すっぽりと包まれて
整然と並ぶタイル貼りの壁面にリズム良く並ぶ丸いコントローラー。きゅっと回せば、頭上からふってくる柔らかい雨粒のような心地よいシャワー。
ただ何もせず、上から降ってくるシャワーの下にぼーっと立ってるだけで、こんなにほかほかしてくるとは……
バスタイムの快適さを追い求める皆様に、見た目良し、身をゆだねる心地よしな、新たな選択肢『バスシャワー』をご紹介します。
お恥ずかしい話、私自身これまで海外の旅先でオーバーヘッドシャワーに出会っても、操作に戸惑い、あまりスムーズに使えたためしがなく……使わない時も見せておきたいと思わせるデザイン性は写真からも感じてはいたのですが、日常的に使ってみると、ゆったり過ごしたい時、時間のない時、それぞれの良さを体感できたのです。
バスタブ代わりの極意は、とにかく動かず身をゆだねる
いつもは、ホースに繋がったハンドシャワーで、頭や身体を洗うべく必要なところに水を持っていくわけですが、それは一度忘れましょう。
ヘッドシャワーの下に立ち、ただただ、何もせず、ぼーーっと、雨のように垂直におちてくる水滴たちに身をゆだねてみます。せわしなく手を動かし、髪を洗いだすのではなく、しばしの間、ただただ動かず、瞑想するようにぼーっとするのがおすすめです。
水あたりは、勢いよく線のように当たるものに比べると、粒が大きく柔らかめな印象。頭が包み込まれる感覚で、しばらくすると頭がほかほかあたたかくなってきます。
とにかくハンズフリーで立っているだけなので浴びるのも楽。バスチェアに座って滝行のように首筋や背中に当てるのもおすすめです。
ハンドシャワーとは異なる大きな面で水滴が降ってきて、頭ごと包まれる心地よさ。湯船に浸かるのが好きな人でも、お湯を張る時間のない日はありますし、面倒くさがりの人には、もうこれだけでいいかも!と、シャワーの浴び方で、湯船とはまた違うひとときを味わうことができます。
決め手は操作部のデザインでした
世の中には海外・国産問わず、いろいろなデザインのオーバーヘッドシャワーが普及しているのですが、この「バスシャワー」は、イタリア製。その推しポイントは、丸い突起が壁に等間隔に並んだだけ、というシンプルな操作部の佇まいです。
タイルに丸い突起が並ぶだけの、このすっきりした見た目が成り立つのは、イタリア車のエンジンのように、壁に埋め込む見えないところにもこだわっているから。連結された基盤を壁面のお好きな位置に設置して、表側に見えてくるカバーを固定します。タテヨコどちらの向きでも設置可能です。
そこまで広々としたスペースが確保できない日本の住空間でも使いやすいサイズ感もうれしいポイント。
選択できる吐水のタイプは、頭・首肩にお湯をあてて身体全体をあたためてリラックスする「オーバーヘッド」、ポイント使いや浴室全体を洗い流せる「ハンドシャワー」、バスタブや桶へのお湯張りのための「スパウト」の3種類。
私は、オーバーヘッドとハンドシャワーを組み合わせた2WAYだけでいいかな。やっぱり3種類全部を使う3WAYかな、など、ご希望のスタイルによって、お好きな組み合わせを選べます。
ちなみに、ハンドシャワーは、スティック状の細長いシルエットが特徴的。オーバーヘッドがあるからこその割り切ったミニマルデザインで壁に掛かった姿もすっきりです。正直最初は見た目重視でお湯の当たり方には期待薄でしたが、想像以上にしっかりと長方形の面でお湯が当たるので、個人的に物足りない感はありませんでした。
タイルで遊ぶ?壁面のデザインと素材を選んで
選べる素材は、定番のつややかなクローム、シャワー金具としては珍しいマットなニッケルサテンとブラックの3種類。背景となる壁面には、タイルや石を組み合わせようか、このタイルの質感との相性なら……と、デザイン面でも組み合わせを選べる楽しみがあります。
この「バスシャワー水栓」、天井や壁面内への埋め込みがあるため、ユニットバスに設置するには、懐をとって設置する必要があります。在来で設計するか、ハーフユニットで計画するのがおすすめです。
浴槽のあるお風呂空間にオーバーヘッドをプラスして、気分によって使い分けるも良し。味気ないコンパクトなユニットバスを入れるくらいなら、シャワーブースだけにしてその分、壁面の素材やアクセサリーなど込みで空間全体をつくり込もうか……という選択肢もありかもしれません。
お風呂のつくり方、過ごし方までも自分スタイルで組み立てられる「バスシャワー」で、あなたのバスタイムを拡張する贅沢を味わってください。