽やかな……」というのが第一印象。食事後、洗い物を手伝いながら感じたのは、「白シンクは、洗い物をして、すっきりした状態に戻っていく過程が際立つから達成感があって楽しい!」ということ。またこのシンク、そのマットな素材感ゆえか、シンクについた水滴が目立ちにくく、使い終わった後の冷たい雰囲気がないのもよかったんです。

水回りが明るい印象に。シンクの縁に現場でソープディスペンサーを追加して。(アカシアの集成材との組み合わせ)

木天板と合わせやすいマットな質感と、水場なのにあたたかさを感じるこの存在感が、オープンなキッチンですごく効いてくる。海外事例などでカラーシンクの存在は知ってはいたけれど、あまり自分事として選択肢に挙がっていなかったカラーシンクの良さを体験できた出来事でした。

海外では、シンクを単独で買って好きな天板と組み合わせるのは、当たり前にある選択肢。やっと日本でも使いやすい、組み合わせやすい、ポテンシャルを感じるシンクが見つかった。それがこの『クォーツシンク』です。

洗うだけにあらず。シンクで出来ることの可能性

シンクって天板と一体になったステンレス製のものがほとんどですが、なるべくリビングに近いオープンキッチンで「設備感」を出したくない、木やモルタル天板などを使いたい、そんな状況もあるかと思います。

この「クォーツシンク」の面白いところは、そんな空間のイメージづくりにプラスになるだけでなく、これまでの洗い場という役割を超え、切る、乾かす、冷やすなど、多彩に使えるポテンシャルを秘めていることなんです。

「ダイニングテーブルに水場がついた」そんな存在感に。スチール脚にのせたフリーカット無垢材 ナラ(節・白太有)と組み合わせて。(写真提供:株式会社Drawer)

定番の「シングル」は幅700mm。大きすぎず、小さすぎず、深すぎもせず。海外製のシンクを輸入しようと思うと、日本の住宅スケールに合わないものも多いのですが、ちょうどよいサイズ感。

オプションの水切りは、シンク側面に突っ張って使うタイプ。シンクの縁に載せるタイプはよくありますが、天板から少し下がった位置で固定されるので、洗い物を置いていても目立ちにくいのが嬉しいところ。

シングルのみで使える水切り。作業台の補助にしたり。

水切りカゴを使わず一時的に水切りをしたい方にはおすすめです。

シンク底面の丸い目皿は、中心の突起部分を回すと水溜め出来るようになっています。

ダブルシンクの小さい方に水を溜めて。パーティー時は大活躍。

ダブルシンクは、その水溜め機能を活かして、小さい方をボウル代わりにして野菜を水に漬けて丸洗いしたり、パーティーシンクとして来客時にお酒を冷やしたりと、発想次第でユニークな使い方が可能に。お料理教室、カフェやお菓子の販売店を営み、保健所対応が必要な方にもおすすめです。

あまり見慣れないのが作業台が一体になった「デッキ付き」タイプ。約40cmの平らな部分を作業台として使うことが出来ます。切る作業ははもちろん、粉ものを練る場所にも使えそう。作業終わりは、ホースで全体にさっと水を流してすっきりと。特に木天板と組み合わせた時は、なるべく天板を水で濡らしたくない。そんなニーズに応えてくれます。

シンク側には勾配がついています。水栓はホース式を選んで作業終わりはサッとひと流し。洗面台として使うニーズもありそうですね。(ウォルナット集成材天板とサンドを組み合わせて)

色展開は、3色をセレクト。オークなど明るい木天板の樹種に映える「ホワイト」は、すっきり爽やか具合がダントツです。黒っぽい天板やモルタル天板とも相性良しなのが「ブラック」。水栓もブラックで合わせるのもありですね。もう一つ珍しいのが、ウォルナットなど深めの樹種と合わせやすい、中間色の「サンド」。コントラストがつきすぎず、落ち着いた雰囲気をつくり出せます。

ブラック、サンド、ホワイトの3色展開。

やわらかい雰囲気、その秘密は......

天板との合わせやすさの決め手として大きいのが、マットな梨地の質感。樹脂のような、あたたかみのある手触りなのですが、実はこのシンク、天然素材のクォーツを主成分として作られています。

クォーツと言えば、宝石や時計の印象が強いと思いますが、その強度の強さから海外のキッチン市場ではだいぶ前から注目されている素材なんです。

砕石された高強度なクォーツが80%以上含まれたポリマー樹脂を成形しています。このマットな質感が、木などの天板と好相性。

天板にすっと馴染む、立ち上がりの薄さもポイント。ダブルシンク、デッキ付きなど形状が複雑なものでも余計な凹凸がありません。全体にすっきりした印象をつくり出せるのも、一体成形ができる素材だからこそなんです。

コーナーにはわずかなアールが。立ち上がりは5mmですっきり天板におさまります。

見た目だけではありません。クォーツは、汚れ、染み、傷つきづらさに定評があり、熱湯をそのまま流し込んでもOKというタフに使える素材です。

日常のお手入れもスポンジとふきんでさっとふき取るだけ。「見た目か機能、どちらを取るか」家のアイテム選定の中で起きがちな対決ですが、これなら両取りしてくれます。

オーバーシンクで天板の自由を広げる

日本だと馴染みが薄いかもしれませんが、海外でシンクと言えば、天板の開口部に上からはめるオーバーシンクが主流。天板の木口が露出にならないため、カビなどが発生しづらく、施工性よし。木天板、メラミン天板、モルタル天板、人工大理石など、組み合わせる天板素材の制約がなくなるのが、何よりの魅力です。

木天板は憧れるけど、水染みが心配という方には、「フリーカット無垢材 / 集成材」でも選べるウレタン塗料や「セラウッド」というより水に強い塗料もあり、日本でもチャレンジする土壌ができてきた気がしています。

周囲の空間の家具との相性やキッチンとの向き合い方を考えて、自分好みに仕立てたキッチン。みんなが自然に手伝って、気持ちよく片づけを終わらせたり、スツールを寄せて、一人静かにお茶を淹れてひと息ついたり。

シンクとの心の距離がもっと近くなる。キッチンとの付き合い方、向き合い方を変えてくれそうな、これまでのシンクの概念を変えてくれる存在です。

担当:青 / テキスト:来生

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