洗面台の正面の壁の立ち上がりに水はね防止を兼ねたタイルを貼ることは多いですが、今回はなんと、リフォーム工事で洗面台カウンターからさらには横に続く造作棚まで一体的にタイルを貼ったステキなアイデアをご紹介します。
元々はいわゆる樹脂製でユニットタイプの洗面台があったというこちらの洗面スペース。
左側の壁にはユニットの収納が埋込まれていて、そこを壊すことで15cm分奥行きを広げることができそう。
多少壁位置を広げられたスペースには洗面台から続く浅い棚を造作。さらにお隣のトイレのPS(パイプスペース)の間に隙間を見つけ、縦長にくぼんだ収納スペースをつくることにも成功しました。
造作の台ができたら『ハニカムタイル』のマットホワイトを張り込み。このタイルは一目ぼれで、このタイルを起点にトータルのインテリアコーディネートを考えていかれたのだとか。
「洗面台やその周りが直線とか、ボックスっぽく角張っている要素が多い中、タイルで変化を出すというアイディアが気に入りました。」とお客様。
こうして完成した様子がこちらです。
「最初左側の壁にはタオル掛けを付けようかとも思ったのですが、別の場所もあるし、せっかくなのでここも生かしてカウンターをL型にしようと考えました。
洗面所に入ったときに真前に「どん」と洗面だけがあるのではなく、なんとなく入り口から流れができ、空間にも一体感が出ました。
収納ではなく、あくまでもちょっとしたデコレーションするゆとりを感じさせるスペースです。」
グリーンと、たまたま持っていたというフィレンツェのドゥモのポスターがぴったりマッチしていますね。
洗面所って、ついつい機能性優先になってしまいますが、奥行き数十センチのわずかな棚のおかげでちょっとしたゆとりのコーナーができて、洗面に立つ時間が豊かになりそうです。
実は、お客様はインテリアコーディネーターのお仕事をしている色選びのプロフェッショナル。
タイルや洗面の陶器の白に対して、ペイント壁の微妙な柔らかいニュアンスが気になって、どうやって色選びをしたのか質問してみました。
「イギリスのFarrow&Ballのペイントが好きで、そちらのカラーチャートから選びました。
タイルのオフホワイトのニュアンスをそのまま生かし、ハニカムタイルそのもののヘキサゴンといったジオメトリックな形や洗面台や洗面所全体の角張ったシャープなイメージと対照的に、色でソフトなニュアンスを出してバランスを取ろうと試みました。
タイル縁がグレーっぽい色なので目地もグレーを選び、オフホワイトのような柔らかい白と温かみのあるグレーのツートンでまとめました。」
いやーさすがです。ざっくり白といっても本当にいろんなニュアンスの色幅があるので、ペイントって難しいんですけど楽しい世界ですよね。
洗面カウンターは、天板の高さで床から900mmとやや高め。850mmの上に洗面ボールを置いてという高さと悩んだそうですが、ご夫婦とも背が高めなので結果900にして正解だったそう。
そのおかげで、カウンター下には、高さの違う棚が2段作れました。上の部分は12cmとかなり狭いですが、フェイスタオルや薄めの収納をいれて活用中。この収納用品ありきで造作したのかと思うほどシンデレラフィットのフェルト収納はIKEAのもの。(実際の高さは一般的な収納サイズを考慮して決めたそうですが、高さ、色合いといいぴったりすぎて、”シンデレラフィット”ってこういう時に使う言葉だなと実感!)
棚板も壁と同じホワイト系のカラーで塗って。ここで既製品の白ポリの板にしてしまうと微妙な白色違いが気になりそうですし、地味に大事なこだわりですね。
洗面横の洗濯機コーナーは、タイルと同じ高さまでをグレーにしてツートンで塗り分け。
上の2段の棚受けには『棒棚受け』を使っていただきました。
『棒棚受け』は、L字のタイプと違って棚下がすっきり。あまり重いものをおかない部分で活躍してくれます。
そっと置かれた木のイルカのオブジェもかわいいですね。
決して広々とはいえない洗面スペースも、ちょっとした隙間を活かし、色や素材づかいに気をつけてお気に入りのモノを飾ることで、そのお家らしさが表れますね。ステキな部分リフォーム事例、ありがとうございました。
インテリアコーディネーター、住空間収納プランナーとして、外国と日本で暮らした経験を発信しているヘザー ブラッキンさん。Instagramには、ニュアンスカラー使いがステキなご自宅のインテリア写真がたくさん掲載されています。