今回ご紹介するのは、なんと「築90年以上」の建物をリノベーションしたお住まい。
鉄筋コンクリート造の長屋の一戸で、ご両親がお使いだったものをお施主様が結婚を機に新居として使うことになったのだそう。
窓から見えるのは、隣接する庭園の緑。
この緑を家の中のどこにいても感じられるような空間にするために、取り入れたのは「艶」のある素材。
庭園側のリビングの床にはビニルタイル、キッチンやレンジフードも光沢のある素材でできたものを使い、木々の緑とそこに差し込む光が映り込むようにしています。
躯体壁は、白にも薄紅にもベージュにも見える色合いで、緑と補色関係にある赤を少しだけ入れた色で塗装したのだそう。
庭園に面した窓と反対側にあるダイニングの壁の一部には、「水彩タイル ボーダースカイグレイ」が貼られています。
光で揺らぐタイルの艶が、光を受けながら揺れる木々の葉を思わせます。
こちらのタイルは淡いグレーなのですが、「光の影響で、青にも緑色にも見える微妙な色合いが面白いと思って選びました」と設計を手掛けたnote architectsの鎌松亮さん。
細長いボーダータイルを縦向きに貼るアイデアも、細かいピッチが横の距離感を増幅しつつ、縦方向の開放感も生んでいます。
白、グレー、シルバーと明るい木でまとめた洗面にも、toolboxのアイテムを採用していただきました。
ミラーボックスの上にあるのは「ミルクガラス照明 ボール小」。赤みを帯びたやわらかい雰囲気の空間に、丸いボール型のデザインが似合っています。
ちなみに写真上部、天井の左端に写っているのは「アイアンハンガーパイプE型-天井吊タイプ」です。
窓まわりの印象を際立たせるように、窓辺にはベンチを造作。
暗い部分の壁は赤みが強く見えて、窓外の緑を引き立てています。
窓を大きくできなくても、内装の工夫で窓外の環境を室内に取り入れることはできる!
素材使いと色選びのテクニックが巧みな事例です。
Photography by Hiroki Kawata
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(サトウ)
note architects
鎌松 亮が主宰する設計事務所。「環境的なもの」「社会的なもの」「お客様に関わるもの」建築における3つの大きな文脈を読み解き、本質を形にすることで、“その場所だからできる建築”の実現を目指しています。