記憶の中の水仕事
図工の時間の終わりに筆を洗う。バケツの水を捨て、雑巾をゆすいで、レモン石鹸で手を洗う。なんとなく記憶の引き出しの中で眠っている学校での水仕事。
大人になった今、筆を洗う場面は少なくなりましたが、汚れた靴や、土のついた植木鉢、「これ、どこで洗えばいいんだっけ?」ってなることないですか?
そんな時に、学校のシンクみたいに使える水場が家の中にもあったらどうでしょう。
輝く白い陶器の洗面器では抵抗があるような水仕事も、気兼ねなく。使い終わって磨けばピカピカに、普段の身支度用の洗面としても使える。そんな日常使いの「流し」のような洗面シンクをつくりました。
名付けて『スクールシンク』です。
ザバザバ洗えて、雰囲気もつくれる
「汚れたものを気兼ねなく洗える」ことを考えると、スロップシンクとのダブル使いという選択肢もありますが、スペースに余裕がない場合にも取り入れてもらえるよう、洗面とスロップシンクのいいとこ取りなシンクを目指しました。
素材は頑丈で、タフに付き合えるステンレス。加工性がよく、厚みがなくても強度を持たせられるという特徴を活かし、厳つい業務用の道具そのままという風貌ではなく、家の中の洗面の設えとしても成立する見た目になるようこだわりました。
そして背面には水はねを受け止めるバックガードをつけました。大きすぎても洗面空間の中で唐突感や野暮ったさが出てしまうため、いい塩梅に仕立てています。
バックガードがあることで、周囲を木壁や塗装壁にしてみたり、洗面周りの仕上げ材を選ぶ自由も広がると思います。
幅600から1200mmまで。その場に合わせてサイズオーダー
「スクールシンク」は立水栓用と、壁付け水栓用を揃えており、それぞれ奥行きが異なります。そして幅は設置する空間にピッタリに合わせられるよう、サイズオーダーが可能です。
「幅600〜750mm」は賃貸物件など、コンパクトな場所に取り入れられるサイズ。サイズがコンパクトでも、シンク面が平たく広いので、衣類の部分洗いや植物のお手入れなど、身支度以外にも多目的に使えます。
そして「幅750〜900mm」は片側に、「幅900〜1200mm」は両側にデッキが付きます。
今まで洗面ではあまり目にしたことがないデッキスペースですが、歯ブラシやシェーバーなど、乾かしておきたいものの置き場としたり、洗い物をする時の作業台や洗った後の水切りの場として活用できます。
周囲をわずかに立ち上げているのでシンク外に水が流れ出るなんて心配もありません。
洗面室を飛び出して
最初は洗面シンクとして考えてつくった「スクールシンク」。出来上がってみたら、活躍するのは洗面だけではないのかも?と思えるものになりました。
ガレージや土間を広くとった玄関、インナーバルコニーやキッチンのセカンドシンク……家の中で「ここに水場があったら便利だった」という場所にいかがでしょう。
また、趣味で何かをはじめてみたいと考えている方のアトリエ・工房にも。染め物や陶芸、フラワーアレンジメントなど、近くに水場が必要な創作活動って意外と多いですよね。
毎日の身支度はもちろん、暮らしのあらゆる水仕事を支える「スクールシンク」。家庭内水回り界のニューフェイスとして、ぜひお見知り置きください。