家族それぞれが自分の時間を大切にしながらも、同じ空間に集まり一緒に過ごせる場所に。そんな想いを叶えるために生まれた、”プールサイド”をイメージしたリビング。
椅子に座りたい人、床に座りたい人、寝転がりたい人。
家族全員が自分らしく過ごせるように、と計画された「プールサイド」ならぬ「リビングサイド」がある空間です。
リビングをぐるりと囲む木製の「ハコ」は、庭先を眺めながら腰掛けられる縁側のようなスペースであり、家族が並んで座るベンチであり、テーブルや収納、テレビボードとしての役割も果たします。
また、特定の場所だけが“居場所”とならないよう、ライティングレールを採用し、暮らしのシーンに応じて照明の位置や向きを自由に調整できるようにしてあります。
床材には杉を使用し、柔らかく温かみのある足触りを実現。
玄関から続く廊下に敷かれた“炭モルタル”を思わせるPタイルとの調和を図るため、杉材にはグレー系の自然塗料を塗布。この塗装作業は、お施主様と設計者が一緒に取り組まれたそうで、作業を通じて住まいへの思い入れがさらに深まるきっかけに。
さらに、壁面はDIY用の漆喰を使用し、リビングとキッチンを仕切る間仕切り壁には蜜蝋ワックスを塗布するなど、お施主様自ら積極的に仕上げ作業に関与。手作業の温もりが随所に息づき、愛着を感じられる、心地よい空間に仕上がっています。
大きな開口を設けることで、リビングとキッチンがゆるやかにつながり、家族の気配を感じられる温かな空間が生まれています。
このお住まいに採用されたtoolboxアイテム。それが、この外壁にアクセントとして取り入れられた『ミルクガラス照明』です。2灯並べて配置することでシンボリックな印象を与えながら、建物全体に遊びゴコロをプラス。
都心のスケール感を持ちながらも、戸建てならではの開放感を感じられる住まい。移住という決断の先に広がる、豊かで温かな暮らしの風景を想像させてくれる、素敵な事例です。
コマド意匠設計室
秋田を拠点に活動している設計事務所。
住宅や店舗などの空間設計のほか、展示計画、