使いやすくて合理的であること。家づくりを考える上でとても大切なことだと思います。
ちょっとのことだから大丈夫と判断したことでも、毎日積み重なると「やっぱりああしておけばよかった・・・!」と後悔に繋がってしまうなんてことありますよね。

今回ご紹介するのは、実家近くの中古マンションを購入し、フルリノベーションされたという三人暮らしのお住まいです。

在宅ワークでインテリアのお仕事をされているという奥様のアイデアを盛り込んだ、生活に便利な動線と収納のアイデアが光る、素敵なお家の事例です。

天井と床の素材を切り替えることで、リビングとつながったひと続きの空間を視覚的に区切ったダイニングスペース。

収納を兼ねた大きな作業台とダイニングテーブルが一体となっている配置は、食事の準備や後片付けがしやすそう。広々とした作業スペースがあると、お子さんと一緒にお料理を楽しんだりなんてこともできますね。

冷蔵庫や電子レンジなどの家電は、作業台と脇の壁の中に収納しリビングから見えないよう工夫。

モルタル仕上げの表情豊かな作業台は、両サイドにコンセントが設けられているので、ブレンダーなどの調理器具を使う作業から、携帯の充電なんかにもとても便利そうです。

躯体壁に馴染むように『フラットレンジフード』が、水栓はサテンの『ハンドホース水栓』。

ラワンと躯体のラフな表情に、白いタイルが映えたほっこりカフェ風のオリジナルキッチン。

シンク正面、吊り戸棚の下、そしてコンロの正面の壁には、それぞれ用途の違うツールバーがついています。こういうちょっと掛けられる場所、重宝するんですよね。

そんなキッチンに併設された、奥様のワークスペース。

仕事と家事を上手にやりくりしないといけない中、その都度書斎に向かうのは大変ですし、ダイニングテーブルで作業をしていたら食事のたびに片付けないといけないし・・・。
料理の合間や家事の動線の延長で、PCをチェックできるこの環境なら、効率よく仕事がはかどりそうです。

キャビネットを設けることで、仕事の資料は目立たない位置にたっぷり収納。棚の上には、本とお気に入りのアイテムを飾って。

キッチンの奥は洗濯室兼パントリーになっていて、まさに奥様の生活動線がこの直線に集約されている形。この一直線の動線、魅力的ですね。ながら家事の達人になれそう・・・

パントリーを設け、生活感のあるアイテムを上手にリビングから見えないようにしているのも、空間を居心地よくしているポイントのひとつですね。

玄関から帰ってきてすぐに手が洗えるようにと、洗面は廊下に設けたのだそうです。

照明、スイッチ、タオル掛けはすべて真鍮で揃えられています。水栓は、レトロなデザインが特長の「壁付けハンドル混合栓」をセレクトいただきました。

マットな質感の三角タイルがかわいい、ほっこりした洗面空間に仕上がっています。

買い物帰りにはパントリーにぱっと抜けられるよう設けられた脇の動線。普段はカーテンで目隠しされています。

合理的に暮らす為のアイデアに溢れながら、のんびりとした空気が漂うお宅。

生活しやすい空間は、心と暮らしに余裕を与えてくれる。そんなふうに感じられる素敵なお宅の事例です。

(ヤマキ)

エイトデザイン株式会社

リノベーションを名古屋・東京で手がける一級建築士事務所。店舗デザイン、オフィスデザイン、インテリアショップ、カフェ運営なども手掛けています。

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