この物件、ドアを開けた時からちょっと不思議な感覚になるのです。一個一個は、とても懐かしさを感じるアイテムたち。
でもそれだけではありません。
部屋全体を見渡すと新鮮に映るのは、「和」と「洋」が絶妙に混じり合っているからでしょうか。
40年前の建築当時のままだという、純和風な竿天井と欄間。その下に鎮座するキッチンのカウンターには、アメリカのウイスキー工場の構造材だったという重厚な古材厚板が使われており、カウンター下のキッチン側面には、フランスのアンティークドアを貼っているのだそう。
「和」と「洋」、それぞれを象徴するようなアイテムに共通するのは時代を生き抜いた「本物」だということ。
壁付けで設置されていた既存のキッチンは、部屋の中央に移設しました。
カウンターを造作し、みんなが集まれる場所を家の中心に作ったのは、この家で暮らすことを楽しんでほしいオーナーの願いの現れに思えます。
エッジがシャープな『ミニマルシンク』をリビングに設置しました。
和の雰囲気にもマッチして、人目につくところであっても見劣りしません。経年変化を楽しめる真鍮の『棚受け金物』は、時間が経つごとにこの空間に馴染みそうですね。
『工業系レセップ』を、ナチュラルな杉板に合わせるのも新鮮です。
枠組みにとらわれない自由な発想が、ただ懐かしいだけでは無い空間にしてくれます。
棚板の小口を塗装することが良いアクセントになっています。
シンプルな『棒棚受け』を選びました。
新旧が融合した独特な雰囲気づくりに一役買っているのが『レトロエイジタイル』。
古い素材を引き立てながら、新しさを加えてくれます。
玄関はキッチンと色違いのタイルを縦の馬目地貼りで変化を付けています。
トイレ前の手洗い部分にも「レトロエイジタイル」が。
こちらは通し目地貼りにしています。ほどよくレトロ感を醸し出す艶ありのタイルを各所に使うことで、空間に統一感が生まれていますね。
玄関まわりには『レバーハンドル玄関ポスト』を使いました。
こちらも艶を取り入れています。
オーナーの愛情とセンスで集められた多くのもの。
自分の好きをベースにしたからこそ、和洋にとらわれず自由な発想のリノベーションができたのではないでしょうか。こんなにユニークで愛情あふれる賃貸物件が増えていったら、家選びは今よりずっと楽しいものになりますね!
(仙)
株式会社 Safari B Company
「旅する大家」のニックネームで、楽しみながら不動産賃貸業をする大家さん。
6棟の賃貸住宅を所有し、大家業の他、不動産コンサルタント・CAFEの経営も行う。