扉を開けると奥まで伸びていく大きなLDK。コンクリートの型枠を外したまま仕上げた壁と天井に包まれて、静かなトンネルの中にいるような気持ちになります。

「若い頃から安藤忠雄さんの建築が好きで、漠然と戸建に住むならRC造と決めていました。コンクリートの質感を大切に、機能性と意匠性を両立させたミニマルで無骨な家を建てました」

そんな家主の言葉通り、この家では、打ちっぱなしのコンクリートを主役に置いて、その美しさを遮るものを視界から徹底して無くしています。

例えばこちらのキッチン。DEKTONのセラミックストーンの天板に、ラワンで造作した下部の収納。キッチンというよりも、美しい壁付けチェストといった佇まいです。

よくよく観察してみると、上部にあるべきレンジフードが見あたりません。天井に埋め込みにしているそうで、よりキッチンに意識が向くような気がします。

少し引いてみると、リビングのエアコンも露出しない収まりに。照明は壁付けのブラケットライトとダイニング上のペンダントライトのみと潔く絞って。

壁・天井に反射しているペンダントライトの光がなんだか幻想的です。

厳選したものたちを一番美しいバランスで並べた空間に漂う、凛とした空気のようなものがありますが、この家もまた一貫した価値観をもって、ひとつひとつの要素を選択しているように感じます。

そんなキリッとした雰囲気の中で、憩いの場となる大きなダイニングテーブル。『角パイプフレーム脚』に『フリーカット無垢材』の天板を組み合わせてつくられています。

ピシッと揃った直線で構成されたフォルム。上部に等間隔で並んだペンダントライトと共に、建物自体と一緒に計画されたこともあり、空間にピッタリと溶け込んでいます。

「素材選びにはこだわり、本物を使うことを心がけ、テーブルも無垢材を考えていました」と話すお客様。「フリーカット無垢材」11種の樹種の中から選んだのは「ユーカリ」です。

キッチンの面材にも使われているラワン材のように、木目が淡い無垢材を探していく中で出会った「ユーカリ」。ショールームで実物を確認し、購入を決めたそうです。

少し赤みを帯びた木肌が、ラワン材とも馴染みが良いように感じます。

テーブルのサイズは2400×900mm。子供達の椅子を置いても余裕あるサイズに設計されています。

これだけ大きなダイニングテーブルは、存在感抜群。階段から降りる度に、どーんと木目の美しさが目に飛び込んできます。無機質な素材の中だからこそ、木の持つ温かな素材感が引き立っているようです。

「無骨なスチールの脚もラワン、コンクリートとの相性も良く、とても満足しております」と感想をいただきました。

今まで、家づくりの終盤に、出来上がった家具の中から選択するものと捉えていたダイニングテーブル。改めて考えてみれば造作キッチンや建具などと同じように、家の中心となるべき存在。

ダイニングテーブルも内装材として、最初から計画する大切さに気づかせてくれる事例です。

記事内ではご紹介しきれなかったLDK以外の空間や、お客様の暮らしはこちらからご覧いただけます。

紹介している商品

PS-TT009-12-G165
¥10,550(目安)
PS-TB001-03-G089
¥28,000~
テキスト:岩崎

関連する事例記事

団地物件を部分リノベーション
団地物件を部分リノベーション
ツールボックス工事班が設計・施工を手がけた、団地の部分リノベーションのご紹介です。
あわいをたゆたう家
あわいをたゆたう家
必要な機能を配置したら、間を土間と路地で繋ぐ。その路地が行き止まりなく外まで貫通していく家。家の中と外の境界を曖昧にするような戸建てリノベーション事例です。
錆びたらどうしたらいいの?落としましょう!
錆びたらどうしたらいいの?落としましょう!
4年間お使いいただいた『角パイプフレーム脚』が錆びてきてしまった……、ということで錆び落としに挑戦された事例をご紹介します。
お菓子が生まれる家
お菓子が生まれる家
ツールボックス工事班|TBKが工事を担当させていただいた、お菓子作りと生活が共存する部分リフォーム事例です。