本の街・神保町と、音楽の街・御茶ノ水の中間地点にある「ON A SLOW BOAT TO…」は、コーヒーと音楽好きのオーナーが脱サラして始めた音楽と自家焙煎珈琲のお店です。

カウンターと床と天井のグレーと、深煎りのコーヒー豆を思わせる深いブラウンのイスやテーブルの組み合わせが、落ち着いたシックな雰囲気をつくっている店内。
緩やかに湾曲したカウンターは、店名の「ボート」をイメージして作ったそう。
存在感のあるこのカウンターは、「モールテックス」という、通常のモルタルよりも伸縮性があり、クラックが入りにくいモルタル系素材で仕上げられています。

オーナーこだわりの自家焙煎珈琲のほか、この店のもうひとりの「主役」である音楽を奏でるのは、アメリカの音響機器メーカー・ALTECのスピーカーシステム「ALTEC 620B(ユニット604-8H)」。
このスピーカーシステムが鎮座するステージの床に『チェッカーパーケット』をお使いいただきました。

無塗装で販売している『チェッカーパーケット』。
こちらのお店では、オイルステインで塗装した上に、保護材としてウレタン塗装を施しているそうです。

スピーカーからの振動を床に伝えないために、ステージ部分の床は下地を厚く造作。
こだわりのスピーカーからの音をクリアに届けるためのこだわりです。
真鍮色の見切り材がアクセントに効いています。

まるで昔からそこにあるかのようなこちらのドア。
元々はツルツルのクリーム色のシート仕上げだったものを、薄い板を縦貼りして仕上げし直したのだそう。

ドアノブは『船舶ドアパーツ レバーハンドル ホーン 表示錠』に交換。
昔から形を変えずにあり続けるパーツがよく似合っています。

お店の入り口ドアは、もともとのドアを『アイアン塗料』で塗ってリメイク。
ドア枠は「チャコールグレー」で、円形のハンドル部分は「コッパー」で塗ってあるそうです。

スチールで造作した看板はオリジナルで制作。
こちらも「アイアン塗料」の「チャコールグレー」を塗って、ドアと質感を揃えました。

こちらはbeforeの写真。以前はPタイルに白壁、蛍光灯という「THEオフィス(しかも古びてる)」な空間でした。

リノベーションを手掛けたDrawerは、既存を生かした空間づくりが得意な設計施工会社。
メインのフロアは既存のPタイルをそのまま生かし、壁と天井は既存をペイントするという、そこにあるものを使ってコストを抑えながら、必要なものだけをプラスして印象を激変させる手腕がお見事です。

オーディオの横にはレコードがずらり。ジャンルは、クラシック、ジャズ、ロックから邦楽まで、幅広くラインナップされています。
かつて、会社員をする傍ら、音楽仲間とラジオ番組をやっていたというオーナー。
店内でかける曲は、お客様の好みや興味に合わせて選曲しているのだとか。

コーヒーブラウン色に染まった『チェッカーパーケット』が、以前からこの場所にあったかのような雰囲気をお店に生んでいます。

お店では月に数回、ライブなどのイベントも行っているそうです。
コーヒーの香りと味を楽しみながら、ステージから奏でられる音楽にゆったり身を委ねる。
上質なくつろぎの時間が過ごせそうなお店です。

『ON A SLOW BOAT TO…』
東京都千代田区神田猿楽町1-5-20
田端ビル1
休業日:日・月
https://slwboat.com/

株式会社Drawer | ドロワ

個人住宅、賃貸住宅、賃貸オフィスや店舗のインテリアデザイン及び内装工事を行う設計施工会社。
空き家を借り上げてリノベーションを行い、賃貸運用するサブリース事業も行っています。スチールプロダクトの企画・制作・販売も手掛けています。

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